家族の力を信じ、その力を発揮できるように
サポートする

宗教法人 在日本南プレスビテリアンミッション 淀川キリスト教病院
家族支援専門看護師
藤原 真弓さん

CNSを目指そうと思った動機は何ですか

救急の場では、命が最優先というところがあり、家族に目を向けるように努力はしていましたが、家族をケアしようという思いがあっても少ない人数の中ではなかなかできない、十分ではないというジレンマを感じていました。それまで何気なく実践してきた家族看護でしたが、その重要性は強く感じており、家族看護にはすごく興味があったので大学院で学べることを知って、もう一度学び直したいと思ったのが動機です。

本大学院の魅力は何だと思いますか

一年次は、授業でいろんな領域の学生と勉強し、一緒にプレゼンテーションを造り上げたりしました。その中で、領域が違うとそれぞれ視点が違っていて、時には意見の対立が起こることもありましたが、活発なディスカッションができ、いろんな人の考え方を否定することなく、そんな考え方もあったのだと、皆で共有し合えたことは凄く視野を広げてくれることになったし、お互いを高め合えたと思います。今でも、誰かに自分の思いを伝えるということは難しいと感じますが、相手に伝わるようにプレゼンテーションするにはどうしたらいいのかというところは大学院で学ばせてもらったことなのかなと思っています。

現在の活動について教えて下さい

療養支援課で入院時の面談を主に業務としていますが、小児の在宅療養支援も行っています。小児の支援は子どもさんもですが、お母さん、お父さんなど、ご家族抜きには考えられないので、潜在化顕在化しているような問題を見出して家族に介入し、ケアしていくということをしています。在宅療養をしている小児の家族支援では、お家で使う物品をお渡しする時に同時にお家での生活やお母さんの困りごとなどを聞き、ご相談に乗らせて頂いています。当院は小児看護専門看護師もいますので協働しながら家族支援をしています。

また、活動日として、週に2日間もらっているので、入院時の面談で気になるなと思ったり、同じ課で面談をしている同僚から家族支援が必要そうと紹介を受けたり、コンサルテーションを受けた患者さんの病棟をラウンドしています。今、ICUと脳神経内科の病棟にカンファレンスに入らせて頂いて、経過が長くなりそうで家族支援が必要だなと思ったら引き続き関わるようにしています。

家族ケアは、多くの役割を一人が背負い、負担になっている場合、どのように他の家族員と調整をはかるか、危機的な状況に陥っている人の精神的なサポートをどうするかなど、いろんなケアがあるのですが、私が病院の中で多く担わせて頂いているのは、家族としての意思決定支援です。救急搬送された患者さんの延命治療をどこまでするのかとか、最期の療養場所をどうするかなど、意思決定モデルで考え、家族が決定するために必要なことは何か、決定するために必要な情報を提供して、家族と一緒に考えるようにしています。答えを出すのは私ではなくて家族自らが力を持っているので、家族が自ら決められるように私が導くというか、一緒に考えて行くようにしています。最後には家族が決めるということを目標として関わり、家族自らが家族としての決定が出来たというケースがいくつかありました。

仕事のやりがいや喜びを感じるのは

いろんな病気を持った患者さんと接する中で家族の体験する病気体験を理解しようとすると、家族が、患者さんが病気になったことによってどのような影響を受けているのか、どういう体験をしているのかというのが見えてきます。そんな中で家族の弱い部分だけじゃなくて強みというか、家族の持っている力が見えてくることがあります。家族が凄い力を持っていると思える場面に何度も出会いました。私の力なしでもきっと普段の家族なら、家族だけでこの問題を乗り超えられると思えるときもあります。ただ、急に患者さんが病気になってしまったとか、何らかの予期せぬことが、その家族の力を上手く発揮出来ない状況に陥らせているのです。そのような時は、私が手とり足とり何かをしなくても少し支援することによって家族の持っている力を上手く発揮出来ることがあります。ほんの少し支援するだけで、家族が自分達の力で問題を乗り越えられたと感じられた時に、私の役割ってそこにあるんだと感じます。

病棟スタッフは、日々、忙しい業務の中で、家族まで手が回らないというのが現状ですが、そんな中でもスタッフが、家族のことを気にかけ、家族の立場になって医師と話し合いをしている姿勢を見ると私も教えられることが沢山ありますし、ちょっと立ち止まって家族の想いってどうだろうということを考えてくれたというだけで凄く嬉しいです。

【Profile】

救急看護認定看護師として勤務した後、本学大学院へ。大学院博士前期課程 家族支援看護学領域 家族看護学分野CNSコース平成24年度修了。家族支援CNSを平成25年度取得。