5/12の「関西経済論」に本学OG(総合科学部卒業)で芥川賞受賞作家の柴崎友香さんが登壇、『関西のコミュニケーションと可能性』をテーマに講演をしていただきました。

柴崎友香さん

現在は東京にお住まいですが、もともと大阪ご出身の柴崎さん。関東と関西のコミュニケーションの違いや、関西は実は街の構造もコミュニケーションもニューヨークに似ている(!)など、ご自身の体験を交えながら面白おかしくお話しくださいました。
また、中百舌鳥キャンパス近くを通る西高野街道や、中ノ島・船場に代表される近代建築物などを例にあげ、「様々な時代の“歴史”が息づいている大阪で、日常的に“歴史”に触れていることが関西人の感性を豊かに育んできたのでは」とも語られていました。
最後に織田作之助『木の都』の中から柴崎さんの特にお好きだという一節を朗読され、講演は終了となりました。

柴崎友香さん

講演終了後の質疑応答で、参加者に「どんな学生でしたか?」とたずねられると、はにかみながら「まじめでした」と柴崎さん。写真部に所属し暗室での現像が楽しかったこと、講義で戦後の大阪の空中写真を2枚並べて立体視し、焼け野原となった大阪の街とそこで続けられている人々の生活の痕跡をみて衝撃をうけたこと、その衝撃を伝えたいという気持ちが小説を書く動機のひとつとなったことなどをお話しくださいました。

90分の講演はあっという間に終了し、小説の静かな魅力とはまた違った柴崎さんのチャーミングな一面も垣間見ることができ(柴崎さんファンの広報担当者としても)とても楽しいひとときでした。
柴崎友香さん、次回作を楽しみにしています!

参加者の質問に答える柴崎さん

参加者の質問に答える柴崎さん

記念撮影

福田珠己 教授、本学理事らと記念撮影

■「関西経済論」とは
関 西を中心にご活躍中の方々を講師に迎え、関西経済の現在と将来について学ぶことを目的に、平成七年度、当時本学教授であった宮本勝浩(現名誉教授)によっ て経済学部特殊講義として発足。大教室が毎回超満員になるなど、全学学生に好評を博し、平成八年度からは授業公開講座へと発展。以来、地域に定着した 公開講座として今年で22回目を迎える。

 

■柴崎 友香 プロフィール
1973年、大阪市生まれ。大阪府立大学総合科学部では地理学を専攻(現在、地理学は現代システム科学域環境システム学類で学ぶことができます)。写真部に所属し、梅田や心斎橋など街の風景を好んで撮影した。卒業後、機械メーカー勤務を経て『きょうのできごと』で作家デビュー。

 

【取材:仲田 くるみ(広報課)】
【取材日:2016年5月12日】 ※所属・学年は取材当時