2016年8月18日(木)、I-siteなんばにある「まちライブラリー@大阪府立大学」にて第25回アカデミックカフェが開催されました。カタリストは人間社会システム科学研究科の竹中規訓教授。3回シリーズで開催されている「南極観測と雪氷化学の不思議」の今回は第2回。「氷の化学と南極での研究」です。

氷の中の化学と聞いて、皆さんはどのようなイメージをもたれるでしょうか? 「氷の化学」は日本で研究されている人は少なく、世界でも4グループほどと言われています。

化学反応の速さは濃度や温度と関係があり、高濃度や高温になるほど一般的に速くなります。水溶液を凍結すると、ある温度までは凍らない部分ができ、そこでは温度を下げた分だけ濃度を高濃度にすることができます。これを「凍結濃縮」といい、-21℃での凍結ではある反応の速度が、25℃の溶液中よりも約20万倍の速さに。液体窒素の中だと、なんと1億倍以上も速くなります。そういった状態での化学反応を研究しています。このような研究全般を「氷の化学」や「雪氷化学」と呼んでいます。

これまで先生が取り組んだ雪氷化学の研究は多岐に及びます。凍結電位や、南極氷床での硝酸イオンの揮散、積雪内での硝酸イオン・塩化物イオン・アンモニウムイオンなどの移動、雪氷内の温度分布の連続測定などなど、私たちには未知の世界が次々と披露されました。

カフェ後半では、先生が第57次日本南極地域観測隊の夏隊(2015年12月2日~2016年3月27日)に参加されていた時のお話。「砕氷船しらせ」航海や船内の様子など、貴重な写真や映像を見せてくれました。

特に「ラミング航行」と呼ばれる定着氷を割って進むしらせの映像は、まるで自分たちが船上にいるかのような臨場感を感じました。他にも南極に棲息する動物や鳥、美しいオーロラ、しらせでの日常生活など、普段は知ることのないエピソードの数々にまるで映画を観ているような気分でした。

 

▼竹中先生からご紹介いただいた本
●南極観測隊のしごと -観測隊員の選考から暮らしまで-(極地研ライブラリー)
(成山堂書店)
http://polaris.nipr.ac.jp/…/publica…/NIPR-library/N-lib.html

●雪(岩波文庫)中谷宇吉郎 著
(岩波書店)
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/qsearch

【取材日:2016年8月18日】※所属は取材当時