「日本の若者は、とても丁寧にひとり一人の意見を聞くことができる」と話す、中国からの元・留学生、韓さん。日本で留学生活を送った後、日本で働くという道を選びました。

そんな韓さんが留学先を大阪府立大学に決めたのが、恩師となった研究者の論文だといいます。今回は職場の名鉄観光サービスにお邪魔させていただき、支店長の中沢和雄さんと共に大学院生時代のこと、お仕事のことなど、貴重なお話を伺いました。

韓 小虎さん

◆韓 小虎(かん しょうこ/HAN Xiaohu) 韓 小虎さん
名鉄観光サービス株式会社 梅田支店 営業掛

2009年 山東師範大学 卒業
2014年 大阪府立大学大学院 人間社会学研究科 入学
2016年 同研究科 修了

◆聞き手:
中村 将大 (地域保健学域 教育福祉学類 4年)

◆ご同席:
中沢 和雄 様(梅田支店長)

【韓さんからのメッセージ】

留学的经历对于大家来说相当重要,回想一下大学的时光,真的是转瞬之间。
在大阪府立大学中还会遇到更多可以丰富自己人生经历的机会。
希望大家在珍惜并且享受在大阪府立大学的每一天。

(日本語訳)
留学は、人生の中ではとても大事な経歴だと思います。
振り返ってみれば、大学生活は本当に一瞬のようでした。
大阪府立大学では、その経験や経歴を増やす出会いがたくさんあります。
大阪府立大学での毎日を楽しく、そして大事に過ごしてください。

【インタビュー録】
1、留学先を日本に選んだ理由やきっかけ、またいつごろから日本留学を考えていたか教えてください。
父が貿易の仕事をしていた影響で幼い頃からゲームボーイやファミコン、漫画など日本と接する機会が多くありました。その影響で、大学では日本語を専攻し、卒業してからも日本語の先生をしていましたが、日本に行った事はありませんでした。日本に行ってみたいという思いと年齢的に考えても今しかチャンスがないと思い、留学を決意しました。

取材を受ける韓 小虎さん

2、なぜ留学先として大阪府立大学を選ばれましたか?
留学した直後、通った九州の日本語学校では日本の新聞を教材にした授業があり、その中で学校の「いじめ」や「差別」の話題がありました。このキーワードは、中国でも共通の課題でしたので、情報や資料をインターネットでよく探していました。

そのときに大阪府立大学で国際理解教育を専門とする伊井直比呂先生を見つけました。論文に共感して、先生に直接連絡を取りました。それからイベントなどに声をかけていただけるようになり、2013年には8カ国の高校生を集めて行うユネスコ主催のディスカッションイベントにスタッフとして参加させていただきました。それからつながりが広がり、大阪府立大学で学びたいと思い、留学先に決めました。実はこのイベントが今の旅行会社への就職にも大きな影響を与えています。

参考リンク:
知と経験を架橋する/教育福祉学類 伊井直比呂 准教授
http://michitake.osakafu-u.ac.jp/2017/04/26/naohiro_ii_ap/

3、OPUで過ごした留学生活はいかがでしたか? 一番の思い出を教えてください。
生活費もいりますので関空の免税店でアルバイトをしていました。ウイスキーの販売をしていたのですが、そこでは色々な人に出会えてとても勉強になりました。人は、十人十色だということもよくわかりましたし、テイスティングを勧める中でお客さまの好みを思い探しながら販売するという楽しさも経験できました。中には名刺を出されて「うちに来ないか?」とオファーがくることもありました。

前年に引き続いて運営にかかわった2014年のユネスコイベントでは、高校生の参加国が33カ国になりました。本当に大変でしたが、そこからもたくさんの事を学べたと思っています。何より、事前に問題を予想する意識を持てるようになったことは、仕事をする上でも大いに役立っています。

また、留学生共通の課題として授業料の問題がありますが、大阪府立大学の留学生への支援制度には本当に感謝していますし、勉強への意欲にも繋がりましたね。

取材を受ける韓 小虎さん 取材を受ける韓 小虎さん

4、留学先(日本)に馴染むために、どのような事を工夫(または努力)されましたか?
留学先に馴染むためには、いろいろ工夫しました。実は中国では学生がアルバイトをする文化がないので、留学が決まってから中国のマクドナルドで2ヶ月間働きました。その経験があったので、日本でもすぐにアルバイトを見つけることができました。

もうひとつは、料理ができるようになったことです。私の出身は中国でも北の方なので濃い味が好みなのですが、なかなか好みの味に巡り会えませんでした。そうなると自分で料理をするようになり、今では好みの味を自分で作れるようになりました。家内にも褒めてもらっています。

5、日本の若者に接してみて、文化やキャラクターへの違いなど感じることはありますか?
ユネスコのイベント運営での経験ですが、打合せをまめに行うことと、打合せの進め方に感心しました。中国では、それぞれ自己主張が強いので、もめ事のようになることがありますが、日本では、とても丁寧にひとり一人の意見を聞き出すように穏やかに会議が進められていました。

結果は同じになるかもしれませんが、より多くの意見を聴こうとするプロセスがすばらしいと思っています。

取材を受ける韓 小虎さん

6、日本で、そして名鉄観光サービスで働こうと思われたきっかけを教えてください。
名鉄観光の橋本さん(現大阪教育支店 副支店長)ですね。ユネスコのイベントにも関わっておられ大学にもよく来ていただいていた方です。イベントにおいては主催者の理念をよく理解して協力会社やスタッフとして運営して行くことの難しさを学びましたが、橋本さんの仕事への姿勢を通じて名鉄観光サービスがまさしくそれができる企業であると確信することができ、第一希望の就職先として働きたいと決めました。

