12月26日、羽曳野キャンパスで、総合リハビリテーション学類 栄養療法学専攻2年生が受講する「調理科学実習」(川上先生・八木先生・藤田先生・吉田先生)を取材してきました。

「調理科学実習」は、主に調理の基礎技術、操作の理論的な裏付けを修得することを目的とした実習です。また、管理栄養士として、どのような料理でもレシピを見れば料理を作れるようになることや、食材や調味料を食品群に分類し、それらの購入量と可食量の計算、栄養価の計算ができるようになることも目的にしています。

レジュメ

本日の食材

今回は、インドのCouncil of Science and Industrial Research – Center of Cellular and Molecular Biology (CSIR – CCMB)からBiswajit PAL博士が、ゲストプロフェッサーとして来日されており、大学院ではタンパク質の立体構造解析、学域では食品分析でのラマン分光の活用に関する講義やインドの文化や教育に関する講義を通して、様々なご指導をくださいました。

大学院の講義

学類での講義風景

ゲストプロフェッサー制度は、本学の海外教員招聘事業の一つです。この事業では、様々な分野の第一線で活躍している研究者で、教育者としても優れた実績を有する人物を、世界各国から招へいし、受講生の知的好奇心を大いに刺激するとともに、本学で学ぶ学生が広く世界に目を向けるきっかけになることを目指しています。

▼海外教員招へい事業
http://www.osakafu-u.ac.jp/international/effort/guest_prof/

通常、ゲストプロフェッサーの来日期間中は、特別講義やセミナー、学生各自の研究内容に関する個別ディスカッションを実施しています。今回の「調理科学実習」では、PAL先生のご出身地、インドの東部に位置しバングラデシュと国境を接するベンガル地方のおもてなし郷土料理、Fish Paturi(魚のバナナの葉包み蒸し焼き)とYellow Moong daal soup(ムング豆のスープ)をご披露いただきました。

全て英語による説明と指導でしたが、栄養療法学専攻の先輩と大学院生の通訳やサポートもあり、1つ1つの説明を理解しながらの実習でした。

また、受講生一人一人が、仕込み・調理・片付け・配膳など、チームプレーで大変手際よく動いていることがとても印象的でした。

実習指導

熱心にメモする学生たち

1品目のFish Paturi(魚のバナナの葉包み蒸し焼き)は、火であぶって少し柔らかくしたバナナの葉にマスタードオイルをたっぷり塗って、マスタードペーストで調味した白身魚と唐辛子をそのバナナの葉で包み込み、蒸した料理でした。

2品目のYellow Moong daal soup(ムング豆のスープ)は、よく炒めたムング豆に赤唐辛子とクミンシードを加え、塩とギー(無塩バターを精製した油)で味付けしたスープ料理です。調理実習室は、クミンシードやギーのとてもいい香りで包まれました。ベンガル料理は香りをとても大切にする料理と説明されていたことと合わせて、とても印象的でした。
また、インディカ米 (バスマティライス)を炊く際は、水分量や柔らかさの特徴などジャポニカ米(うるち米)との違いについて説明もありました。

日本では、ベンガル料理を食する機会はまだまだ珍しく、PAL先生から事前に講義でお話いただいたインドの文化、食習慣を実体験し、「食」による国際交流を図る貴重な機会でした。記者もベンガル料理を美味しく頂くことができました。

調理実習

学生にアドバイス

――ゲストプロフェッサーの「調理科学実習」を受講した学生の感想
・この授業ではクリスマス料理やおせち料理など、季節に合わせた調理実習をしましたが、今回のように外国の料理に込められた思いや背景を知ることもでき、毎回楽しみです。
・海外の料理、インド・ベンガル地方のおもてなし料理を知ることで、料理を通した文化や新たな調味料も知ることもできて大変刺激になりました。

――栄養療法学専攻 川上由紀子講師 からのメッセージ
この実習は栄養士の基礎となる調理技術や調理科学に重点をおいたカリキュラムになっていますが、今回、こうして海外よりゲストプロフェッサーをお招きできたことは、総合リハビリテーション学類では初めてのケースで、海外のおもてなし文化に触れることができ教員・学生ともに充実感があります。今後も学生の学びの環境を充実させていきたいと思います。

――ゲストプロフェッサー Biswajit PAL博士 からのメッセージ
今回、12年ぶりの来日でした。大阪府立大学の学生は、みなさん大変気さくで、コミュニケーション力も非常に高いと感じました。またとても好奇心旺盛な学生が多いように感じます。来日期間がクリスマスシーズンでしたが、インドではクリスマスの夜ではなく、翌朝にケーキを食べる食習慣があります。これも文化の違いで、一つのエピソードとして学生に伝えることができました。
大学生のみなさん、大阪府立大学の教育・研究を通じて、食と健康のプロフェッショナルである管理栄養士や食・栄養学研究者としてご活躍ください。期待しています。

試食

完成料理 PaturiとMoong daal

【取材:広報課 林田 雄三】
【取材日:2018年12月26日】※所属は取材当時。