7月5日、9月に開催されるリオ・デ・ジャネイロパラリンピック競技大会に向け、障がい者スポーツ「ボッチャ」の全日本代表選手の強化練習会が羽曳野キャンパス体育館にて行れ、日本代表の杉村英孝選手、廣瀬隆喜選手が参加しました。

※ボッチャについてはこちらの記事をご覧ください!


今回の強化練習会では、総合リハビリテーション学研究科の奥田邦晴教授が中心となり、モーションキャプチャーを使用した計測実験が行われました。

奥田教授は、クラシファイアー(障害区分)として長年にわたり選手の障害評価を行ってこられたとともに、障がい者スポーツへのバイオメカニクス技術の導入などの研究アプローチからボッチャに携わり、トレーニングを科学的にサポートしてきました。その縁もあって、現在は一般社団法人日本ボッチャ協会の代表理事も務められています。

モーションキャプチャーを使用し、投球時の映像をデジタル化することで、体身体の位置や関節の角度やスピード変化など選手の動きを科学的に検証します。

計測装置

マーカーをつける総合リハビリテーション学研究科の尾上さん

ボールを投げる様子を上部から撮影する

モーションキャプチャーを使用した科学的検証は、さまざまなスポーツの分野で活用されています。ボッチャでも代表選手の投球フォームの分析などに活用されてきましたが、定位置のジャックボール(白の目標球)を狙う際にボックス内で同じ位置に車いすをセッティングしているかどうか、つまり「車いすセッティングの再現性」について検証するのは、この日が初めての試みでした。

計測実験に際し、奥田教授は「今回の練習に参加してくれたのは、現在の日本ボッチャ界を牽引するトップクラスの選手。パラリンピックを目前に控えた今、彼らのフォームを変える必要があるとは考えていません。投球ボックス内での車いすのセッティングについて再確認するとともに、自身の投げる姿を客観的に見ることで、何か気づきにつながれば十分。また、撮影した彼らのデータは、2020東京パラリンピックを見据えたこれからの選手育成に大きく貢献できると思う」と話されました。

計測実験の事前説明を受ける選手

実験内容を確認する奥田先生

実験内容を確認する奥田先生

計測を重ねるごとに、集中力も高まり、積極的に実験に参加する選手たち。その様子を見たコーチ陣からは「もっと早くこの実験をすればよかった」という声も聞かれました。

計測後、杉村選手は「これまで、自分の投球技術を高めるために、さまざまな練習を積み重ねてきた。ただ、この先の技術向上をめざすには投げる一辺倒のトレーニングだけではなく、科学的なデータも用いて、自身の癖や特徴を分析したい」と話されました。

計測実験中の片岡先生

廣瀬隆喜選手と杉村英孝選手

北京、ロンドンに続き三度目のパラリンピック出場となるリオ大会。リオでの日本代表の活躍、そして東京オリンピックへの期待が高まる取材となりました。

【取材:西野 寛子(広報課)】
【取材日:2016年7月5日】  ※所属・学年は取材当時