2016年8月から5ヶ月間、イギリスのブリストル大学に留学された長野将吾さん(当時 工学研究科 機械系専攻 機械工学分野 修士2年 )から、研究留学レポートが届きました!

長野さんは、本学海外留学支援事業の「つばさ基金海外留学支援事業」に採択され、更に文部科学省トビタテ留学JAPAN!の5期生にも選ばれました。

海外への挑戦を考える多くの方の参考になればと思います、ぜひご一読ください!


◆プロフィール(Profile) 
氏名 長野 将吾
所属 工学研究科機械系専攻機械工学分野
学年 修士2年
留学先 ブリストル大学(イギリス)
留学期間 2016年8月19日~2016年12月31日
記入日 2017年4月10日


 

●留学の経緯

留学をはじめようと思ったキッカケは大学のカリキュラムでした。私は博士課程教育リーディンプログラムという文部科学省のプログラムに所属しています。このプログラムでは、修士課程在学中に自分の所属する研究室とは異なる研究室へ3か月以上所属することで異分野の考え方を学ぶことが必須となっています。

自身が植物工場に関わる応用研究に携わっていることもあり、私はこの機会を用いて海外で生物関係の基礎研究を行っている異分野の研究室へ行きたいと考えていました。

最終的には、国際会議でイギリスへ行った際に面識のできたブリストル大学のAntony Dodd先生の研究室で研究をさせていただくことになりました。

 

●留学の準備

留学を計画する際に、最初に留学費用を獲得する必要がありました。本学からは「つばさ基金海外留学支援事業」の支援を頂き、更に文部科学省トビタテ留学JAPAN!の5期生に選抜されることによって本留学が実現しました。

トビタテ留学JAPAN!は選考が非常に厳しく、留学計画書をブラッシュアップしていく中で自分の中で不明瞭だった目的意識が明確化していきました。また、このプログラムでは様々な分野で留学する学生と繋がることができます。リーディングプログラムでは工学・農学・理学等,主に研究の側面で異なる分野の学生と交流することができますが、トビタテ留学JAPAN!では、哲学やスポーツ、ビジネス、アート等より多様な専門性を持った学生と交流することができました。

(トビタテ留学JAPAN!では毎期約500名の学生を選抜しています。特にイギリスへ行く場合だとアクセスの容易なヨーロッパ圏の学生と仲良くなることでお互いの国に訪問した際に泊まらせてもらったり、泊めてあげたりとできるメリットもあります。自分はこのように異なる専門を持つ学生と話すことが好きだったので、滞在中に約10人のトビタテ生をブリストル大学の下宿先に泊めて語らいました。)

 

実際の留学の計画では、生活面で特に大きな準備はしませんでした。

基本的に現地で何でも手に入るのですが、病院関係は海外だと高くつくので日本で済ませておいた方が良いと思います。

また、本をよく読むようにしているので小説とか技術書とか色々持っていきましたが、それは重いだけでした。可能であればpdfにして持っていかれるのが良いと思います。ただ、観光ガイドは紙ベースのものを持っていった方が良いと思います。現地で人と話すときに話題にもなりますし、お互いに指で観光ガイドを指しながら話すと盛り上がると思います。

炊飯器はオンラインで購入しました(アマゾンUK,20£)。お米等も韓国人が経営しているアジアンマーケットで購入することで簡単に自炊することができました。(イギリスは御飯があまり美味しくない+物価が高いので、日本人はイギリスへ行くと必然的に自炊をするようになると思います。)

 

●現地での生活(研究)

研究室は、5人の大学院生(博士課程生)と1人の教授からなる小さなラボでした。ただ、学生居室には20人くらいの学生がいて、複数の研究室の学生が同じ居室を使っているようなイメージでした。

実験室も複数の研究室が共有で使っていました。最近流行りのオープンイノベーションを意識しているのか、研究室間の壁もなくて印象的でした。ただ、同じ機材を多くの人で使っているので喧嘩にはなっていました。

