卒業生から在校生・受験生へ送る卒業文集企画。

今回卒業文集を寄稿してくれたのは地域保健学域 教育福祉学類の岩谷隆作さんです。

府大で過ごした4年間の思い出をつづってくれています!

どうぞご覧ください。


◆プロフィール
岩谷 隆作(いわたに りゅうさく)
大阪府立大学 地域保健学域 教育福祉学類 4年

1.大阪府立大学地域保健学域教育福祉学類を選んだ理由
高校1年生までの夢は、教育や福祉とはほぼ関わりがない薬剤師一本でした。
文系を選択した場合、日常生活と関わりが深い福祉系あるいは教育系に進むことを何となく描いていたのですが、理系科目の成績が思うように伸びず、文系に進む判断をしました。

文転してからは教育か福祉のどちらかを学べる大学に絞っていたのですが、内心は、私立大学受験直前まで私立の薬学部を探していたほど薬剤師の夢を捨て切れず、心が揺らいでいる状態でした。
「自分がやりたい仕事は一体何かのか」と自問自答していたある日、いじめや暴力に関する報道が目に留まり、「自分が当たり前のように受けてきた教育や福祉の現場を俯瞰的に見てみたい」と考えが一転しました。

大阪府立大学には、教育と福祉、保育の視点を関連づけて学べるカリキュラムがあり、全国的にも数少ないスクールソーシャルワーク教育課程も学べることに魅力を感じました。「自分が学ぶべき場所は教育福祉学類しかない」と確信し、教育福祉学類一本に絞ることができました。

2.入学前もしくは入学当初の府大の印象と、卒業を控えた現在では何か違いはありますか?
私が入学した2014年は学域・学類制に移行して2年目という時期でした(※)。
教育福祉学類に移行したばかりで、新しいカリキュラムに慣れることに精一杯であった先生方の顔が今でも忘れられません。(※2012年に7学部を4学域に再編。)

また、講義内容は教育・福祉という特性上、「答えのない問題」が多く、入学当初は教育福祉学類の講義を4年間受け続けることができるのかと不安が大きかったことも覚えています。
しかし、学年を重ねるにつれて、自主的に発言したり、イベントを開催しようと動く同期が増えてきたので、自分も頑張ろうと奮起できました。また、先輩や後輩との縦の繋がりが濃く、自分の個性を受け入れてくれるアットホームな雰囲気へと変わってきたことも変化の一つだと私は感じます。

3.府大の良いところ
大阪府立大学は羽曳野キャンパス、りんくうキャンパス、中百舌鳥キャンパスの3つのキャンパスに分かれているのですが、部活・サークルや講義など学域、学類に縛られない自由で多様な学生、教員同士や学生と教員との交流が毎年たくさん築かれ、形として残っていく空間が良いところのひとつではないかと思います。
実際、私自身も他の学類の学生と混ざって、教養科目や専門科目を受けていました。こういった分野の垣根を越えた幅広い交流が自分の視野を開拓してくれ、勉強や卒業研究にかなり役立ちました。

最後に巣立ってから戻りたいと思ったときに後輩や先生たちが温かく歓迎してくれる心地良さも府大の良いところだと思います。

4.面白かった授業
教育福祉学類の講義は、名前通り教育系専門科目と福祉系専門科目の二つに主に分かれているのですが、保育系の専門科目も受講できるなど幅広い分野の講義が多くありました。

一つ一つの講義内容が面白かったので絞ることは難しいですが、その中でも一番面白かったなと思える講義は「教育福祉ゼミナール」と「教育福祉卒業研究」の2つです。
徹底された少人数生ゼミナールであり、自分一人だけでは浮かばない意見をたくさん出してくれたので、自分が知りたかったことをどんどん引き出してくれました。

卒論を執筆している間は自分が知りたいテーマや内容がなかなか見つからず右往左往していましたが、大学生活の中で一番楽しい時間でもあり、もっと研究したいと大学院進学を決心するきっかけになりました。
大学受験を考えていた高校生の自分、そして大学初年時の自分が考えていかなった道に進むことになり自分でも大変驚いているのですが、研究に没頭できる環境に恵まれた濃い2年間のおかげだと思います。

5.授業以外の活動について(クラブ・サークル・ボランティアなど)
私は生まれつき聴覚障害があったのですが、現在多くの聴覚障害のある人がコミュニケーション手段として用いている手話との馴染みはそれほどありませんでした。
大学に入学し、少し経って時間に余裕ができたので、「手話サークル亜飛夢」に入部しました。
普段は水曜日と木曜日の放課後に、「学習会」で手話を学んでいました。
大学祭では手話コーラス(5月の友好祭)や手話劇(11月の白鷺祭)を公演しました。
部員と一緒に一つの作品(手話コーラス、手話劇)を作ることの難しさ、達成感などを経験できたことが一番の財産です。

入学当時は聴覚障害がある部員は私一人であったため、しんどかったことも多くあったのですが、だからこそできたこともたくさんありました。
観客を手話コーラス、手話劇それぞれの作品の世界に案内するポジションに立たせてもらえたので、健聴者と聴覚障害者のそれぞれの視点を俯瞰的に考える貴重な3年間になれたと思います。この経験を今後の大学院の研究で深めていこうと今は考えています。

6.府大で過ごした4年間で一番記憶に残っていること
大学1年の春季休暇を利用して、教育福祉インターシップでハワイへ行ったことです。
このスタディーツアーは海外の社会、文化、教育やソーシャルワーク、さらには様々な協働のシステムを学べる教育福祉オリジナルのプログラムであり、このインターシップが大学4年間の大きな分岐点となりました。

