8月20日、羽曳野キャンパスで行われた分娩介助演習を取材しました。9月から始まる病院での分娩介助実習に向けて、これまで学んだ知識・技術を実 際に使うことができるか演習で確認します。学生たちはこの演習以外にも、自習を繰り返し、お母さんと赤ちゃんが命をかけて闘っている現場でスピード感を持 ちながら確実・丁寧に対応できるように、何度も何度もシミュレーションを行います。

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最初に学生たち一人ひとりが、お産に臨むのはどのような妊婦さんかということをホワイトボードいっぱいに書き出します。年齢・身長・体重・既往症や 合併症の有無といった基本情報に加え、産後家庭に戻った後どのようなフォロー体制があるかといった環境面や、陣痛がいつ頃始まったのか、破水が先に来た場 合など、どのようにお産が始まったのかという細かな設定のもと、分娩介助の演習が始まります。この設定についても、「経産婦さんだとこんなにお産はゆっくり進まないよ。もう一度考えてみて」と、指導教員から厳しい指摘が飛びます。

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分娩介助の演習は3人チームでお母さん役、助産師役、助産師を補助する役に分かれて繰り返し行われます。精巧な模型を用いながら、努責(どせき)と呼ばれる いきみを促し、赤ちゃんを取り上げて胎盤を出し、ドクターに引き継ぐところまで本番さながらに取り組みます。分娩介助はとにかく時間との勝負。今まで学んできたことと実際に手を動かすことは全く違うようで、少しでも手が止まったりミスが出たりするとすかさず教員から指導が入ります。「使用後の清浄綿は元のトレイに戻さすゴミ箱に」、「時間がかかりすぎているからもっと早く」、「今手を離してはダメ」、「お母さんは今の状況が見えないから、実況中継するつも りでいっぱい話しかけて。黙ってしまっては不安になりますよ」。細かな流れの確認や声かけなど、一刻一刻と過ぎる時間の中で必要とされる動きは多岐にわたります。

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重さも感触もリアルな赤ちゃん模型が無事誕生したときは、学生たちの空気もほっと緩みます。演習の後も一回ずつレビューを行い、不十分なところが あれば再度チャレンジします。「命に関わる現場に実習に入らせてもらうのだから、実習生だからといってミスは許されません。受け入れていただく病院に自信 を持って送り出せるまで学内で演習を繰り返します」と佐保美奈子准教授。

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なぜ助産師を志したのか聞いてみると、みんなそれぞれに素敵な答えが返ってきました。

「年の離れた弟が生まれてから、家族の結びつきがとても強くなりました。子どもが生まれるってすごいことだなぁとそのとき感じました」

「母親が自分を産むときに、すごく難産で苦しんだと聞き、私もお産を助けられる人になりたいと思って、府大を受験しました」

「私の先祖に伝説の産婆さんがいて、活躍した話などを聞いて、自分も同じ仕事をしたいなぁと思っていました」

厳しい演習や実習に耐えることができるのも、助産師になって社会で活躍したいという強い気持ちがあるからかもしれません。

病院での実習まで1ヶ月を切った演習で見ることができたのは、助産師としての誇りや使命感が芽吹き始めた、頼もしい学生たちの姿でした。お話を聞いた3人は既に就職先も決まっているとのこと、来年4月からの活躍が楽しみです!IMG_1399-1024x683

 

【取材:広報課 玉城 舞】※所属は取材当時
【取材日:2015年8月20日】