大学では「におい」に関する研究をされ、現在はパナソニック株式会社で大型プロジェクターの開発に携わられている大阪府立大学OBの小川 恵志郎さんにお話を伺いました。

小川さんには、大阪府立大学プロモーションビデオにもご出演いただきました。
大阪府立大学PV“未来を発見する”大学 編(大阪府立大学 Youtubeチャンネル)

 

◆プロフィール
氏名:小川 恵志郎
所属:パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社
メディアエンターテインメント事業部 テクノロジーセンター ソフト設計部
ソリューションネットワーク課 NW一係
大阪府立大学大学院 電気・情報系専攻 知能情報工学分野 卒業

笑顔の小川恵志郎さん

●現在行っている仕事内容を教えてください。
プロジェクターのソフトウェア開発に関わっています。
具体的には、プロジェクションマッピングに使われるような大型プロジェクターのネットワーク部分の開発を担当しています。

 

●なぜその仕事を選ばれたのですか?
就職活動を通して様々な企業を見ましたが、パナソニックで働いている人が最も生き生きとしていたのでパナソニックに入社を決めました。
もの作りを通じて人を楽しませたいということは私の幼いころからの夢でしたので、社内にプロジェクションマッピングの部署があることを知り、我こそはと熱意を伝えたところ、配属が決まりました。

パソコン作業をする小川さん

 

●大学進学時、なぜ大阪府立大学を選んだのですか?
就職率が高く、工学分野に力を入れていると聞いたので大阪府立大学を選びました。
小さい頃から発明家になりたいという夢があり、もの作りを通して多くの人に幸せを届けたかったので、工学分野への進学を選びました。
また、出身が大阪であり、自宅から通うことのできる交通の便のよさも魅力のひとつでした。
(大阪府立大学は地下鉄御堂筋線中百舌鳥駅と南海高野線なかもず駅、白鷺駅が最寄り駅)

 

●実際に学んでみてどうでしたか?
所属した研究室はとても自由な風土で、のびのびと研究に専念することができました。
そんな中でもわからないことは先生や先輩に相談でき、とてもよい研究環境が整っていました。

 

●大阪府立大学の魅力は、どこだと思われますか?
練習をしている ジャグリング部の学生たち先生と学生の距離の近さは他大学にない魅力の一つです。
授業後やオフィスアワーには気軽に質問・相談に行くことができます。また、学生同士も仲がよく、他の学域・学類にまたがって友人ができるので違う分野の研究の話も聞くことがありました。これは総合大学ならではの強みだったと思います。
ボランティアや部活動などの課外活動も盛んで、私が所属していた奇術部では、よく小学校や老人ホームなどへ行き、ジャグリングやマジックを披露していました。
部活動を通して、府大は学生のことを信頼しているなということを強く感じました。

例えば、奇術部でボランティアへ行く際も、先方とのやり取りから実現まですべて学生が行い、大学からの介入はありませんでした。大人の方と、依頼について話し合う機会はいろいろと学ばせていただくことが多く、良い経験になりました。

 

●先ほども触れられていましたが、大学での「におい」研究というのは?
「におい」をコンピューターで識別するという研究をしていました。
においは、鼻で知覚され脳でその情報を処理して感じることができるのですが、その一連の働きをコンピューターで再現するという研究をしていました。

 

●その研究を選ばれたのはどうしてですか?
においに関しての研究はとても個性的で、他の大学にもめったにない研究でした。
他の人がしていないような研究をしたいという気持ちがあり、においの研究を選びました。

 

 接客中の小川さん●大学で学んだことで仕事に役立っていることはなんでしょう?
大学ではにおいの研究をしていたので、一見何の関連も無いことをしているように見えますが、においの研究をしていたときに学んだ人間の脳を再現するというソフトウェアの技術や知識は今も役立っています。
また、大学で学んだ数学や情報の基礎知識は今も使うことが多く、きちんと勉強しておいて良かったと感じています。

 

 

●今になって、大学や高校でこういうことをやっておけばよかった、こういうことを考えておけばよかったと思うことはありますか?
社会人はなかなか長期の休みを取ることができないので、長く時間のかかることをしておけばよかったと思います。

やはり海外旅行は、社会人になってからでは行きづらいので学生のうちに体験しておいてよかったです。
後は、大学にはいろいろな人が集まるので、もっといろいろな人と交流しておけばよかったなと思いました。
逆に、大学でした経験のうち良かったと思うものは、論文の執筆に力を入れたことです。
文章を書く力、人に物事を伝える力がつき仕事にも活かすことができています。

 

●今後の目標や夢はありますか?
一人でも多くの人をもの作りを通して楽しませたいと考えています。
直近では、2020年の東京オリンピックで自分の開発したプロジェクターが使われることを目標に仕事に励んでいます。

 

●現在、進路を考えている高校生の人たちにメッセージをおねがいします。
私自身、高校時代はやりたいことが具体的に決まっているわけではありませんでした。
今思えば、もったいない高校時代を過ごしたのかなと思いもしますが、今は自分が誇りに思えることを仕事にできているので結果オーライだったと思っています。

目標がすでにある人は突き進んでもらいたいですし、仮に今目標がない人でもいつかきっと自分がやりたいと思える楽しいことが見つかると思うので周りの人と相談しながら進路について悩みぬいてほしいと思います!

【取材日:2018年1月9日】※所属は取材当時。