猫や動物が好きで、また飼っていた猫が不幸にもかかってしまった不治の病を研究したい一心で、これまで歩んでいた道を軌道修正し獣医学類に入学した学生がりんくうキャンパスで学んでいます。

その学生、藤岡 美樹さんにインタビューの機会をいただき、これまでの歩みや将来の目標など、いろいろなお話をお伺いしました。(撮影場所:りんくうキャンパス)

 

藤岡美樹さんカット01

■プロフィール

大阪府立大学 生命環境科学域 獣医学類 2年 藤岡 美樹

大阪女子大学 学芸学部 基礎理学科卒、京都大学大学院修了。その後社会人経験を経て、2016年 大阪府立大学 生命環境科学域 獣医学類に入学。

 

 

■なぜ獣医師になろうと思ったのですか?

大阪女子大学を卒業して、進学した京大の大学院では植物のバイオテクノロジーを研究していました。その後、大阪府下で塾講師として勤めていました。

仕事は充実していてとても楽しかったのですが、「この職を一生続けていて良いのか…」社会人になると誰しもが考えるこの問いを、私も抱いていました。

同じタイミングで、実家で飼っている猫がFIPウイルス(※)にかかり、このウイルスには現段階で治療法がない事を知りました。猫はもちろん、動物は好きでしたので、「一生かけて、FIPウイルスについて研究する道もいいな。」そんな気持ちを家族に伝えたところ、凄く応援してくれたんです。そこから獣医師をめざして受験勉強がはじまり、何度かの失敗を経て大阪府立大学(以下府大)の獣医学類に入学する事が出来ました。

※=猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルス。FIPとは、Feline Infectious Peritonitisの略。FIPは発症する原因が未解明なこと、確定診断が難しいこと、有効な治療方法がないことなどから、猫の不治の病のひとつと言われている。

働きながらの受験勉強は大変でした。最後は仕事を辞め、自身を追い込んで勉強してここまで来ましたが、やはり家族の支えあっての合格だったと思います。

 

■どんなスケジュールで過ごされていますか?

りんくうキャンパス外観

獣医学類はりんくうキャンパスにありますが、1年生のときはいわゆる専門科目はなく、ほぼすべて中百舌鳥キャンパスで教養科目と語学、理系基礎科目などを学びます。他学域の学生と一緒に学ぶことも多く、1日あたり2〜3コマ(1コマは90分)を月〜金曜日まで受講するイメージです。

2年生からは専門科目や実習がりんくうで始まります。2年生から6年生までの5年間(獣医学類は6年生のカリキュラム)は毎日座学や実習が入り、実習によっては終わりが20時や21時になることもあります。1年生よりかなりハードになりますね。

実習になると、その日終わるのが何時になるか分からないと先輩から聞きます。ですので2年生になるとりんくうキャンパス付近に引っ越しする学生が多く、私もその一人です。

私は現在2年生なのでまだ先の話ですが、5年生で病院実習、6年生では12月の卒論発表後に国家試験対策が始まるとの事です。府大の獣医師国家試験合格率は約90%と、他大学に比べ高いので自身も頑張らなくてはと思う毎日です。

 

■獣医学類はどんな雰囲気ですか?

1学年は40人前後で1クラスのみ、1年生はおおよそ中百舌鳥キャンパスへ出ていますが、それを差し引いてもりんくうキャンパスには約250人の学生・教職員が日々出入りしています。

カリキュラムは全員同じです。大学の講義は授業毎に教室を移動するイメージがありますが、約40人1クラスがみんなで学ぶ授業が続くので、うちの場合は教室に先生が入れ替わり来てくださいます。高校や予備校に似ていて新鮮です。

 

学年全員のクラス旅行の様子

学年全員のクラス旅行

また、1学年の数が少ないので縦も横も繋がりが深いですね。クラスで旅行したり、前期試験お疲れ様会をしたりしました。

各学年には担任の先生も就いて下さっており、とても親身に接してくれます。顔を合わせたら「困っている事はないか?」といつも声を掛けて頂いて…本当に高校みたいです。(笑)

飼い犬に見つかった虫体の写真を撮って、何という虫かを先生に質問したらすぐメールで返ってきた事もありました。とにかく教員と学生の距離が近く、先生方には本当に感謝しています。

年に1回、学類全体の交流会がありキャンパスの中庭でBBQも行っています。そこには全学年の学生・院生がいますので、先輩たちから経験に基づいた生の声を聞けてとても勉強になります。他の大学の獣医学部がどんな風かは分からないですが、私は人と人との距離感が近い、この府大獣医学類はとても良い学びの環境だと思っています。

 

■獣医師をめざしてどんな事を学ぶのですか?

獣医師は、動物病院で獣医になる「臨床」と、動物の病気を日夜研究する「研究職」との大きく2つに進路が分かれます。他にも食品衛生の分野に進んだり、保健所に勤めて、例えば屋台を出す時の検査の仕事を行なうなど、色々な道がありますが、どの進路を進むにしろ勉強する事は同じです。

2年生では獣医の基礎となる体の各部分や神経・血管などを覚える科目が多いですね。暗記量は多く、先日前期試験が終わったところですが、大学受験の勉強時間と変わらないくらい大変でした。

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しかし、社会人を経験してから自ら道を定めてついに入学した獣医の道です。将来やりたい事が明確なので、大阪女子大時代よりも勉強に身が入っています。

獣医学類では年に一度、病気の治療法・予防法を発展させる上で多大な貢献をしてくれた動物達の霊を慰める「慰霊祭」を行っており、獣医学類の教職員・学生が多く集まります。また、2年生の後期には解剖の実習が始まりますが、獣医として大きく一歩進む半面、そのリアルさに耐えうるかの不安も感じています。

単純に「動物が好き」で入ったこの獣医学類ですが、動物の生き死にがとても身近になり、気持ちは日々獣医師目線にシフトしています。

今の膨大な暗記勉強がいつか動物達の役に立てると信じ、命に対する敬意を胸に勉強に励んでいる毎日です。

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■今後の目標を教えて下さい

入学当初はFIPウイルスをテーマに卒業論文を書きたいと思っていましたが、「研究の成果が出るか分からない」、「何らかの成果が出るまでに非常に時間が掛かる可能性がある」という事も先生からの指導の中で分かってきました。ですので今は「論文を書けそうなテーマを持ちなさい」と言われていて、視野を広く持ちながら学びを深める事に専念しようと思っています。

将来はFIPウイルスの研究に携わる事が最終的な目標なので、卒業後は研究機関で働きたいと考えています。

また、私の両親は猫の保護活動をしているので、獣医師免許取得後は避妊去勢手術などで両親を手伝い、ライフワークにしていきたいですね。

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【取材日:2017年9月4日】 ※所属・学年は取材当時