数学を研究テーマにし、日夜研究に励む大学院生、河野 詳朋さん。

河野さんは大学院で数学領域を専攻し「微分方程式」を研究テーマとされています。受験生のみなさんから見ると、生命環境科学域 理学類の中の数理科学課程の流れとなり、日常の様々な部分に使われている「数学」について学ぶ学問です。

学部(府大では学域)時代の4年間に比べ、大学院生になると研究活動が日常の中心となり、受験生のみなさんが思う「大学生」のイメージとはまた違う姿かなと広報担当者は思っています。

大学院生の日常はどういったものなのか?!大学院生の研究の1シーンとして、どうぞご一読下さい!

■プロフィール

大阪府立大学大学院
工学研究科数理工学分野 博士前期課程1年
河野 詳朋

2013年 大阪府立大学 工学域電子電気系学類に入学
2014年 同学類 数理システム課程に配属
2017年 大阪府立大学卒業、大阪府立大学大学院に入学

現在は松永秀章教授の研究室に所属し「微分方程式」を研究

-どんな研究をしているのですか?

数学の解析学分野の中にある、微分方程式を研究しています。物理の力学に登場する運動方程式は、微分方程式の代表例です。また、ある生物の個体数変化について、どのように増減しているのか、微分方程式を用いてモデル化し、推移を予測することが可能です。

そもそも微分方程式は何かということですが、関数とその導関数を含んだ方程式のことです。高校までの数学と違い大学では解が1つではないことがあります。また解が存在することは分かっていてもその解を具体的に求められないことも多いです。「解けないけれど、その方程式の解(関数)はどんな性質を持つのか」を調べる研究があります。これが微分方程式の世界です。

今は以前に先輩が調べていた方程式を使って、パラメーターが少し変化したら解がどういう性質になるかを調べたり、予想される解の性質の証明を考えたりしています。

先輩達の研究発表を聞いて思うのですが、身近なものについて考えている研究ほど聞き手の喰い付きが良いように思います。せっかく研究しているので、そんな風に人が喰い付いてくれるような研究をしていきたいと思っています。

-数学の楽しさって何ですか?

数学の魅力は答えが1つでもそこに辿り着く方法がいくつもあること。

例え間違ってしまっても「なんで間違ったんだ?」「こんな方法で解けるのか!」を考えるので、僕は正解を得る喜びよりも問題を解く過程に楽しさを感じます。

小学校の頃から算数が好きで、中学に入ってから算数が数学へとなった時に、より楽しくなったのを覚えています。

周りにも大学生になっても数学が好きな人がたくさんいますが、見ているといきなり好きになるより幼い頃から好きな人が多いんじゃないかなと思います。

高校に比べ大学の数学は範囲がとても広くなります。

数学が好きな人にはこのとても広い「数学の世界」の中に、楽しめる分野や勉強していても苦じゃない分野がきっとあると思います。数学好きな高校生は是非大学でも数学を勉強してみて下さい。

-なぜ府大を選んだのですか?

私立高の特進コースに通っていました。僕のクラスは部活に入っている人がおらず、勉強中心の毎日でしたね。たまに学校が早く終わる時は友達とよくボウリングやカラオケに行ってました。

現役のときに前期は失敗し、後期は合格しましたが「もう1年頑張ってみようかな」と思い浪人生活を選びました。

浪人する、と決めたときは「せっかく後期で合格してるじゃないか」と言われたものです(笑)

2回目の大学受験は前期で京都大学、中期で大阪府立大学(以下府大)、後期で首都大学東京を受験し中期・後期が合格。

偏差値のこともありましたが、それとは別に京都を中心とした「和」の雰囲気がなんとなく好きでしたので、関西にある府大を選びました。

-どんな大学生活を送っているのですか?

学部生の頃は学園祭の実行委員会に所属し、外部の方が出店されるフリーマーケットの運営管理をしていました。

学園祭が開かれる3日間、限られたスペースをスケジュール通りに運営していく中で、外部の方とコミュニケーションを取るとても良い社会勉強になりました。

催し物の企画やリハーサルなど仲間と達成する喜びは、一人でコツコツ解き明かす数学の喜びとはまた違い、とても得がたい経験になりました。

アルバイトは飲食店のスタッフと塾講師をしています。

塾では数学をメインで中高生向けに教えていますが、生徒が授業を理解できない時は「どうすれば分かってもらえるかな」と悩み苦労します。

バイトは精神ともにエネルギーを使うので、お金のためとはいえ、やはり疲れますね。(笑)

-将来の目標や、やりたいことを教えて下さい。

実は日本にないんです。(笑)

幼い頃から兄の影響もありゲームが好きでした。海外旅行の際にカジノに行ったのですが、とても楽しかったんです。もう何時間でも居れるなって思うくらい。

幸いにもその時は結構のゲームに勝つことが出来ましたが、勝った事実よりも戦略を考えることが楽しいなと感じました。そういう意味では数学の「問題を解く」ことを楽しむ感覚に近いですね。

「何時間でも居れるな」って思えるくらいの世界で、それを職業に出来たら良いなと思っています。

自身の研究とは全然関係ないのですが、取り敢えず現在は日本にカジノがないので、働きながら日本にカジノが出来るのを待つしかないかなと思っています。

-高校生へ向けてメッセージ

こんな取材を受けていて言うのもなんですが、僕は府大があまり好きではないです。

それは第一希望の大学でないことが理由ではなく、「大学の周りに何もない」ことが嫌なんです。

買い物をしたり映画を見たりするのに難波まで電車で一本ですが、それでも大学の周りにもうちょっと何かあればいいのに…と思ってしまいます。

しかし、学生生活と勉強に専念するという面で捉えると府大は良い大学だと思います。

東京大学に進学した友達は、周りの人間が毎日勉強の話しかしないので辛いと言っていました。

府大は設備が整っていますし扱う学問もレベルは高く、周りの人間も勉強ガチガチではない。その分、人と人のつきあいや部活など、ゆとりのあるキャンパスライフも楽しむことができると思います。

勉強ももちろん大切ですが、それ以外で自身の学びになることも非常に多いと思います。

最後にこの記事を見てくれた高校生の皆さんに一言お伝えするとすれば、「我慢をあまりしないこと。やりたいことが遊ぶことだったら自由に遊べばいい。」ということです。

どんなに勉強しようとも、どんな大学に入ったとしても、人は「もっと勉強しておけばよかった」といつまでも満足できない生き物だと思います。

ならば先に満足できるのは遊ぶこと。勉強ももちろん大切ですが高校の時に遊び尽くせば後で「もっと遊んでおけば良かった」と思うことはないんじゃないかなと僕は思っています。

今をぜひ、全力で楽しんで下さい。

◆参考リンク
数理科学課程/数理科学専攻のWebサイト(平成30年度に新設)
http://www.m.s.osakafu-u.ac.jp/

【取材日:2017年7月21日】 ※所属・学年は取材当時