2016年1月から8ヶ月間、国立フィリピン教育大学に留学された城戸 美和さんから、研究留学レポートが届きました!海外への挑戦を考える多くの方の参考になればと思います、ぜひご一読ください!


プロフィール(Profile)
氏名(Name)城戸 美和
所属(School)地域保健学域教育福祉学類
学年(Grade)4年
留学先(Name of overseas institution)国立フィリピン教育大学
留学期間(study abroad period)2016年1月4日~2016年9月3日


 

留学レポートStudy Abroad Report ~「国際ソーシャルワーカーへの道」~

私は、文部科学省の「トビタテ!留学Japan」という奨学金制度を利用し、国立フィリピン教育大学(Philippine Normal University)に交換留学していました。フィリピン教育大学(以下、PNU)はメインキャンパスがマニラの中心地にあり、総学生数は約6000人。そんな中、留学生の数は私を含めてたった3人。(留学当時)しかし、大学で「アウェー」になることなど一度もありませんでした。授業ではいつもクラスメイト達が助けてくれたり、学内を一歩あるけば、沢山の友達が「Hi,Miwa!」と声をかけてくれたりしました。そんなホスピタリティに溢れていて、いつも優しく温かく迎え入れてくれるフィリピンの方々に助けていただき、充実した8か月間を過ごすことができました。

 

―なぜトビタったか

日本だけでなく、海外でも活躍できる社会福祉士になりたいと思ったからです。そんな気持ちに火が付いたのは、教育福祉学類の海外スタディーツアーです。ハワイ大学での講義や施設を訪問したり、カンボジアで内戦から復興、開発への国際協力を学んだりして、日本の援助の優位性、社会福祉分野のニーズの高さを知りました。開発途上国ではあるフィリピンには家族やコミュニティのつながりという、社会福祉の原点ともいわれるものが今も残っています。フィリピン教育大学で社会福祉・教育の現状を学び把握し、その社会的・文化的背景を体験することで、必要とされる援助は何かを考え、飛び立ちました。

 

―PNUでの大学生活

私はPNUのメインキャンパスに在籍し、大学内にある寮に滞在していました。AM6:45から一限目が始まるため、寮での生活は早寝早起きでとても健康的でした。

フィリピンの大学生は普段からお酒を飲むことがなく、放課後は大学内の芝生でおしゃべりをしたり、鬼ごっこをしたり、ショッピングモールのフードコートで過ごします。

誕生日パーティーや学内イベントがどんなに盛り上がっても、PM9:00には解散します。お酒が無くても常にハイテンションで、皆でふざけたり、急に真面目になって熱い話をしたり、「何をするか」よりも「誰とどんな時間を過ごすか」を大切にしているように思えました。

 

授業は主にSocial scienceコースとEnglishコースの2つの学科で受講。2つの学科から、どの科目を受講するかはPNUの国際交流課のスタッフの方と相談して自分の興味のある内容から決めました。どの科目もクラスメイトは皆フィリピン人なので、母国語はタガログ語なのですが、私のために授業は全て英語で進めてくださりました。

(私が受講した科目)
・PURPOSIVE COMMUNICATION
・DEVELOPMENT THEORIES
・SUSTAINABLE DEVELOPMENT
・MULTICULTURAL STUDIES
・ENGLISH FOR ACADEMIC PURPOSES

 

中でも、一番興味深かったのが価値教育の授業「MULTICULTURAL STUDIES」です。「初等教育での多文化教育において、キリスト教とイスラム教の子ども達の交流イベントをどのように進めるか」という想定をして話し合ったことがあります。この話し合いを進める前に、教授であるProf. Rei Palcesから話されたことは「教育とは変化である」ということでした。『自分達自身も、自分がこれから受け持つ生徒にとっても「教育によって自身をどう変えるか」が重要であって「情報を受け取ること」は教育では無い。教育はライフコーチであり、自分の人生をよりよいものに変化させるものだ。』とProf. Rei Palcesは話されていました。

この「何のために学ぶのか」「教育がもたらすもの」については、価値教育コースだけでなくPNUのどの授業でもどんな内容を学ぶ前にも教授からの言葉があったり、クラス内で話す機会があったり、事前にクラスで希望者が何人か準備して発表したりしました。これによって、ただ受け身となって、情報を吸収するだけでなく、この学びを今後どのように活かしていくかまで考えながら、授業を受けることができると感じました。

クラス内で話し合い、どのようにして「信仰が異なっていても、相互の理解を深め、良い関係を築くことができることを学ぶ場」を作る方法を考えました。

その結果、関係性を築くきっかけとなる切り口から始めようということになりました。まずは「写真の撮り方講座」を開き、お互いが1つのテーマについて学ぶ姿勢から始めることで「自分たちは同等の立場にある存在」として、そのイベントをスタートさせます。席順や座り方も自由にし、講座で学びながら自由な交流を楽しんでもらいます。その後、撮った写真を1人ずつ発表してもらいます。どんな意見でも否定することなく、その写真について、みんなで自由な意見を出し合います。個々が持つ「価値観や物の見方の違い」から宗教の違いについて話をしていきます。講座の後には、食事会を開き、宗教による食事の違いやイベントの違いについて皆で話していきます。想定されるぶつかり合いや相違点をあげていき、自分たちは子どもたちにとって、どんなファシリテーションをすべきか、どんな言葉が子どもたちにとって宗教間の違いを分かりやすくとらえることができるかを考えました。また、この交流イベントで子ども達は、宗教戦争や国同士の争い、テロなどの社会問題についてどんな見方をするようになるか等、様々な想定をして、イベントの意義についても考える時間になりました。

この授業だけに限らず、PNUの授業はどれも「学生中心型」で、授業は学生達が主体となって「つくっていくもの」であり、先生の役割はファシリテーターもしくはサポーター。誰もが自由に発言することができ、自分達の意見を出し合うことで学びを深めていこうという積極的な姿勢がありました。課題やテストが日本と比べものにならないくらい多くて、毎日がテスト期間のような日々でしたが、大学での学びに対する姿勢を見直すきっかけになりました。

また、科目は、どれもターム内に単位を取得することができ(クラスメイトのおかげ)、留学の成果目標でもあった、授業の内容理解も達成することができました(本当にクラスメイトのおかげ)。

 

―課外活動

ストリートチルドレンに興味があったため、PNUの先生方に相談しながら、コネクションを探しました。その結果、大学近くのバクララン教会でストリートチルドレンへのボランティアを紹介していただけることになり、週2回、教会で現地ソーシャルワーカーと行動を共にし、ストリートチルドレンへのフィーディングプログラムやリクリエーション、家庭訪問やメディカルチェックなどを行いました。活動では、状況に応じて自分は何ができるのかを考え、目の前にいる子どもたちにとって最善の支援とは何かを模索する日々でした。

 

―留学を考えている方へ

まずは相談してみることが大事だと思います。とにかく「留学したい」一心で突っ走ってしまった私は、ビザの問題や大学の手続きで自分の無知、計画の詰めの甘さを痛感しました。奨学金を受けることが決まった後にも、留学計画が白紙になるという大ピンチを迎えていました。それ以外にも、終始「大丈夫か」と突っ込みどころ満載な、私の留学でした。そんな数々の困難を乗り越えられたのは、周りの方々のおかげです。府大には、頼れる国際課の方々や先生、海外にトビタツためにサポートしてくださる心強い味方が沢山います。不安や心配に思う事は相談して「大丈夫かよ」を「大丈夫だな」に変えていくことで、留学の実現可能性が見えてくるかと思います。

 

【寄稿日:2018年2月1日】※所属は寄稿当時。