国際的に有名な観光街であるハワイの「裏側の現場」(ホームレス問題など)とじっくり触れることで、日本とハワイの福祉に対する考えの違いや共通点など様々なことを学ぶことができ、また見識のみではなく、洞察力、行動力も身につけられた濃い1週間でした。

勉強の気分転換として、ワイキキビーチやダイヤモンドヘッドなどへの観光もすることで、ハワイの表側の部分と裏側の部分の両方を知ることができたと思います。
福祉の知識が未熟であった一年生の時だったので、もう一度ハワイの変化を学びに行ってみたいと思うほど、一番記憶に残った時間でした。ハワイの海でサーフィンが出来なかったことが唯一の心残りです。(笑)

7.将来の夢
大学卒業後は別の大学院で特別支援教育の研究をするので、将来の夢はまた変わるかもしれませんが、今現在は「障害のある子どもや親に寄り添って、自分らしく羽ばたいていけるように支えていく先生」を浮かべています。

3年生の教育福祉ゼミナール、卒業研究でお世話になった教授がそういう先生でしたので、教授に追いつき追い越せるような先生になりたいと思っています。でも、薬剤師の夢もまだあるので、その夢を追いかけるかもしれません。

8.受験生に向けてのメッセージ
受験生活を振り返って思うことは、「どんな状況であれ、合格への執念を最後まで持ち続ける」ということに尽きます。

私はいい意味で開き直りながらも僅かな合格の可能性に賭け、最後の最後まで諦めることなく全力を尽くしました。
合格通知を手にした時の感動は今でも忘れられません。
大学受験は長期戦であり、自分の思うような結果がなかなか出ない苦しい時間が大学受験生活のほとんどを占めていると思います。

偏差値や成績で合格の可能性を考えることももちろん間違いではないと思いますが、それだけでなく「やりたいことがあるこの大学に何が何でも受かりたい」という熱い気持ちこそが合格への道を切り開いてくれるのではないのでしょうか。

この経験は資格勉強や卒論などの大きな土台となるので、志望校が府大である学生もそうでない学生も、最後まで自分の道を貫いて欲しいと思います。
大学受験生活は「未来の自分に対する大きな人生の投資」といっても過言ではないです。

9.在校生へのメッセージ
自分の興味分野あるいは取得予定の資格に関する講義以外の分野や活動(実習、留学など)にも積極的にチャレンジしてほしいなと私は思います。

直接的には自分の関心事とは関係がないと思っていたことが、研究やレポート課題などでかなり役立っていることが多くあります。
また、数え切れない新鮮な発見も生まれ、自分の視野を広げてくれるので、不安になったときこそ未知の世界に思い切って飛び込んで一つとは限らない正解や疑問をたくさん見つけてオリジナルの有意義な学生生活を過ごしてもらえたらと私は思います。
本当に4年間は長いようで短かったです。

最後に、在校生に私から伝えたいことは「自分の周りの環境への感謝の気持ちを常に忘れることないでほしい」ことです。
学年が上がるにつれて専門的になり、自分の専門分野を追及できる大学らしさも経験できるのですが、就活や卒論、資格勉強に追われるなどしんどい時間も増えてくると思います。
楽しい時はもちろんしんどい時こそ「自分の周りの人や環境に感謝する心」を忘れないでほしいなと私は思います。

私が4年生になり卒論執筆を始めたころにお世話になっていたゼミ担当教授がお亡くなりになりました。教授は「自分の周りの環境に感謝しながら精進して巣立ってほしい」と酸っぱく言っていました。
ゼミ担当教授とのお別れをきっかけに、忘れがちである「感謝する心」をより意識するようになりました。大学はこのような貴重な出会いもあるんだと気づかされました。

10.学生時代にやっておいたほうが良いこと
学類によって違いはあると思いますが、インターシップや留学、実習など普段の座学だけでは学べない活動に自主的に参加して、自分の視野を広げてみることをお勧めします。
私は長期休暇を利用して教育福祉インターンシップ、社会福祉士実習、スクールソーシャルワーク実習に参加しました。
現場を見学することで仲間や現場の考えをたくさん吸収でき、また、新鮮な発見を学校に持って帰ってから、自分の考えを客観的にじっくりと見つめ直すいい機会になったと思います。
普段の講義では教員とじっくりと話せないことを気軽に話すきっかけにもなり、未知の世界へ踏み出すことの楽しさと厳しさの両方をたくさん教えてくれました。
この経験が就活や卒論、大学院入試などで絶対に繋がります。

最後に、プロセス通りに成功することもあれば、プロセス通りにはそう簡単には進まないという社会の厳しさを学生のうちにたくさん経験して、「自分のやりたいことは何なのか」と自問自答してほしいと思います。
納得できるまでチャレンジできる経験は大学の間しか経験できないので、失敗を恐れずに積極的にチャレンジし続けることで自分のやりたいことが見つかるのではないかなと私は思います。
殻を破って成長したい人にはぜひチャレンジし続けてほしいです。
私にとっての大学4年間は人間性を大きく育ててくれた掛け替えのない財産であり、探究することの楽しさ、自分から動かない限り変われないということをたくさん教えてくれた時間もありました。
あっという間でしたが「府大に行って良かったな」と胸張ってはっきり言えるほど幸せな学生生活でした。

 

【寄稿日:2018年3月20日】
【寄稿:地域保健学域 教育福祉学類 4年 岩谷隆作】※所属は取材当時。