新年度が始まる4月、生協の教科書販売特設会場は多くの学生で毎年混雑します。その混雑の原因のひとつが、「会場の記入台で注文書を書かなくてはいけない」ということでした。

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その問題を解決するため、現代システム科学域 知識情報システム学類の3年生有志が生協さんと協力し、注文書をWeb上で事前に作ることができるシステムを開発したそうです。システム開発の経緯や苦労などを3名の学生さんにお聞きました。

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現代システム科学域 知識情報システム学類 3年 ※取材当時
(左から)
遠藤 紗也香さん Sayaka Endo  ※リーダー
坂口 歩さん Ayumi Sakaguchi
神田 樹さん Tatsuki Kanda

 

○学類でこの2年間どのようなことを学びましたか?
履修していた授業はそれぞれですが、簡単なプログラミングと経済の授業が2年生から始まりました。心理学や社会共生、マネジメントなど1年生の間は他学類の専門講義が多かったです。

○3人はどのような繋がりがあったのですか?
もともと同じ学類で仲の良かったメンバーで、リーダーの遠藤さんが声をかけたのが始まりです。

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○今回の話が生まれたきっかけは?
2年生の最後、期末テストが終わって春休みに入った直後です。3年生になったら、どういう専門で学んでいくかを考えないといけない時期でした。学類名であ る「知識情報システム」という名前がそもそも伝わりにくく、どういう事を学んでいる学問なのかなー?と悶々と考えているうちに、いわゆる「知情」(※)っ ぽいことがしたくなったのがきっかけです。 ※=知識情報システムは、よく「知情(ちじょう)」と略して呼ばれています。

知識情報システム学類は、システム的なことと経済的なことを学ぶ、理系と文系の間の学類だと思っています。ですので、私たちが学んでいる大学の中から課題を一つ見つけて、システムを使って改善することにしようと思いました。

食品等と違い、本であれば製品管理の不安が少ないので、教科書販売をテーマにしました。春休みに小島篤博先生(学生アドバイザー)や佐賀亮介先生に 相談させていただきました。佐賀先生からは「そのシステムを使うユーザーとサービスとして提供する企業の双方にとってバランスのよいシステムが理想的」と いうアドバイスもいただけました。
システムが出来上がってから生協さんに提案するつもりで、もともとは別のシステムを考えていましたが、生協さんと森田裕之先生がミーティングされた結果、まずは生協さんのニーズをお聞きして、それに合ったシステムを作ろうということになりました。

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○生協さんとはもともとつながりがあって、そこから課題解決を頼まれたのではなく、みなさんの方から発生した動きなんですね。開発の途中では生協さんとどのように関わっていったのですか?
生協の大竹店長はかなり優しくしてくださって、時間も割いてくださり、生協さんの協力がなかったら実現できてなかったと思います。私たちが一番危惧してい たことは「今のままのシステムでいい」と生協さんが聞く耳をもたないことでしたが、そこをしっかりと受け止めてくれたのは嬉しかったです。

○3人の役割分担は?
遠藤:システム開発は坂口さんと神田くんの担当で、私は主に全体のとりまとめや交渉、それから宣伝担当でした。生協さんのパソコン講座のアルバイトをしていて、その講座でもビラを配らせてもらい、応援してもらいました。

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坂口:私はページのデザイン/表示周り、神田君は中味(データベース)を組み上げたました。システムを作るのは時間がかかって、思ってたよりも大変でした。最後の数日間はほとんど寝ていません。
神田:システムを実際に作ってみると思わぬ不具合が出て、やってみたら上手くいかない、どこが問題なのかも分からないという状態でした。開発の裏側を経験 して、世の中でよく利用するシンプルそうなサービスでも、裏側のシステムはおそらくかなり複雑に作られているんだろうと視点が変わりました。

○開発にどれくらいの期間がかかりましたか?
〆切が4月頭ということで、2月の1週目から企画を始めて、春休みまるまるかかりました。実際にシステムに着手したのは3月の中旬からです。ひとつのシステムを作ろうと思うと手が離せません。この春は、旅行先でもずっと作業から離れられませんでした。

○開発はどこでしていたのですか?
主に坂口さんのノートパソコンで、カフェなどで開発していました。

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○苦労した点は?
生協さんにニーズを聞いてみる前、「教科書販売システムを開発する」という方針に落ち着くまでが一番時間がかかりました。方針が決まった後も、生協さんに メリットはあるのかとずっと模索・苦悶していて、頭を抱えていました。ところが、生協さんと実際話してみると一気に進んだので、「相手の事をしっかり聞い て、それをしっかりと理解する事が大切」だと学びました。

○出来てみて反響はどうでしたか?
システムを見てみると、401人の学生が使っていました。ですがその中から、実際にプリントアウトまでしてくれた人は分かりません。プリントアウトしなけ ればいけないという手間があるので、そこをどうにかしたいなと思っています。新入生はなかなかプリントアウトするのも難しいのではないかと。理想はスマホ 用「アプリ」にして、ボタン一つで生協さんのプリンターに出力されるようにすることです(病院の予約システムなどでは実例あり)。

○この経験をどう生かしていきますか?
坂口:ゲームとかSNS系の携帯のアプリを作りたいです。既に設計などに着手していますが、意外と時間がかかります。
神田:このシンプルなシステムを足がかりに、もっと複雑かつ多くの人に使ってもらえるシステムを作りたいです。

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遠藤:ユーザーのシステム開発者との通訳みたいな立ち位置でたくさんの案件に参加していきたいなぁと思っています。

○将来なりたいものはありますか?
遠藤:情報システムを導入するときの橋渡しもしてみたいが、今バイトで取り組んでいる販売系の仕事にも興味があります。
坂口、神田:将来はまだ決まっていなくて、大学院への進学も考えています。

 

○知識情報システム学類を目指す受験生にひとこと
工学系と似ていることもあり、またシステムの勉強1本じゃなく心理学など周りを見渡せるものを学ぶことも出来るので、「人を身近に感じるシステム」を作れ る力がつくのではないでしょうか。また、知識情報システム学類は入学してから幅広い分野に分かれていく仕組みなので、何がしたいか明確になっていなくても 多くの選択肢があります。マネジメントや情報系もあれば、ロボコンもやれます。自分にあったものを探せますよ。

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遠藤さん、坂口さん、神田さん、どうもありがとうございました!
これからもいろいろな課題解決、システム開発に向けて頑張ってください!

 

【取材:皆藤 昌利(広報課)】
【取材日:2015年4月20日】