今回取材したのは、大学内のカフェレストランでオリジナルのヘルシーメニューを開発・販売している「大阪府立大学TABLE FOR TWO(以下:府大TFT)」です!

TFTは先進国の生活習慣病と開発途上国の飢餓問題を解消しようとする、全国規模のソーシャルビジネス型の団体で、府大TFTはそんな団体の大阪府立大学支部にあたるそうです。
先進国でヘルシーメニューを提供し、1食売り上げるごとに20円が開発途上国に寄付されます。20円は開発途上国の給食1食分のお金になるため、先進国でヘルシーメニューを食べると開発途上国の子どもたちに給食が届くという支援システムに沿って活動しています。

この取り組みは企業や大学などに広がっており、各TFT支部のある大学では、生協とともにヘルシーメニューを開発・販売し、寄付金を集めています。
食の観点から府大生の健康を考えるのと同時に、開発途上国の支援をしている方々の熱いお話をお伺いしました。


今回お話を伺った府大TFTメンバー
東藤絵梨衣さん(現代システム科学域 マネジメント学類1年)
松尾浩晃さん (京都大学 農学部 食料・環境経済学科1年)

 

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友好祭での出店時に部員みんなで記念撮影した写真

友好祭(府大学園祭の一つ)出店時の一枚

●府大TFTはどんな活動をしているの?

運営概略図先ほど紹介した支援システムを使って、大学内のカフェでメニューの開発や販売をしたり、外部イベントへの出店を積極的に行っています。これまで販売してきたメニューは、豆腐ドーナツや野菜のマフィン、そしてチーズタッカルビ風ドリアなどです。

また、計画中ではありますが、開発途上国に渡航して自分たちの手で、子どもたちに給食を提供しようとも考えています。

あとは、他大学のTFT団体とも交流をしています。府大TFTは今年から活動を始めた団体ですが、府大支部立ち上げから活動までの経験を参考にして、他大学でもTFT団体の立ち上げを進めていくロールモデルとしての役割も担っています。TFTは、国際協力を身近に感じてもらうことを目標に掲げているので、府大TFTでも広報活動に力を入れています。みんなに、‘食’を通して“世界”に目を向けてもらえたらいいなと思っています。

 

●府大TFTを立ち上げたきっかけは?

松尾 “国際協力”という固いイメージをぶち壊すためです(笑)
もともとは僕も国際に興味があまり無かったので、国際協力=意識高そうというか、自分は関係ないというふうに遠ざけていました。ただ、大学生になってから遊びに行ったフィリピンで、ミンダナオの人たちの元気にとても影響を受けました。幸せな時間だったんですが、フィリピンの人たちのなかには困っている人もいると知り、僕にも何かできるのでは、と思ったのがきっかけです。TFTの活動は食を軸に、誰でも関わりやすいシステムだと思っていて、そのシステムを府大内に導入していきたいと思い立ち上げました。

 

東藤さん 写真●東藤さんはどうしてTFTに入ったの?

東藤 大学生になったら何かしら国際協力をしたいと思っていました。そんなとき、Twitterで府大TFTを発見して、自分たちが考えたメニューを食べてもらうだけで開発途上国に協力できるという支援システムを知り、それなら自分にでもできるかなと思い入りました。英語が喋れるわけでも、国際分野の知識があるわけでもなかったのですが、漠然とボランティアはやってみたいなと思っていました。私は、食べることが好きだし、今担当している府大TFTの広告宣伝などは、自分が学んでいるマネジメントに直結するので、そこも魅力でした。

 

●印象的な出来事ってある?

実際に販売されていたチーズタッカルビ風ドリアの写真

実際に販売されていたチーズタッカルビ風ドリア

チーズタッカルビ風ドリアを販売したことです。メニューを考えたのは2回生の先輩なのですが、友達が「美味しかった」と言ってくれたり、大学職員の方からはまだ改善の余地があるねと言ってもらえたりしたので、もっと考えておいしいものを作りたいと思っています。

●メニュー開発はどういった方法で行っているの?

基本的にヘルシーメニューを提供したいので、野菜を多くすることを基準にやっています。ただ、お店側と一緒にメニュー開発をするので、使いたい食材があっても分量が微妙にならないか、調理の手間や時間がかからないか、などと調整することも必要となってきます。基本作業は2ステップ(食材の調理、盛り付け)だけで完成するのが条件なので、何が何でもメニュー開発すればよいわけでもないことが難しいですね。販売するまでには、メニューを開発し、自分たちで試食、お店側からフィードバックをもらう、というサイクルを3、4回繰り返します。

 

●これからの目標は?

大きな目標は、より多くの人に世界へ目を向けてもらい、国際的な社会問題の解決を促進していくことです。将来的には府大TFTと関わることで大学の中でも世界とつながることができる、府大の学生と世界をつなぐ玄関口のような存在になれればいいなと思います。

他の目標としては“府大TFTのことをもっと知ってもらうこと”があります。友達に府大TFTと言っても「何それ」って言われるので、もっと知ってもらい、自分たちが開発したメニューを食べてもらいたいですね。あとはヘルシーメニューをカフェ以外にも学内の食堂に導入したいです。府大内では団体の知名度が低いことや、食堂側が忙しいということもあり、まだ導入してもらえていないのが現状です。多くの人が利用する食堂でヘルシーメニューを導入できたら活動範囲がかなり広がるので、食堂への導入が今後の目標です。

 

●その他伝えたいことはありますか

今の時代はグローバル化が進んでいますが、自分は世界とあまり関わりがないと思っていても、知らず知らずのうちに自分の消費活動が社会に影響を与えています。世界を知らない、身近に感じられないと思っている人でも、実は世界とつながりを持っている。関わりがないと思っている人たちにも府大TFTという場をきっかけとして、世界を身近に感じてもらえたらいいなと思います。世界に貢献しなさい!と押し付けられるものではないので、身近に感じたうえで自分のやりたいことをやってもらいたいです。つまりは、「自分って世界とすごいつながりを持っているんだ!」ということを実感してほしいんです!

 

●受験生に向けて伝えたいことありますか?

周りに流されずに今の高校生の時間を大切し、充実した時間を送ってほしいです!

 

<取材者よりメッセージ>
この記事の中でも登場したチーズタッカルビ風ドリアを私も実際に食べに行ったのですが、とてもおいしいメニューでした!今後も新たなメニューを作っていくとのことで、楽しみにしています。「大阪府立大学TABLE FOR TWO」の皆さん、ありがとうございました!

 

【取材日:2018年8月6日】
【取材】崎山琴音(MICHITAKERs :現代システム科学域 知識情報システム学類2年)
上村洸瑠(MICHITAKERs :工学域 電気電子系学類3年)※所属・学年は取材当時