青木 絢子さん
理学系研究科 生物科学専攻 博士前期課程2年
出身高校:親和女子高等学校(兵庫県)
―留学しようと思ったきっかけ
将来、国境にとらわれずに専門分野を活かして発信できる研究者になりたい思いがあったため留学を志しました。また、自分の研究を推し進めるためにも、世界最先端の技術を持つ研究室で学ぶことが今の自分にとって一番の方法であると考え、トロント大学 サニーブルク研究所(カナダ)への留学を決心しました。
―カナダでの研究活動
私は現在、「Drug Delivery System(DDS)」という分野で、より効率的に薬剤を疾患に関わる細胞のみに届けるためのツールの開発研究を行っています。この分野の研究は、抗がん剤の副作用の低減や治療費の節約等患者さんへの様々な負担を減らすことができるようになると期待されています。
留学先でも、DDSの研究としてテーラーメード医療(患者さん一人一人に合わせたオーダーメイドな治療法)を目指した薬の送達ツールの開発を行うべくその「種」となるモノづくりを行いました。留学先の研究室は、トロントで一番大きな総合病院の中にあり、日々患者さんや医療関係者の方を身近に感じる環境だったので、自分の研究がいつかこの方々の役に立つかもしれないというモチベーションを保って研究に集中できました。
―カナダでの暮らしについて
私にとって初めての一人暮らしで、文化・言語の異なる土地で暮らす不安に留学前は押しつぶされそうでした。実際、関西国際空港の出国ゲートでは涙でぐしゃぐしゃになりながらパスポートに判子を押してもらった記憶があります。さらに初日から入国審査でのトラブルやロストバゲージで数日着の身着のままで過ごすことになったり、精神的に辛い時期もあったりしました。しかし、楽観的な性格や周囲の方々が非常に親切にしてくださったお陰で「来ちゃったからには仕方ない、生きてりゃ何とかなるし何とかする」精神でポジティブに乗り切ることができました。
トロントはカナダ東部最大の都市のため週末は様々な場所でイベントが開催され活気のある街でした。観光地も多く、治安もとても良いため平日は研究に没頭し、休日は友人と様々なところに遊びに行きました。また、教授のご自宅でのホームパーティーに誘っていただいた時は、おにぎりを持っていき楽しい時間を過ごしました。最も印象に残っているのはラボマネージャーさんがモントリオールに帰省する際に私も連れて行っていただいたことです。モントリオールは公用語がフランス語なので、同じカナダでも異国にいるようでした。
―今後の目標
これまでは主にがんを対象に「薬の種」を開発する研究を行ってきましたが、留学を通してより身近な、普段の生活から健康を意識したモノづくりがしたいと思うようになり、修士課程修了後はトイレタリー用品等の消費財メーカーの研究職に就く予定です。将来的に国内外問わず人々の健康に繋がる商品を自らの手で開発し、世界に発信できるような人になりたいと思っています。
―留学を考えている人へのメッセージ
留学を経験された方の多くが「留学」に挑戦する際の障壁について述べられています。費用捻出、家族、年齢、語学、学業、就職活動など、上げればきりがありません。しかし案外やろうと思えば何とかなるものです。外から日本を見てみる機会はそうないと思いますし、自分の世界を広げるきっかけにもなると思います。
また、私自身が留学を経て感じたのは何より「自分が何をしたいのか」を常に考え、周囲に発信することが大切だったいうことです。例えば現地の美味しいご飯が食べたいといった小さなことでも大丈夫です。
ぜひ一歩を踏み出してみてください!
▼青木さんが留学する際に利用したプログラム「トビタテ!留学JAPAN」にも留学体験談が掲載されています。
海外留学体験記(「トビタテ!留学JAPAN」Webサイト)
【寄稿日:2019年11月】
【寄稿:青木 絢子(理学系研究科 生物科学専攻 博士前期課程2年)】※所属・学年は取材当時