「夢こもんず」とは、夢をつかんだ卒業生が、自身の経験や現在の仕事にまつわる興味深い話題を在学生に語る世代間交流会。「夢」を切り口に、人生の履歴を後輩に伝えるトップランナーと、思い描く「夢」の輪郭をよりシャープにしたいと願う在学生たちが空間を共有し、その足跡のたな卸しや、明日からの活動のヒントを掴む取り組みです。大阪府立大学の校友会とボランティア・市民活動センターV-stationが主催しています。

10月9日に行われた今回の夢こもんずゲストスピーカーは、株式会社アフリカンインキュベーターCTOの杉山佳範さん。本学を卒業してからの4年間で転職数回、副業数社、会社立ち上げ2社という行動力を支えるのは、杉山さんの自分ルールとそこから得られるフットワークの軽さでした。
杉山さんの見ている世界と、そこで生き抜くためにどう考え意思決定し、行動してきたのかを、未来ある後輩に向けてお話しいただきました。

♦プロフィール
杉山 佳範(すぎやま よしのり)
2006年 大阪府立大学理学部情報数理科学科 入学
2010年 大阪府立大学大学院理学系研究科 入学
2011年 Vulcanus in Europe プログラムにてドイツ・ミュンヘンでインターン
2012年 帰国後自主退学

大学院生時代はオントロジーの研究をしていて国際会議での発表やISO 会議に出席等。
その後、休学をして1年間ドイツのミュンヘンにて現地ソフトウェア会社でインターンシップ。帰国後、大学院を中退し、Web制作会社、人材系ベンチャーの開発チーム担当、旅行系スタートアップのCTOを経て、2015年7月に 株式会社アフリカインキュベーターに参加しCTOに。

「もったいない」を解消したい
今の事業を選んだ理由にも繋がりますが、僕は「もったいないなぁ」と思うことに非常に心を動かされるんです。分野は人材・旅行・流通・育児・宇宙など、どこでも良いのですが「もったいない」と自分が思うことをどれだけ解消できるのか、というところが僕にとってはすごく重要です。

今の仕事でいうと、日本だとどれだけ頑張っても1億2000万人くらいの「もったいない」しか解消できないけれど、アフリカだと今事業を展開しているナイジェリア・ケニア・ウガンダだけでも約3億人以上のそれを解消できるかもしれない。それが実現できるかもしれないことがすごく魅力的で、今の仕事をしています。

フットワークが軽いは難しい
「フットワークが軽い」というのはすごい強みになりますが、それ自体はすごく難しいです。
「フットワークが軽い」には二つの視点があります。

まず、自分からの視点だと、
・機会があれば行動する
・とりあえず実行が早い
・できたものは早く見せる、きちんと相手まで届ける

他人からの視点だと、
・呼べば来てくれる
・アウトプットが他人より早い

こういった点が「フットワークが軽い」、ということだと思います。
フットワークが軽いと他人に認識されると、呼んでもらえる機会が増えたりします。しかしただ呼んでもらえるだけではだめで、こいつが来ると面白いな、と思ってもらえるようにならなければなりません。呼んだ時の期待値が高くないと、呼んでもらうことはできません。どんなに短時間でも「あの人呼んでよかったね」と思ってもらいたいし、思ってもらう必要があると思います。

ただ、これができたからといって夢が叶うかというと、たぶん叶わないんですよね。でも、叶える人と出会う確率は上がるし、自分で叶えるきっかけになる。夢を叶えてきた人とたくさん出会うことはとてもいいことなので、そういう人と出会う確率を上げたほうがいい。叶えたい夢と出会う確率も上がるのではないかなと思います。

自分の感じていることを理解すること
自分がなぜ今嬉しいのか、辛いのか、怒っているのか、それをしっかり分析することが大切です。例えば「上司に怒られた。怖い。」で終わるのではなくて、なぜそう思ったのかを考えます。

みんなの前で怒られたのが嫌だったのか、指摘された内容が納得いかなかったのか、単純に怒られたことが嫌だったのか、とか。そこまで落とし込んで自分の感情の起こりの癖を知っていくことで自分自身と周りで起こることのコントローラブルな範囲を拡げることが⼤事です。

人間を知ってください
僕たちは「人間」ですが、「人間」というシステムについて知らないがゆえに避けられる問題に直面したりすることがあるな、と感じています。どこで自分の心と体が動くのかをきちんと知っておいてほしいですね。認知バイアスや人間の中にあるバグを知ってください。それを把握することで心身をコントロールする。自分が何によって幸せになったり疲れたりするのか、ということを知って自身の心身の解像度をあげてください。自分にとって必要なもの、不必要なものを切り分けていかないと心身が持ちません。

そうしながら、分かることを増やしてスピードを上げて、効率を考えることが重要。考えてもわからないことはとにかく実行して変数を減らす。これらは当たり前なことですが、実際にこれが自然にできている人はそれほど多くないです。これができれば社会に出ても活躍できると思います。

府大生めっちゃ賢いんやで
府大生は優秀だと思います。ですが、チャレンジに対して中途半端な部分があり、そこがもったいないと思っています。府大生にはもっとチャレンジしてほしいなと思います。

府大生には学習能力や実行力があり、社会に出てからもそれをキープしていったほうが良いと思います。世の中には〇〇力というものがたくさんありますが、学習能力はすべての礎なので、これをうまく使って、やる。それを生かすだけの基礎力を持っているので、めっちゃ自信持ってください。もちろん負けることもありますが、それは学びのチャンスです。慢心はせずにどんどん上がっていきましょう。

休憩後の質疑応答では
―大学のうちにしておいたほうがいいことは?
何でもいいです。頑張って面白いことを探す必要はないと思います。ただ、全部本気でやるぐらいがいいかと。自分は勉強だったけど、何でもいいんで、何かを本気でやることだと思いますね。

―杉山さんを幸せにするものは?
シンプルに人の役に立った時に幸せを感じます。僕にとっての役に立つというのはもったいないが解消できて、それを相手が認識できた時ですね。認識していなくても、目に見えてもったいないが解消できた時はやはり幸せを感じますかね。

杉山さん、素敵なお話をありがとうございました!

【取材:矢追 真理奈(広報課)】
【取材日:2018年10月9日】※所属は取材当時