閉鎖型&人工光型(天候・太陽の影響を受けないタイプ)日本最大規模、異分野融合型の産業技術開発で、国家プロジェクトでもある植物工場が中百舌鳥キャンパスに! 1日250個のレタス生産をはじめ、アイスプラトなど計10種類の野菜を作っています。
研究に関わっていらっしゃる工学域の福田弘和准教授に詳しくお話を伺いました!
―植物工場研究のきっかけはなんでしょうか?
近い将来の問題として人口増加による食糧消費の増大や、砂漠化による耕地面積の減少に起因した、食糧難が心配されています。そこで食糧生産の新しいテクノロジーが求められているわけです。この「植物工場」は国家プロジェクトとして、砂漠でも生産でき、都会の真ん中でも採算がとれることを目指して研究しています。
―閉鎖型、つまりコンクリートの壁ですから砂漠の中でも作れそうですが、植物はいくらになるのでしょう?
レタスで言うと一般的な価格の1.2 ~1.5倍程度です。ちなみに、この建物の入り口付近にて1個150円で販売しています。また、一部のお店にも置いてます。
―なるほど。この植物の一番のウリとは?
無農薬・水耕栽培なので一切洗わずに食べても問題がない事ですね。
―生野菜を洗わないという事に、抵抗を感じる人も多いと思いますが?
生で食べることのできる、国の基準があるのですが、ここでつくられる野菜はその百分の一程度です。非常に安全と言えます。
―病気などの心配はないのですか?
定期的に検査・洗浄をしているため、まず発生しません。むしろ起きることの方が難しい(笑)
―出荷先にはちゃんと売れているのですか?
安心という事以外にもう一つ、栄養価が高いこともあって、よく売れています。
―栄養価が高いのはなぜですか?
例えば免疫力を高める「ビタミンC」を多く含ませるための日照時間を調査するなど、品質を高めるためにあらゆる研究をし、最適な環境で育てているからです。府大で人材を育成しているのと似ていますね。
―では、一つ食べてみます。
生のままどうぞ。
― 普通のものより少し苦いですね・・・。
それこそが栄養価の高い証拠です(笑)
―そういえば、新しくもう一つ工場ができるんですよね?
そうです。1日に5000個のレタスが作れるようになります。
(※2014年9月、植物工場研究センター新施設C22棟「グリーンクロックス新世代(GCN)植物工場」が開所、10月上旬から本格的に販売を開始。)
―一気に20倍ですか…。
生産数を増やすことで価格を下げることも目的ですが、それ以上に「工場自体を製品として売る」ことが目標です。
―異分野融合型というのは?
一つは植物の生長が人に与える「癒し」効果です。これが中々ばかにできない。それに、ミニチュア化してキッチンに置けば、子どもへの「食育」にも貢献します。
―成長したらそのままサラダに入れて食べる。「近未来」のイメージですね!
新しい種類の雇用を生みだすことも大きなメリットの一つです。
―すべて機械化して人間を極力使わないイメージがあるのですが…。
もちろん、完全な機械化も一方で目指していますが、バリアフリーの設計を取り入れることにより、高齢者や障がい者の方々が作業しやすい環境の研究も行っています。
―なるほど。府大には総合リハビリテーションがありますもんね。
その他にも生命環境学部から研究したい人が集まっていますし、まさに府大を代表する研究です!
―わかりました。本日はどうもありがとうございました!
植物工場研究は、現在約90社が会員として協力しており、今後も目の離せない、府大の名物研究であり続けるでしょう。
【取材:下之薗 広大 (MICHITAKERs/工学部 機械工学科 3年)】
【取材日:2013年7月8日】 ※所属・学年は取材当時