2016年11月11日(金)、I-siteなんばにある「まちライブラリー@大阪府立大学」にて第29回アカデミックカフェが開催されました。カタリストは大学院理学系研究科の前川寛和教授。テーマは「地学の世界-地球の姿を垣間見る-」です。

地球がどのような星なのか、誕生以来どんなことを経験してきたのか…。日常生活の中ではその疑問すらなかなか浮かばないですが、実はそれは私たちの存在そのものと密接な関係があるのだと前川先生はおっしゃいます。

長年に渡る先生の研究から「地球科学のとっておきの話」と題した10のテーマでお話を展開。地球の表面を覆うプレートの説明を起点に、プレート誕生の場であり地球のシステムを支配するといわれる海底の巨大山脈についてのお話や地球をつくる主要元素のお話などなど、まるで地球を丸裸するかのように、深く深く迫っていきます。

そんな中、特に身近に感じたのは「宝石に包まれた惑星『地球』」というテーマ。地球は「地殻・マントル・核」から構成される星ですが、マントルは地球全体の80%以上を占め、深さ440Km位まで「かんらん岩」でできています。

そのかんらん岩は主にかんらん石でできており、別名「ペリドット」という名前。そう、8月の誕生石なんです!かんらん石の中で「宝石」として扱われるものをそう呼ぶそうで、とても美しい緑色をしています。私たちが暮らしている地球が、宝石に包まれたロマンティックな星だなんて、想像しただけで嬉しくなりませんか?

また、「地球をつくる主要元素」のお話も不思議に感じた内容。実は、地球の成分の約90%以上は、マグネシウム、珪素、鉄、酸素のたった4元素で占められているというお話。私たちの地球は、実はとてもシンプルにできているようで、宇宙誕生以後の元素の形成過程にも密接に関係しているそうです。

 

カフェの終盤では、先生が長年かかわっていた「しんかい6500」での研究を画像を交えて説明してくださいました。日本が誇る「しんかい6500」は世界で最も深く潜れる有人潜水調査船。海底では岩石採集をはじめ、地形や地質、深海生物などの調査を行います。先生が見せてくださった深海ならではの不思議な生物の写真が可愛く、参加者の皆さんもなんだかほんわかしているように見えました。

あっという間に過ぎていった、地球の成り立ちについて深く知る濃密な時間。地球という星がもたらす恵みを私たち人間が損なうことなく生活していくのは難しいかもしれませんが、守り育む意識を未来へとつなげていくべきだと感じました。

▼前川先生にご紹介いただいた本
●地球科学に革命をおこした船 グローマー・チャレンジャー号(ケネス・J・シュー著/東海大学出版会)
●スノーボール・アース:生命大進化をもたらした全地球凍結(ガブリエル・ウォーカー著/ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
●地学の世界ⅠA(東京書籍 ※教科書)
●地学Ⅰ 地球と宇宙(東京書籍 ※教科書)

【取材日:2016年11月11日】※所属は取材当時