本学では、耳が不自由なため先生の話が聞き取りづらい、または筆記に困難があるなどの理由で、授業内でサポートが必要な学生のためにノートテイクを行っています。

ノートテイクとは、聴覚障がいのある学生が皆と同じように、授業をリアルタイムで受けられるよう、文字による支援を行うものです。

今回の研修は、パソコン、筆記両者の講師を招いた2部構成で行われました。すでにノートテイカーとして登録・活動している学生たちを中心に、初めてノートテイクに触れる学生も参加し、技術向上をめざしていました。

ノートテイカーとして活動している学生がスピーチ

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研修スケジュール概要

◎プロローグ/活動中の学生によるノートテイク概要説明
◎パソコンテイク
・実践練習/1人入力、2人連携入力
・講師実演/PC(IPtalk)設定方法やパソコンテイクの注意点、要点確認
・質疑応答/実践練習を見て、講師からのアドバイス
◎筆記テイク
・実践練習/利用学生(※)を意識して書く
・要約実習/1文を、15文字以内にまとめて書く
・質疑応答/実践練習を見て、講師からの注意点、要点確認とアドバイス

※聴覚障がいがありノートテイクのサポートを利用する学生を、「利用学生」と表記しています。

 

◆パソコンテイクは、スピーディーで正確なタイピングの勝負!

IPTALKを解説する講師本学のノートテイクは、大きくわけてパソコンテイクと、筆記テイクの2つの方法を採用しており、1授業2名体制で行っています。授業内容や利用学生からのニーズや、該当授業時間に活動可能な人員内での調整により、パソコンと筆記の組み合わせを決めています。まず、最初に行われたのはパソコンテイクによる実践練習。ノートテイカーが、聞き取った授業内容をタイピングしていき、パソコン画面にその内容が表示されていきます。利用学生は、その文字を読み進めながら、授業を把握していくという方法です。

研修へ参加するには、ブラインドタッチが最低限のスキルということで、参加した学生たちはスピーカーから流れる「健康によい習慣」というテーマの音源を2分間聞き取りながら、迷いのないタイピング音をカタカタと教室に響き渡らせていました。

PCタイピングをする学生たち

実際にノートテイカーとして入る授業では、先生の話すスピードに対応しなくてはいけないので、タイピング速度を上げることはもちろん、授業内の音声情報をその場で正確に伝えていく技術が必要になります。

文章として読み取れるよう、主語、述語の表記にも注意し、句読点を意識して打つことや、改行を意識することなど、講師からはいくつかの要点が上がりました。

1人入力の後は、2人で交互に連係入力のできるIP talk というソフトを使い、互いの息を合わせながらタイピングする練習です。
連係することで情報量は増えますが、利用学生が読みやすいように、コンスタントに文字が表示されるようスクロール速度にも注意し、また2人でタイピングすることで、長文にならないよう心がけたり、重複した文章を同時に入力しないよう気をつけるなど、連係入力ならではの注意点も伝えられました。

この実践練習中は、講師が学生の間を巡視し、個別のアドバイスも行っていました。

 

◆筆記テイクは、自由度が高い!

その場で書きながら解説する講師

筆記テイクとは、紙とペンを使い、聞き取った内容を同時進行で文字にして書き取っていく方法です。

後で見返すための記録用に書くのではなく、利用学生がリアルタイムに授業を理解できることを目的としているので、隣に座る利用学生が瞬時に判読できる大きさや丁寧さで文字を書くのが基本となりますが、ある程度のスピードも要求されます。そこで必要になるのが、書く時間の短縮にもつながる要約技術です。

 

ここでの要約技術とは、テイカーが、聞こえた内容を主観によりまとめて書くことではなく、出来る限り先生の言葉に忠実に、前置きや丁寧な結びなど、無くても意味が通じる言葉や整理できる言葉をそぎ落とし、限られた時間で講義内容を正確に書き取る技術のことで、すべてのテイカーに求められるものです。

ノートテイカー役、利用学生役になって2名で筆記練習

筆記テイクでは、2人並んだ一方が利用学生役になっての実践練習という形をとりました。

右利き、左利きによって、ペンを持つ手が邪魔になり、利用学生から文字が見え辛くなることもあるため、テイカーが座る位置をあわせて変えるのも、筆記テイクならではの特徴です。

黒板位置を考慮して利用学生の視線動線を考え、読みやすいような配置で資料を置くなどの工夫も、利用学生と事前に取り決めておくとスムーズにノートテイクを進められます。

15文字にまとめて書く練習筆記練習をする学生の手元

パソコンテイクとの大きな違いは、文字情報だけでなく図解なども描ける点と、配布資料を指し示したり、直接書き込みをしながら、授業の参考にしてもらうことができる点です。

話し言葉の特徴を知ったうえで、練習では、朗読を聞き取ってゆき、整理できる表現をそぎ落としながら、最低限必要な情報をもらさずに書き取ることができているかを確認していきます。

実際に行われる講義に入ってのノートテイクでは、レポートの課題や、試験の日程なども書きもれがないようにしなくてはなりません。

利用学生が読みやすいように大きな字で書き、文章を書き始めたら、最後まで文を書き取るなどのポイントも講師から上げられました。

筆記実習をする学生

 

◆いつでも言葉のアンテナを立てておくこと

テイカーとして入っていく中で、得意分野の授業であっても、先生の例え話や他の学生とのやり取りの中で、聞き慣れない言葉が飛び出したりすることもあります。

ネットや新聞、テレビを賑わせている言葉など、知っていないと書けない綴りも多いので、常に言葉のアンテナを立てておくことがポイントです。

流行の略語や社会情勢なども把握しておくと、その場ですぐに対応もでき、利用学生の理解も深まります。

教室内を巡回して学生を見ている講師

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テクニックもさることながら、読み手のことを考えてサポートすることが重要になってきます。ただパソコンに入力するだけ、筆記するだけにとどまらず、テイカー同士も利用学生も含めて、互いにコミュニケーションを取り合いながら、授業に臨むのが重要なのですね。

まずは気軽にトライしてみてください!

ここでは紹介しきれないほど、講師の方々からはたくさんのポイントやアドバイスが出されていました。ノートテイカーは、随時募集しております。興味、関心のある学生の方は、アクセスセンターまでお問い合わせください。

https://www.osakafu-u.ac.jp/campus_life/support/disabled/

 

【取材日:2017年9月7日】
【取材:塩根はるか(広報課)】※所属は取材当時