教授とは週1回のミーティング、研究グループでも週に1回の論文の輪読会をしました。元々英語が苦手ではなかったこともあり1対1のミーティングには特に問題がありませんでしたが、複数人の学生が話し出すディスカッションに対応するのは最後まで苦労し、録音させてもらって聞き返すなど工夫をして対応していました。

在席していた研究室のPIはCNS(Cell, Nature, Science)で多くの論文を執筆している一流の研究者なので、ほとんどディスカッションする機会がないと覚悟していました。しかし実際には、研究を進めるにあたるトラブルを一緒に乗り越えてくれたりして、「君は雑務をしにきたのではないから困ったことがあったら全部言ってほしい。せっかく来たのだから頭を使うことをやってほしい。」と言われ、感動した記憶があります。

私自身が今後忙しくなってからも、この先生のようにまだ実力の伴っていない若い学生に気遣いができるような人になりたいと思いました。

 

●現地での生活(研究生活)

以下に、自分が特徴的だと考えた現地での研究生活を挙げます。ブリストル大学特有の特徴や、イギリスでの特徴、海外の研究室の特徴等が含まれています。

◆学部は3年、修士は1年、博士は4年が一般的でした。

例えば、異分野の学位が欲しい場合、修士課程に1年間行けば修士号が貰えます。(実際に日本の企業を辞めて、1年間で修士号を取得しにイギリスに来ている人とも知り合いました。)

また、よく「海外では博士号を持っていないと通用しない」と言われますが、このフレーズには二通りの解釈があると今は思っています。日本でこのフレーズを聞いたときは「海外では博士号を持っていないとダメなのか。修士の研究(2年間)では通用しないのか。」と考えていましたが、実際に現地で研究をしていると「学部と修士が合計4年間で取れてしまう(日本では学士号が取れる期間と同じ)、それはそうなるな。」と実感しました。

◆「キャンパス」という概念がありませんでした。

街一体が大学や居住区、公共施設の集合となっており、大学関連の施設が集まっている区域はありますが明確に大学内と大学外の線引きはされていませんでした。

ブリストル大学には音楽科など、日本では単科大学でしか見られないような学部もありました。指導教官に日本の総合大学にはあまりない旨を伝えると、「Universityのコンセプト(総合大学であること)から考えると音楽科がないのはおかしいのではないか?」と言われてしまいました。

 

●現地での生活(研究以外)

研究が終わったら、研究グループのメンバーでよくパブに行っていました。イギリスでは居酒屋の代わりにパブへ行くことが多いです。

研究が終わったら直接向かうことが多いのですが、居酒屋とは違い基本的には御飯を頼まずアルコールをいきなり飲み始めます!

日本では「空きっ腹に酒」 と言われているので最初は違和感がありました。スペインも日本と同様に御飯と酒は同時に頼むスタイルらしく、よく飲んでいるイギリス人に交じって僕とスペイン人の友達だけ御飯を食べていたこともありました。

また、たまにイギリスに留学にきている日本人の学生と会ったりしていました。「留学に行く際はせっかくなので日本人とは一切関わりたくない」という志も立派ですが、留学にきている日本人学生は面白人が多いのでたまにはコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか。

特に日本人特有の悩み(御飯がおいしくない等...)は外国人と共有が困難なので、そのような共有できる友達はいても損はないと思います。

 

●留学を考えている方へ

留学にあたっては障壁がいっぱいあります。金銭、親、年齢、研究室、就職活動…。

学部1・2年生は「自分には専門性がないからもう少し経ってから」。

学部3・4年生や大学院生は「就職活動のタイミング的に難しい」、「研究室が忙しい」。

基本的に大学生活のどの段階においても、ある程度の数の壁を突破しないと留学へはいくことができません。

私自身は、「修士論文の直前の時期であること」、「指導教官との直接的なコネクションがない研究室であること」、「プログラムの規定で海外へ留学した学生の前例が今までなかったこと」が今回の留学をする際の障壁となりました。

これだけの困難を乗り越えてでも行く価値はあったと思います。

 


【寄稿:長野 将吾(MICHITAKERs:工学研究科 博士後期課程1年)】
【寄稿日:2017年4月10日】 ※所属・学年は取材当時