橋本さんと韓さん

橋本さんと韓さん

7、(中村)日本で働くイメージははじめからもっていましたか。
3年半の留学だけで帰国していいのかという思いがありました。もともと、もの事を短いスパンで考えるタイプではないので、どの経験が人生トータルで大切かを考えたときに、今の瞬間は日本のビジネスを勉強できる良い機会だと思っています。少なくとも10年は働いてみて、「次に大切な経験は何か」を考える時がくれば考えようと思っています。

8、日本人、特に若い学生が、もっと意識を変えたほうが良いと思うことがあれば教えてください。
個人的な感想ですが、もう少し自己主張が必要だと思いますね。ひとに合わせるのも良いですが、合わせすぎると、自分がどうしたいのか分からなくなる。ひとの真意を分かろうとすると時間が必要になって逆に効率も悪くなるときもあります。意見を出す時には出すようにすれば、もっと効率が良くなると思います。

9、海外で生活するなら、これだけは身につけておいた方が良い、ということは何ですか?
日本の学生はアルバイトなどの勤労経験があるので自立力は問題ないと思います。一方でやっぱり言葉の力は必要だと思いますね、特に英語です。それとコミュニケーションをしようとする気持ちがかなり大切です。積極的に自分と違う国のひと、違う意見のひととコミュニケーションを取ることが大切だと思います。そのためにも言葉は重要なツールです。

取材を受ける韓 小虎さん

10、母国そして日本で学ばれたことをさらに活かして、今後やって行きたいと思われていることがありましたら、お聞かせください。
仕事を通じて日中の良いところをそれぞれに深めたいですね。今、観光客の多くは台湾からで、大陸からは北京、上海からが多い状況ですが、中国はとても広い国です。中国の他の地方からも、もっと人を呼ぶための仕事をしたいです。政治は政治、民間は民間で、切り分けて仲良くビジネスができることをアピールしたいです。

11、最後に、OPUの日本人学生、またOPUにこれから留学する外国人留学生にエールをお願いします。
大阪府立大学はとても良い大学です。わたしの人生においてとても大事な2年間でした。留学生のことを誰もが受け入れてくれることはないと思っていましたが、大阪府立大学はそれを感じない、誰もが留学生を受け入れてくれる大学だと私は思います。他の学校にも行きましたが風土が全く違いました。留学したいなら学力をつけて大阪府立大学に望みましょう。そして日本人の学生はもっと留学生と仲良くなって、互いに学びあいましょうと伝えたいです。

12、(中村)他の留学生とはどのような交流がありましたか。
府大には中国留学生学友会があって幹事をしていました。長い外国生活の息抜きとして、自国の人間と自国の言葉で話せる楽しい時間でした。つながりは続き、今もその団体からツアーなどのお仕事をいただいています。それと、友好祭で中国人留学生で出店をしました。大変でしたが、たくさんの交流があって、そしておかげ様で儲かりました(笑)。

取材をする中村 将大

13、(中村)今、働いていて楽しかったことは。
近畿圏内の外国人団体向けの営業をしていますが、色々な国の人がいます。例えば、イスラム圏からの人の食事(ハラール)やお祈りの部屋の確保とか、そういうノウハウを知ったうえで手配をして、なおかつ他では出来ないような経験をしてもらうように努めています。最後にお客さまに「韓さんありがとう」と言葉をかけてもらうことが一番うれしいですね。お客さまの需要を満たしてかつ、プラスアルファで喜んでいただければ、こちらの達成感も増してやりがいを感じます。

■支店長の中沢様にもお話を伺いました。

支店長の中沢様

1、これまで名鉄観光サービスでは韓さんのような外国人を採用されたことはありますか?
過去にあったかは、正確には分かりませんが、私が知るかぎりのここ数年では初めての採用になります。私も日本人以外の部下と働いたことはなく、お互いが初めてのチャレンジとなります。

2、外国語ができる日本人ではなく、留学生を採用された理由をお聞かせください。
母国の文化的なものを持っているというに大きな違いがあるということと、企業としてインバウンド事業を広める必要性がある中で即戦力になってもらうためです。

3、韓さんの働きぶりはいかがですか?
色々な新入社員を見てきましたが、国籍関係なく大変前向きにがんばってくれている印象です。
本人は気づいていないかもしれませんが、韓さんにはたいへん良くしてもらったと、お客さまからの声も耳にしています。

4、今後、韓さんにどのような活躍を期待されていますか?
最終的には幹部を目指してほしいですね。30年40年働いて、「このフィールドで挑戦し続けて良かった」と思ってもらえる会社でありたいと思います。

5、韓さんと同じく、日本で働こうとしている外国人留学生に向けてアドバイス(メッセージ)をお願いします。
仕事には答えがないので、自分で答えを作って行くしかない。外国籍か日本籍かどうかに関係なく、自分たちの答えは、自分たちで考えなければなりません。これからの時代はなおのこと、その力が必要です。自分の可能性を求めて、自分が創れる答えは何かを常に意識して、前を向いてチャレンジして頂きたいと思います。

【取材:中村 将大(地域保健学域 教育福祉学類 4年)、皆藤 昌利(広報課)】※所属等は取材当時
【取材日:2017年2月21日】