アメリカのテネシー大学に研究留学している生命環境科学研究科 獣医学専攻の日根野谷 淳(ひねのや あつし)准教授から研究留学レポートが届きました!

日根野谷先生はご家族と一緒にアメリカへ行かれています。研究のことはもちろん、休日の過ごし方やアメリカで生活する中で悩まされた言葉の壁など今後、海外留学を考えている学生・教員の皆様、また海外留学に興味のある受験生の皆様にとって非常に刺激的なレポートとなっています。ぜひご一読ください!!

 

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私は現在、在外研究員制度を利用してアメリカ・テネシー州にあるテネシー大学ノックスビル校で研究に従事しています。テネシー州(州都ナッシュビル)は、大阪とほぼ同じ緯度(北緯34o59′ – 36o41’)に位置する海なし州です。テネシー州にはVolunteerの俗名があり、これは米英戦争の時に、他州に比べて群を抜いて志願兵が多かったことが由来のようです。

大学では、動物科学部に客員研究員として所属し、Jun Lin教授の下で研究をさせていただいております。私自身は、これまで一貫して病原細菌学をメインに、分子疫学的手法の他、分子生物学的手法、in vivo実験手法等を用いて、ヒトの腸管感染症細菌の感染症の実態把握、検査法の開発、病原性解明に取り組んできました。一方で、獣医師には、家畜(禽)の生産性向上という大きな役割もあります。

また、家畜(禽)の生産現場が、世界を震撼させている多剤耐性菌の誕生・拡散に寄与していることから、動物だけでなく、ヒトの命をも脅かすリスクがあります。この家畜(禽)の衛生管理に基礎研究の立場から何か貢献がしたいと長年持ち続けた自分自身の思いを実現すべく、まずは修行を積むことを目的として、家禽の衛生管理をターゲットに広く研究をされているJun Lin教授の下で勉強させていただくことにしました。

 

所属ラボは、Jun教授の他、博士研究員1名、客員研究員3名(私を含む)、大学院生2名、技術補助員1名からなる小規模なラボですが、チーム一丸となって「新たなアプローチによる多剤耐性菌リスク軽減のための基礎研究」、「抗菌薬に頼らない家禽の成長促進法の開発」等の魅力的な研究に日々取り組んでいます。

できる限り多くのことを吸収して今後の研究に役立てたいと考えています。

 

●言葉の壁
滞在するノックスビルで英語以外に見かける補助言語はスペイン語、続けて中国語と韓国語。日本語は見かけません。こちらに来て一番苦労しているのが、やはりネイティブの英語です。

これまでSecond languageとして英語を話す外国人と接することが多かった私は、これまで学会でアメリカに来た時は、学会場でなんとかコミュニケーションを取ってきましたが、日常でのネイティブの方同士の会話、街で出会う人たちとの会話では、聞き取れないことが多く、本当に苦労しています。

日本語では「ん」以外のすべての音に母音があり、この母音も5音しかなく、それぞれ音が切れます。対して英語は子音だけの音や、LとR、Aの「あ」とUの「あ」との発音の違い、等々、日本語に馴染みない音がたくさんあります。またアクセントが重要視され、それ以外は弱く発音され、消えることもしばしば、これらが繋がってリズムの様になって聞こえてきます。いわゆるモゴモゴ英語と呼ばれるもので、例えば’would have been’は話し言葉では、’would been’と言います。わざわざhaveを言わなくてもbeenから時制はわかるということが理由のようです。

留学を機会になんとかしたいと思い、近くの教会で週1回開講される英語のレッスンに家族で参加しています。Milton先生とSharon先生のご夫婦が中心となって、数人のお知り合いが講師陣となってボランティアでレッスンをしてくださいます。

 

お2人は現在78歳、70歳で退職してから始められたそうです。会話を重視したレッスンをしてくださるので、英語でのコミュニケーション能力を改善したい自分としては非常に貴重な経験をさせていただいています。

また、新たに知ったこととしては、英語はイディオム、メタファー(隠喩)を学ぶことが大事。ニューヨーク出身のMilton先生によると、ニューヨークでは会話にメタファーが含まれるのは20%以下であるのに対し、テネシーでは50%くらいあるそうです。「だから、これらを知らずに十分な会話はできない。できるだけ多く学びなさい」との教えをいただきました。

レッスン参加の甲斐あってか、渡米当初に比べると、少しは聞き取りができるようになった気がしています(まだまだ全く聞けない人もいるので、錯覚かもしれませんが)。引き続き英語力の改善に励みたいと思います。

