渡部先生 写真

2/15(金)、I-siteなんばにある「まちライブラリー@大阪府立大学」でアカデミックカフェが開催されました。

今回は2017年に大阪府立大学と和歌山大学で締結した包括連携協定に基づいて「和歌山大学・大阪府立大学連携特別講座」として実施、カタリストに和歌山大学 学術情報センター図書館長の渡部幹雄教授をお招きし、「MLAKSU 連携の可能性と住民の役割 ~つながる・むすぶ・わかちあい~」というテーマで、人類の知的資源の活用と保存についてお話いただきました。

渡部先生は大分県緒方町出身。東京での学生時代に図書館の多さに驚き、地域格差を痛感。そこで誰もが生涯学習を得ることができる図書館の必要性を感じました。帰郷後、大分、長崎、滋賀で職員として図書館の新設、運営などを手がけ、現在は2019年3月31日までの任期で和歌山大学教授・図書館館長を務めています。

MLAKSUとは、文化施設名と教育施設名の頭文字をつなげたもの。これら文化施設と教育施設が連携することで、人は新しい「知」に出会えると先生は提唱します。

アカデミックカフェの様子

<MLAKSU>
M Museum 美術館
L Library 図書館
A Archives 公文書館
K Kominkan 公民館
S School 学校
U University 大学

「全ての人々に利用して欲しい気持ちから、図書館と縁遠い方が図書館に行きやすくするように工夫すること。図書館というものが市民のためにどうあらねばならないかと考えています。いつでもどこでも誰でも、全ての人が使い勝手の良い、使うことで町の成長、人の成長につながる。それを徹底しています。」1985年ユネスコ国際成人教育会議における“学習権は人間の生存にとって不可欠な手段”という「学習権宣言」に基づき、渡部先生は“全ての方が学ぼうとすることに学べる環境を作る”と考え、活動しています。

お話をする渡部先生 写真

“学びたい人のためには、興味関心に応じたものを用意しなければならない”と、この施設で学んだと振り返る先生。ノルウェーのオスロ郊外にあるドランメンという町。そこの旧工場をリニューアルして、大学と公共図書館をドッキングした、北欧で1、2を争う新しい考えの施設です。1階には子どもたちのためのスペース。2、3階は一般利用者向け。4階は研究ゾーンとなっており、個々の学びに応じた空間が広がります。

北欧では一度大学を卒業しても、30歳くらいに学び直せる制度が当時あり、驚いたそうです。

また和歌山大学と和歌山県九度山町が地域で連携し、廃校跡を童話館にリノベーション。多方面に支援を呼びかけ、北海道の美術館長や帯広大谷短期大学の図書館関係者より数千冊の寄贈がありました。

本を手に、お話をする渡部先生 写真

このような数々の先進事例紹介や、図書館と地域連携の事例などを紹介。こうした人とのつながりによって、新たなものが生まれるのだと先生は振り返ります。

日常的に使っている施設を使いこなして地域の文化の底上げを行うと、そこをサポートする大きな図書館との連携も生まれます。明治時代に学校が津々浦々に築かれたようにMもLもAも整備すべきというのが先生の考えでした。

図書館も書店もない過疎地帯での生活経験をバックボーンに、図書館改革にかける熱い想いがあふれた渡部先生のお話。図書館をはじめとする施設の現状と課題、そして相互連携することにより誕生する新しい価値の創造を実感できました。

お話をする沼倉先生 写真

講話後には、大阪府立大学 学術情報センター図書館長の沼倉先生より挨拶がありました。

新しく図書館を設立する場合、横のつながりとしてネットワークを構築できること。加えてインターネットで閲覧可能なe-bookやデジタルライブラリーについて、遠隔地の利用者が欲しい情報にアクセスできること。図書館のない過疎地域においてデジタル技術が活用できると沼倉先生はお話くださいました。

館や地域を育てるには利用者や職員が双方向につながり合う事が重要。私たちは施設からの情報を一方的に享受するだけではなく、施設内のあらゆる人と気軽にコミュニケーションを取ることから始めるのが第一歩になるのだと感じました。

記念写真

紹介された本 写真

【取材日:2019年2月15日】※所属は取材当時