2016年12月27日(火)、堺市総合福祉会館において「ハロン湾プロジェクト公開シンポジウム~ベトナム ハロン湾における環境活動と人材育成~」が開催されました。これは、堺市と大阪府立大学が2013年12月から2016年9月まで実施してきた、JICA草の根技術協力事業「ハロン湾における海上輸送を基盤とする廃棄物循環システム構築事業」(第2期プロジェクト)の成果を広く一般の方々にも知っていただくため開催されたものです。
当日は、年末にもかかわらず一般市民や学生、プロジェクトに関わった方々を含め、120名の参加者がありました。シンポジウムは歌枕悟志堺市環境局環境都市推進部長の司会により、竹山修身堺市長の開会あいさつで幕を開け、大西靖典JICA関西所長の来賓あいさつの後、2部構成でプロジェクト成果発表が行われました。
第1部では、第1期プロジェクトを含むこれまでの経緯ならびに第2期プロジェクトの全体概要について大塚耕司教授、第2期プロジェクトで建造した廃棄物運搬船の概要と運搬実験について今村清客員研究員、そして第1期における水上小学校での活動を含むハロン市の小中学校や高校で行われた環境教育について新井励准教授が、それぞれ報告を行いました。
つづく第2部では、環境啓発活動として行った日越学生協働によるマングローブ植林について北宅善昭教授、毎年10名強のベトナムからの研修生を招いて行った本邦研修について頓宮真柱堺市環境局環境都市推進部職員、大阪府立大学の大学院教育プログラムでベトナムでの環境活動を実践する「国際環境活動特別演習」について黒田桂菜助教が、それぞれ報告を行いました。
マングローブ植林の報告では、2016年8月に参加した長崎東高校2年生小川大誠さんも飛び入り発表し、大いに盛り上がりました。さらに、バイオディーゼル燃料の普及を中心とした今後のベトナムでの環境活動の展開について前田泰明名誉教授が発表し、最後は辻洋学長の閉会あいさつで締めくくられました。
これまで本プロジェクトについてあまり知らなかった一般市民からは、非常に多岐にわたる活動を現地の人と協力して行っていることに驚いたという感想をいただき、またプロジェクトに関わった人にも、プロジェクトの全体像をじっくり聞く機会はなかったので大いに勉強になったと言ってもらえ、プロジェクトの中心メンバーは皆、充実感いっぱいでシンポジウムを終えることができました。
JICA草の根ハロン湾プロジェクトはこれで終了することとなりますが、「国際環境活動特別演習」による学生のベトナムへの派遣や、少し規模は縮小するものの本邦研修は継続する予定であり、今後も日越の交流は続きます。皆さまのさらなるご支援をお願い申し上げます。
【報告:大塚 耕司(大阪府立大学 人間社会システム科学研究科 教授)】
【取材日:2016年12月27日】※所属等は取材当時