 

●英語が好きだと感じた部分
こちらで生活してみて素晴らしいと感じたことがあります。挨拶言葉です。日本のお店では「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」「またのご来店お待ちしております」等々、決まり文句というか、言い方を変えれば堅苦しい言葉が使われています。

これに対して、こちらでは「Hi! How are you?」「Hi! How is everything?」以外にも、時期によっては「Happy Halloween!」「Merry Christmas!」等、精算後は「Have a nice day!」とよく言われますが、金曜であれば「Bye! Have a nice weekend!」と色々な表現が使われています。礼儀を重んじることはもちろん大事ですが、これも良いなと個人的には感じています。

 

●家族旅行
アメリカに来て意外に感じたことがあります。アメリカは日本よりも祝日が少なく、祝日でも皆さん仕事があり、テネシー大学では授業があります(全大学、全祝日ではないので誤解のなきようお願いします)。

思ったより休まないんだと気づかれました。アメリカ人は祝日よりも、夏休みや年末にまとまった休み(バカンス)を自分のタイミングで取ることに重きを置いているようです。ということで、アメリカにせっかく来たので、郷に入っては郷に従え。年末に1週間休みを取って、家族旅行に出かけることにしました。

行き先はフロリダ。アメリカでは車で7-8時間かけて移動するのは当たり前とのことで、車で行くことにしました。片道約700マイル、気合を入れて挑戦しました。途中で食事・休憩を取りながら、1日がかりで何とかホテルに着きました(12時間)。来た道を帰らないといけないということは忘れて、ディスニーランドを楽しみました。

他にもマナティが集まることで有名な街Homosassa、またSt. Augustineにも行きました。St. Augustineは、1565年に創設されたアメリカ最古の都市であり、アメリカとスペインの個性が混ざった美しい街並みだということで観光しました。

 

学会でアメリカを訪れた時には必ず食する生ガキ(摩り下ろした西洋わさびとカクテルソースをトッピング)にもようやく出会えました。旅行中の総走行距離1700マイル超(2700 km超)、アメリカならではの経験となりました。

普段の休日は、周辺の国立公園を訪れたりしています。居住地に最も近くにあるGreat Smoky Mountains National Parkはアメリカ東部にある最も広い自然保護区域の1つで(東京都とほぼ同じ広さ)、四季折々の大自然を味わうことができます。時期によって全く違う姿を見せてくれるので、何度も足を運んでいます。

また周辺の州に足を延ばすこともあります。つい先日もケンタッキー州へ行き、ケンタッキーフライドチキン発祥の地へ行ってきたところです。他にも同じアパートに住むアメリカ人家族の部屋を行き来してお互いの国の料理を紹介したり、異文化交流をしています。

ここに観光旅行では到底できない、現地に住んで初めてできる経験、醍醐味があると思います。留学先で研究・勉強に励むことはもちろんですが、こちらに来て最初に行ったアパートの契約、銀行口座の開設、電気・ガス・水道の契約、車や生活必需品の購入、慣れない土地で言葉の壁もある中で行うのはどれも大変でしたが、今では良い経験になったと感じています(実際はラボメンバーの助けを借りて何とかやり遂げました)。

今しか経験できないと考えると、スーパーマーケットでの買い物、病院での受診、レストランでの食事、等々、日常生活で遭遇する1つ1つの場面が刺激的で、尊く感じます。これは、慣れ親しんだ日本では絶対できないと思います。また、外に身を置いてみることで客観的に日本、これまでの自分を見つめ直すこともできると思います。

留学?というとどうしても敷居が高い、本当に行って自分で大丈夫か?といった不安も含めて感じることは様々あると思います。しかし、留学を考えている方(教員、学生)はもちろんですが、考えたことがない方にも、是非経験していただきたいです。

私は、この経験を今後の教育・研究にきっと活かすことができると信じて、残り半年の現地生活を楽しみたいと思います。

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今回、先生からのレポートを読み、前後の紹介文などを含めて記事として整えさせていただきましたが、私も海外に飛び出したくなりました!

このレポートを読んで、留学を決意する人がいるのではないかと思わせられる素敵な研究留学レポートでした。

日根野谷先生、ご多忙のなか、本当にありがとうございました!

 

◆リンク
日根野谷 淳 准教授|研究紹介

 

【取材:マネジメント学類 右 大輝】
【寄稿日:2018年2月22日】