地球上でただひとつの池にすむ「ヤシャゲンゴロウ」の貴重な標本があるということで、生命環境科学研究科 環境動物昆虫学研究グループ(通称:昆虫研)にお邪魔しました。

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研究室の扉を開けて早々、カラフルな幼虫の入ったケースが積み重なっています。アサギマダラという蝶の幼虫だそうで、モシャモシャと美味しそうに 葉っぱを食べていたり、葉をお腹いっぱい食べてサナギ作りにまさにとりかかろうとぶらさがる場所を探していたり、もう気に入った場所をみつけて糸を吐き始 めていたりと、みんな様々に動いていました。ケースの上から器用にぶら下がっているサナギは、グミのようなポップな色彩です。チョウの羽ばたきメカニズム の解明のため今ここで育てているそうです。

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ヤシャゲンゴロウは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称:種の保存法)に基づく国内希少野生動物種であり、環境大臣の許可 無く捕獲等することは禁止されています。研究室の標本は、平井規央准教授が環境省からDNA解析の依頼を受け預かっているそうです。日本には約140種類 のゲンゴロウ類が生息すると言われていますが、このヤシャゲンゴロウは福井県と岐阜県の県境にある夜叉ヶ池にのみ生息しており、メスにはかすかな縦のスジ が見られるのが特徴だそうです。(写真はメス、標本:環境省提供)

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隔離された環境でのびのび独自に進化してきたヤシャゲンゴロウですが、近年は登山者・観光客が増えて水質汚濁が懸念され、絶滅危惧種に指定されてい ます。「夜叉ヶ池でスイスイと泳ぐヤシャゲンゴロウの姿を見てみたいですね」と平井先生。ヤシャゲンゴロウがいつまでも元気で生きていける環境であってほ しいですね。

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その後も研究室を案内していただき、ヒダサンショウウオの卵や冷蔵庫で休憩中のアサギマダラなど、小さな生き物がたくさん暮らしていました。昆虫研 では、生物多様性保全や害虫管理の基礎とするため、昆虫などの小動物について系統分類や生物地理学的な研究・生活史研究、危機的な種の保全生態学研究を 行っています。里環境の会 OPUの学生も多く所属する昆虫研は、環境と小さな生き物たちを守るため、今日も研究に励んでいます。

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【取材:玉城 舞(広報課)】
【取材日:2015年4月28日】