2015年5月20日(水)I-siteなんばにある「まちライブラリー@大阪府立大学」にてアカデミックカフェが開催されました。カタリストは高等教育推進機構 健康科学の吉井泉准教授。視覚情報処理、つまり「視ること」を専門に研究されている先生に3回にわたってご登場いただきます。
シリーズのテーマは「 『見ること』から考える健康づくり ―自分の『眼』『見ること』を知り、体感する ―」。第1回目の今回は、理論編としてお話いただきました。

先生の研究分野である「スポーツビジョン(スポーツ視覚学)」という言葉をご存知ですか?スポーツにおける「視る」を科学的に分析するもので、スポーツ選手の視機能の測定や評価、ビジュアルトレーニングの実施などを行います。吉井先生はスポーツ界を中心にメディアへの出演など多方面で活躍されています。

「視る」「観る」「看る」…漢字で書くとわかるように、さまざまな「みる」があります。その語彙は、見る人の心の状態を映しており、人間の心理状態や行動を象徴しています。
また眼と脳との関係性について。眼とは「情報の獲得のため特別に外部に飛び出ている脳の一部」であり、眼の機能を保つことは、脳のアンチエイジングにつながります。

私たちが関わる「眼」の問題は多岐にわたります。眼精疲労、近視、メガネ選びのポイントから、眼の病気(ドライアイ、緑内障、白内障)、老化に伴う視機能の低下まで、年齢を重ねると避けては通れない日常的な眼の問題を、先生は実例を交えて1つ1つわかりやすく解説。研究では、高齢者の視野拡大トレーニングはバランス能力の向上に影響し、ひいては歩行中の転倒事故の防止につながると考えられています。

質疑応答の時間には、レーシックをはじめ、眼の健康に関する疑問が参加者から次々と挙がり、眼の健康への関心の高さがうかがえました。
私たちにとって「眼」という存在がいかに大切であるか。人間の行動について視覚情報がいかに寄与しているか改めて実感でき、まさに目からウロコ!だった講義でした。

▼吉井先生にご紹介いただいた本
●老ける老けないは目で決まる!(服部匡志 著)
http://www.subarusya.jp/book/b167727.html

●NHKためしてガッテン!「目の老化」を防ぐ新常識(主婦と生活社)
http://www.shufu.co.jp/gatten/

●進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線(池谷裕二 著)
hmttp://bluebacks.kodansha.co.jp/

●スポーツビジョン教本(真下一策、石垣尚男、吉井泉、飯島隆 著)
(先生が指導で使用されている本)

 

【取材日:2015年5月20日】※所属は取材当時