中橋 和博さん

今年で24回目を迎える人気の公開講座「関西経済論」。第2回目の4/26は、本学工学部航空工学科をご卒業され、東北大学名誉教授、そして現在は国土交通省 運輸安全委員会の委員長を務められている中橋 和博さんに、「航空交通の発展と新たな展開」と題し講演いただきました。

 

講演は、東北大学の学生に「ワクワクすることの大切さ」を教えるため、研究室に掲げておられたライト兄弟の初飛行の写真から始まり、旅客機の進歩や安全性、航空産業と続きました。

旅客機の進歩や安全性に大きく関わるエンジン。そのエンジンの性能は大きく向上していて、この半世紀でいわゆる燃費は半減、エンジン音も静かになり、最新のエンジンでは関西空港からサンフランシスコ空港の往復約1000回(2万時間)に1回停止するほど。両方のエンジンが同時に停止する確率はゼロに近いそうです。

講演中の様子講演では、格安航空LCCの与える航空旅客需要や航空産業に与える影響の話もありました。例えばLCCに力を入れている関西空港への外国人入国者数は、成田空港を約2万人上回る64.5万人とのことです(2018年2月現在)。

LCCで用いられている中型機のエアバスA320neo(2016年就航)の受注数は6,000もあるとのことです。

また、注目度の高い国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)ですが、量産化が始まれば、日本の航空機産業として2兆円も期待できるとのことでした。また、MRJのウィングレット(主翼の端にある燃費向上のための小さな翼)などの設計で、中橋さんの数値流体力学の研究成果が活用されているとのお話もありました。
東北大学への単身赴任時代の話など、ところどころにユーモアも交え、和やかな雰囲気の中で講演は終わりました。

中橋 和博さん
府大の卒業生が様々な分野で活躍、そして重責を担い社会を支えておられることをあらためて知った広報担当者でした。

【取材日:2018年4月26日】※所属等は取材当時