7月1日~2日に、三木ホースランドパークで開催された「第60回関西学生賞典総合馬術大会」にて総合競技個人で優勝された、藤本晃さんを訪ねて馬術部へお話しを伺いに行ってきました。
■プロフィール
大阪府立大学 工学域 物質化学系学類 マテリアル工学課程4年 藤本晃
2014年大阪府立大学 工学域 物質化学系学類 入学
同年、馬術部に入部(現、66期主将)
2017年第60回関西学生賞典総合馬術大会個人優勝
―優勝された大会では、どのような馬術競技が行われたのですか
出場したのは総合馬術というもので、馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術の3種目からなる馬術競技です。
馬場馬術では定められた運動科目で図形を描き、その正確さ美しさを競い、クロスカントリーは規定時間内に様々な障害を越え、競馬ほど早くないですが2800mの山中を疾走する競技です。
障害馬術は、コースに設けられた数々のバーを飛び越えてゆく競技で、すべて減点方式での採点となります。
今回の大会では良い結果が出せたので、とても嬉しいです。
1年生で初めて馬と出会い、3年半しかない時間の中で辛いこともありましたが、私立大学に勝てたことが大きかったです。私立大学には入学前から馬術をやっていた人が多く、長きに渡って馬術をやってきた人に勝てたというのが、終わってから実感としてじわじわときました。今回優勝できたことも馬術部みんなのおかげで頑張れたことにあります。
―馬術部に入部されたきっかけは?
社会に出るまでに、今までやった事のないことをやろうと考え、学内の部活をほとんどすべて見学して、最後に訪れたのが馬術部した。
その時に出会った馬がとてもかわいくて、帰ってからも頭から離れなくなり、何度か馬場へ行って馬に乗せてもらったりしていたら、いつのまにか入部していました。
受験で張りつめていた気持ちが、一気に癒されました。今も馬セラピーで毎日癒されています。
―部ではどのような活動をされているのでしょうか
現在11頭の馬がおり、全頭競馬あがりで牧場で乗馬調教された後、だいたい6歳から8歳の頃に馬術部へやってきます。
人が乗るのには慣れているのですが、やってきた当初は小さな回転ができなかったりするので、基本的な図形を書いたり、馬の姿勢なども意識した練習を行っています。
障害馬術で使う道具も部員たちで手作りすることがあり、先輩方から受け継いだ道具などもあります。
普段の練習も含め、大会出場までやってきた練習も自分ひとりだけでは出来ません。
馬のことも、荷物の準備や運搬などあらゆることをみんなでやります。
障害馬術の練習で騎乗しているとき、障害物の移動や設置などは、仲間に助けてもらわないと進めることができないので、お願いすることになります。
そして他の誰かが練習する時は、みんなのサポートにまわって、互いに助け合いながら練習してきました。
年末年始や長い夏休み期間中も、昼間は部員全員で、夜は男子2名が宿直して、365日休むことなく毎日馬の世話をしています。大変ではありますが、みんな馬が大好きなので、かわいい馬たちの姿を見ているだけで疲れも吹っ飛びます。
大会までの練習は普段と違い、大会の会場にもなっている、三木ホースランドパークで総合合宿を行います。
ここでは、特別にJRAの方が来て指導してくださるのですが、この練習の1ヶ月後に本番の大会が開催されるので、ちゃんとした練習はこれが最初で最後になります。
今後は、先輩に助けてもらったものを、後輩へ受け継いでいこうと思います。大会へ出場して、自分を超えていってほしいと思っています。
―毎日、馬の世話もありますが、部活と学業の両立は大変なのでは?
かなり大変ですが、私の場合は忙しい方が勉強も短時間集中できるので、だらだらやることがなくて性格に合っています。今思えば、1年生の頃が特に忙しく、扱いのわからない馬のことを先輩に教えてもらい、戸惑いながらも全力でやっていました。
大学の授業も難しく、ついていくのがやっとな時期でした。
今は馬の扱いにも慣れてきたので、楽しく両立できています。
―部活での学びも多いようですが、学業に与えた影響はありますか?
集中力、忍耐力がつきました。
テスト前に、ある程度やってしまうと、これでいいかなと諦めてしまう自分にむち打って、最後まで頑張ろうと思えるようになりました。部内にいる同学課の同士と一緒に勉強することもあります。一人だとサボりたくなりますが、一緒にいることで頑張れたことも多いです。
―府立大学ではどのような分野の勉強をされているのですか
以前は医者をめざしていましたが、大量の血が苦手なまま克服することが難しく、実験も好きだったので、高校の時に化学系大学の進学をめざし、授業料のことも考慮して国公立を選択しました。
物質化学系学類へ入学して、2年時で更に専門的な課へ進むのですが、研究内容を調べる中で骨の材料を作る研究室と出会いました。
これからは高齢者が増えてくるので、骨のことは重要だと考え、材料の分野から役立てるのではないかと、マテリアル工学課程を選択しました。
卒業後は、大学院でもう少し研究を続けたいと考えています。社会に出て、人の役に立てる研究を続けて、開発ができる企業へ進みたいと思っています。
―府大をめざす高校生へ向けてメッセージをお願いします
大学はやりたい事が自由にできる最後の時間です。
専門的な勉強はとことん出来るし、部活にも力を入れられる。充実した時間を過ごしてもらいたいです。
両立は難しいけれど、部活をやることで充実感と達成感が生まれて、ワンマンプレイになりがちな勉強ですが、部活はみんなとの共同活動になり、数々の経験を通して絆も深まります。
府大には多様な部活がいっぱいあるので、じっくり選んで自分の気に入ったことをやってほしいです。
【取材:塩根 春華、藤井 郁子(広報課)】
【取材日:2017年8月16日】※所属は取材当時