蛇のようにクネクネと水路内を走るロボット。
とある日、広報課メンバーが学内を移動していたところ、府大池(中百舌鳥キャンパスにある大きな池の通称)にこのロボットが泳いでいるところを見かけたのが、このレポートのきっかけだったのですが、さてこれはいったい何でしょう???
【提供:大阪府立大学 大学院工学研究科 機械力学研究室】
このロボットは、大阪府立大学の工学研究科 機械力学研究室で研究・開発されている「小型流路内泳動推進体」。分かりやすく言うと、曲がりくねった細い水道管などの中に入って泳ぎ進み、管内を検査/調査することを想定したロボットです。
くねくねした細い配管の中を進む時に、機械自体が柔らかくないとぶつかったりつかえたりする時にすぐに壊れてしまいます。そのために、柔軟なボディ&ヘビのようなクネクネした動きがとても重要になるというわけです。
こちらの研究を進めているのは、大学院工学研究科の山野彰夫さん。博士後期課程の3年で、大阪府立大学での教育研究生活も9年間に突入した院生さんです。
山野さんが所属している機械力学研究室は、工学分野の中でも機械や構造物の挙動(動き方)の研究を行っていて、動き方や止まり方、振動や騒音などの「動き方」が機械にどう影響するか、その分析によって「人が使いやすい機械や構造物とはどうあるべきか」という事をいろいろな観点から研究している研究室で、「運動・振動の解析」「防振・防音」「耐震・免震」「人間工学」「次世代移動体」などが研究キーワードです。山野さんはこの研究室で「振動」をテーマに研究しています。
なんとこのロボット秘密がありまして、ヒルの中枢神経の特性を模した動きの制御が組みこまれており、生きているヒルと同様に環境に応じて「うねり運動」が変化し、流路の幅がや条件が変化しても、滑らかに推進させることにチャレンジしています。
最近の研究(※T. Iwasaki et al., 2014)では、ヒルは筋肉のひずみを神経にフィードバックするメカニズムによってこのうねり運動変化が実現されていると報告されていて、このロボットの関節にも複数の力センサを配置して、同様の制御を再現しています。
※T. Iwasaki et al., Biological clockwork underlying adaptive rhythmic movements, PNAS, 2014.
研究概要ムービーもご参照ください☆
【提供:大阪府立大学 大学院工学研究科 機械力学研究室】
・・・・単にウニウニと動くわけではなく、ものすごくハイテク制御ですね!
こういった部分に「振動」と「機械制御」を専門とする、山野さんたちの研究が活きているというわけです。
取材したこの日は、同じ工学研究科の海洋システム工学分野 有馬研究室が主に使っている、海中システム実験室にある大きな水槽を小型流路(水道管)に見立てて、駆動の検証が行われていました。
泳がせて、カバーを外し、計測データを取得して、それが終わったらまた泳がせて…
共に実験を進める修士課程の院生メンバーも真剣な表情です。
作業中にあやまって手を切ってしまっても応急処置で作業を続ける山野さん、研究者の魂をそこに感じます。
この研究は現在国際会議に投稿中で、将来は、関節の自由度を増やして浮力調整をできるようにした上で、配管内点検に生かされていく予定との事です。
最後に、山野さんに、学内外でのおススメメニューを教えてもらいました!
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「距離と値段の兼ね合いを考えると、スーパー玉出のカップ麺がお得かもしれません。」
なるほど!中百舌鳥門を出たところすぐのスーパー玉出(関西圏以外の方でスーパー玉出をご存じない方は検索してみてください。特徴あるスーパーですよ!)、要する時間×距離×値段を考慮するとコストパフォーマンスは高いですね!
(でも、時には栄養のあるものもたくさんとって、パワフルに研究に打ち込んでくださいね!※広報課注)
山野さん、お忙しい中ご取材させていただきありがとうございました。
これからも研究頑張ってください!
【取材:皆藤 昌利・仲田 くるみ(広報課)】
【取材日:2016年8月8日】 ※所属・学年は取材当時