<プロフィール>
河合 俊次(Syunji Kawai)
一般社団法人日本ボッチャ協会 競技局長 ※2015年取材当時

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―奥田先生や河合局長はどんなカラーで日本代表チームをリードしていますか?―
ボッチャ選手は皆、常時車椅子を使用している重度障がい者です。奥田先生はそのような選手がこれまで行なってきた投げる一辺倒だったトレーニングに科学的な要素を取り入れて、選手やスタッフが漫然とトレーニングを積み重ねることなく、的確な目標と手ごたえを持って成長していく意識をチームに植え付けて下さっています。

競技局長の私としては、「全日本の代表」としてのカラーや意識をより強く出していきたいと思っています。そのためにまずは日々の練習でのアスリートとしてのメリハリを持つこと。まだまだアスリートになりきれてない部分もありますので、抜くときは抜き、締めるとこは締める意識をチーム全体で共有することです。

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もう1つ重要なこととして、選手それぞれが高い目標を持つということ。自分でラインを作ってしまうとそこまでの達成で終わります。アスリートの自覚を持ち、自分の想像をさらに超えた高い目標を掲げるようにチームはサポートし、選手は強い気持ちを持ってそれを追求してほしいと思います。その上で、チームとしては常に「金」を掲げ続けたいと思います。そういった意識での積み重ねによって、重度の障がいがあってもアスリートとして認められていく、社会への参加・貢献の度合いも違ってくると思っています。

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―理学療法学領域の研究要素を活用した科学的なトレーニングはチームや選手にどのような影響を与えていますか?―
脳性まひなど重度の障がいがある選手達は、当然これまでに様々なリハビリテーションを受けてきています。ですが、日本代表クラスの選手であっても、自分の身体能力の強化を考えて自分でトレーニングを積み重ねるという機会は少ないのが現状です。

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そこで、「ただ投げる」というような練習ビジョンから脱却するために、バイオメカニクス的な分析は本当に大きな影響をチームに与えていると思います。たとえば、水泳の選手が漫然とプールを泳いでいるわけではないように、どの部分が弱く、どの部分を磨くためにトレーニングをするのか、そういったモチベーションが科学的要素によって高まっています。

一見、何も変化が無いように見えても、データ上では大きな変化が起こっている、そのデータを選手は客観的に捉えることによって、取り組みに対するモチベーションが高まります。このような取り組みの結果、まず最初に選手個々人よりもスタッフの意識が変わってきました。

選手達にはこの代表練習の場でやったこと、意識したことを、日々の練習に落とし込んでほしいなと思っています。

【取材:皆藤 昌利(広報課)】
【取材日:2015年5月30日】

 

元記事:ボッチャ日本代表代表合宿の記事はこちら!

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