「ゼミナール(ゼミ)」とは、少人数の学生が先生を囲み、特定のテーマについて討論を重ねながら研究するグループ学習。大阪府立大学の『初年次ゼミナール』は、1年生全員の前期必修科目として位置づけているのが特徴です。

講義の様子①

講義を受ける学生の様子①
普段は学域・学類単位のクラスで学ぶことが多い学生たちですが、週に1度、初年次ゼミの開講日は全学域生が交じり合って少人数クラスを編成して学びます。学域・学類が違えば、関心を持つ分野や考え方も様々。異なる価値観や多様性を感じ合いながら1つのテーマについての議論を深めることは、今後社会で活躍していく上で非常に重要な視点となりますし、また学域を超えた仲間づくりにもつながります。

 

図書館見学の様子
このゼミでは、知識を習得することだけが目的ではありません。情報の収集と整理の方法、表現や発表の方法などを実践から学ぶことで、学生自らが自発的に動いて学ぶ姿勢を、1年生のうちに身につけ、高校までとは違う「アクティブな学び」への転換をめざします。1年生の前期で新入生全員が体験するこの機会は、後の学生生活にも大変役立ちます。

 

 

●初年次ゼミの内容・目的などはこちらから
https://www.osakafu-u.ac.jp/campus_life/education/seminar/


今回は、山手丈至教授(生命環境科学域・獣医学類)が担当した初年次ゼミ「生命体の不思議を科学する」を紹介します。

講義の様子②

ヒトなどの動物(生命体)には未だ解決されていない様々な不思議があります。なぜ、地球上に生命体が存在するのでしょうか? なぜ、犬と猫の体の作りと機能は違うのでしょうか? なぜ、肉食獣と草食獣が存在するのでしょうか? なぜ、動物やヒトは病気になるのでしょうか? 同ゼミでは、学生が普段疑問に感じている「生命体の不思議」を1人ひとりが「問題提起」として捉えることから始まります。

●ゼミスケジュール(6ヶ月/全15回)
第1回 自己紹介・進め方
第2回 不思議な生命現象 3件提案・図書見学
第3回 3件から1つを説明
第4回 3件から1つを説明
第5回 3件から1つを説明
第6回 疑問点を説明
第7回 疑問点を説明
第8回 疑問点を説明
第9回 植物工業見学
第10回 プレゼン
第11回 プレゼン
第12回 プレゼン
第13回 プレゼン
第14回 新聞記事
第15回 最後の意見交換

講義の様子③
週1回、15回ある授業では、まずは生命体の不思議について疑問に感じることを3つ「問題提起」として提案します。各疑問について、そう感じた動機・疑問の説明を行い、最終的に1つの課題に絞り込みます。そこから学生同士でその解決方法を討議し、サジェスチョン(提案)を得るなどして、実験・考察し、プレゼンを行い、報告書作成へと進んでいきました。

 

 

講義の様子④
山手教授は「この授業は、生命体である自己を理解する良い機会にもなります。究極的にはこの授業を通じ、生命科学の科学者としての素養を身に付けて欲しい」と考えています。
「ゼミでは正しい解決方法は求めず、率先して何かを解決していく姿勢とプロセスを重視します。何か新しいものは多様性の中から生まれることが多いのです。学びのバックグラウンドが異なる学生同士が刺激し合い、アクティブな感性を磨いて欲しい」と学生たちに期待を込めます。

 

講義終了時には、全員が報告レポートを作成、それぞれが全員の前でプレゼンテーションを終えました。

受講者の取り組んだ課題テーマ一覧

このレポートでは、うち3人の学生の最終報告書を紹介します。半年前まで高校生・受験生だった1年生たちが半年間の学びを得て残した成果です、ぜひご覧ください。

田中睦海「どうして肉食動物は肉しか食べてないのに、メタボリックにならないのか?」

真下理彩「お腹がすいたとわかること」

米谷友里「医学が進めば人間は何歳まで生き続けられるのか」

この2人の課題の他にも「人間は120歳以上生きることは可能か」「動物の帰巣本能の仕組み」「人とロボットはどのように違うのか」など、学生らしいユニークな視点の課題が集まりました。

「初年次ゼミ」は、大学で学ぶための基本を習得するだけでなく、学域を超えた仲間との出会いが生まれる貴重な時間。関わる教員陣は、所属する学域にとらわれず90以上のテーマから興味のある分野を選択して自発的に関わることは、自ら学ぶことが重要となる今後の学生生活を送る上でとても重要と考え、毎年開講を続けています。

【取材日:2018年11月13日】
※所属は取材当時