9/29に行われた、大阪府の貧困対策モデル事業「門真市子供の未来応援ネットワーク-キックオフ大会」で、門真市長や大阪府知事をもリードし、400人超が埋め尽くす会場全体での「がんばろう」三唱の音頭を取った大学生。それが、本学教育福祉学類3年の八上真也さんです。

八上さんが、府大を選んだ理由とこの事業に中心的ボランティアとして関わられることになった経緯や門真市についての熱い思いを伺いました。

【2017年9月29日 キックオフ宣言】

 

◆八上真也さんプロフィール
大阪府門真市出身
2015年4月 大阪府立大学教育福祉学類 入学
2015年6月~ 大阪市東淀川区・学習支援ボランティア「中学生勉強会」(週二回)
2016年9月~ 門真市不登校対策・学生フレンド(週一回)
2017年10月1日 門真市こどもの未来応援団員 就任

●どうして府大を選ばれたのですか?

私は、小中学生時代を門真市の公立学校で過ごしました。高校で門真市から初めて外に出て、門真市がたくさんの問題を抱えているということを知りました。

門真市は、学力テスト最下位、生活保護率ワースト2位。そして特に全日制の高校進学率が9割ほど、つまり1割程度の子どもが全日制の高校に進学できていない状況があるのですが、門真市で生まれ育ってきた私は、この進学率と環境が当たり前だと思っていました。しかし高校で他の地域に住む友達と話をするとギャップがあり、門真市が非常に厳しい状況であることを痛感しました。

そういった経験から、教育について学ぼうと考えるようになりました。いざ大学を選ぶ時期になって「教師になるための学びだけでなく幅広い学びを得たい」と、考えを広げた時にヒットしたのが大阪府立大学教育福祉学類でした。

教育や福祉という分野は、座学というよりはむしろ実際に目で見て、耳で聞いて、感じることが大切だと思います。

教育福祉学類の先生はとてもアットホームで、担当教員でなくても先生自身の活動に参加させてくださります。また教育福祉学類の学生もボランティアを熱心にやっている人が多く、自ら行動している人もたくさんいます。実際に現場で見て、学んだ経験が、色々な場面で生かされるのだと思います。

 

●門真市子供の未来応援ネットワークに関わることになったきっかけを教えてください

今年の5月に、門真市での子供の貧困に対する実地調査の新聞記事をたまたま読んだことがきっかけでした。

所属しているゼミの担当教員である嵯峨先生にお話を伺うと、同じ教育福祉学類の山野先生が門真市ご出身で、今回のこの事業も中心的に関わられるというお話をお聞きし、私も門真市出身で、門真市が抱える問題にずっと関心を抱いていたので、山野先生にすぐアポを取って「何でもいいので手伝わせてください」とお願いをしました。はじめはもっと勉強してきなさいと突き放されたりもしましたが、山野先生の門真に対する愛情も強く、山野先生と共に門真市のために頑張りたいという一心でした。

 

●新聞記事という小さなきっかけで、すぐに行動に移すことができたのはなぜですか?

【2016年8月門真市長室にて小・中学校の友人とともに学習支援事業の拡大を要望。門真市長・宮本一孝(中央)】

2年前期に、門真市についてのレポートを2本まとめました。レポートを書くに当たって地元門真の小学校の恩師や学習支援を主催されている方、教育委員会の職員さんから直接お話を聞いたり、また自分自身、週に一回不登校の子に勉強を教えるサポートをしてきた経験、そして、なにより門真市で育った経験から門真市の子どもたちのことについてある程度の知識があるという自負がありました。またそのレポートをまとめた結果、感じたことを門真市長にも直接訴えに行きました。

 

レポートを書くという小さなところから、恩師にお話を聞きに行ったり、直接門真の子どもたちに勉強を教えたり、さらには門真市長にお会いしたり。はじめから大きなことをしたわけではなく小さなことから自信をつけて活動の幅を広げていきました。

今回の「門真市子供の未来応援ネットワーク」についても同様で、2年生のレポートから始まった経験でえた自信があったからこそ、新聞記事を読んだ際に、すぐに動くことができたのだと考えています。

 

●「門真市子供の未来応援ネットワーク」における八上さんの活動内容を教えてください

応援団の活動は、現場の情報を「こどもの未来応援推進員(コーディネーター)」に伝えるということが基本になります。

私は、その活動に加えて、高校に行けるか行けないか危うい中学生の学習支援を行いたいと考えています。1年生のときから東淀川区で学習支援をお手伝いさせて頂いていますが、そこでは九九や分数ができない中学生が多くいます。そういった子供たちは、門真市にも必ずいると考えています。彼らに対する学習支援こそが大切なのですが、市はそこまで手が回っていないのが現状なので、応援団としてこの問題を解決したいと考えています。

応援団結成のときに「がんばろう」を三唱した際には、予想をはるかに超える地域の人々が参加してくださりました。それだけ多くの人から期待されているのだと緊張したと共に、なんとしても成功させようという気概が芽生えました。また今回、山野先生のおかげで、事業の企画段階から参加をさせて頂き、キックオフ宣言という大役をさせて頂きました。山野先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

●八上さんの将来の夢を教えてください

【2016年6月 定年退職後の今も「門真の子どもたちのために」と適応指導教室にて指導をされている小学校時代の恩師の取材に行った際に撮った写真】

今は、教師になることも目指しながら門真市の職員になることも視野に入れて公務員試験の勉強をしています。

 

悪ガキだった自分を小学6年生のときに改心させてくれた恩師と出会えたのも門真があったから。大好きな野球を始めるきっかけをくれたのも門真で生まれ育ったから。

そんな大好きな私の大事な門真に恩返しをしたいと考えています。

子どもの貧困は、根が深く5年、10年で解決できる問題ではありません。ですので、どんな立場になったとしても自分のできることを探してこの問題に向き合っていきたいと思います。

 

●高校生へ向けて一言お願いします

目的や目標をもって入学してほしいというのが一番です。

偏差値だけではなく、やりたいことをしっかり考えて大学に入学してください!

高校時代に大学で何がしたいのかを考えて過ごすことができれば、大学4年間で楽しく充実した学びを得ることができます!

 

■学域学類を問わず、八上さんと共に門真市で活動をしたい学生を募集しています

門真市出身であり、地元のために何かしたい!出身ではないが子供の貧困問題に関心がある!など興味のある学生はMICHITAKEへメールまたはツイッターまでご連絡ください。

メールアドレス:michitake.opu[at]gmail.com ※[ ]内をアットマークに

ツイッターアカウント:@MichiTake_opu

 

<各種メディアでの紹介記事>

「子どもの貧困」対策事業スタート 門真市で(朝日新聞Webサイト)

門真市「子供の未来応援ネットワーク-キックオフ大会」開催(地域FM Webサイト)

子どもの貧困に目配りを 門真に住民ネット発足(大阪日日新聞Webサイト)

 

<八上さんが代表を勤める大阪府立大学軟式野球サークルvictorysのWebサイト>

https://teams.one/teams/opuvictorys

 

【取材日:2017年10月12日】
【取材:右大輝 現代システム科学域マネジメント学類4年】※所属は取材当時。