2019年11月6日(水)に、大阪府立大学中百舌鳥キャンパス・りんくうキャンパスで「全学一斉防災避難訓練」が行われました。それに合わせて、中百舌鳥キャンパスの馬場にて、バイオエタノールで発電した電気で浄水器を動かすデモンストレーションを行いました。このデモンストレーションは、本学の地域防災センター、資源循環工学研究所、馬術部およびボランティア・市民活動センター V-stationが協働して実施しました。

避難訓練の様子

本学では、現在キャンパス内の生協食堂および大学周辺域の廃食用油を学内プラントでリサイクルしバイオディーゼル燃料(以下BDFという)を生産、そのBDFを用いた専用発電機で電力化しています。

平常時は馬術部で発生する馬糞の堆肥化処理など各種資源循環の実践および研究に活用しており、その維持管理を自動車部所属の学生が担っています。また、非常時には大学周辺域住民に向けた電源供給拠点運営を行うこととなっています。

今回のデモンストレーションは、停電により上水道が停止しているという非常時を想定しました。府大池(正式名称:園池[そのいけ])の水を人力で汲み上げ、専用発電機で発電した電力を用いて浄水器を動かし、浄水した府大池の水でカップ麺をつくるというものです。浄水した水は、普段使用している水道水と同じくらい綺麗で、カップ麺を美味しくいただくことができました。

やかんで湯を沸かす 池の濁った水と ろ過後の綺麗な水 ラーメンを食べる伊藤先生

 
なお浄水器は台車に載せられるほど小型です。停電の際には、浄水器と発電機、府大池の水が入ったタンクを BDFで動く軽トラックに乗せ、学内の各施設に綺麗な水を給水できうることが、デモンストレーションで示されました。

浄水器と発電機を動かす様子

バイオエタノールで発電した電気で動かした浄水器を使って、池の水をろ過している様子

今後も、学内の多彩な機関・団体が連携し、防災をはじめとする様々なアイデアを実践し、実用に活かして参ります。

陳代 修平 (寄稿:工学域 機械系学類 2年 / V-station )

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伊藤 康人 先生(理学系研究科)のコメント
この企画は、馬術部とボランティアセンターの皆さんの全面的な協力のおかげで可能になりました。副専攻科目の受講生も参加しています。学生が協働して創り上げる地域防災 なのです。

徳本 勇人 先生(理学系研究科)のコメント
今回のデモンストレーションは、本学内で自給できるバイオマスエネルギー、本学内にある府大池の水、本学の多彩な学生たちの力を組みあわせた、本学ならではのアイデアが形となったものです。今後も、多様な主体の長所を組み合わせながら、社会貢献に資するアイデアを生み出していきたいと考えています。

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◎取材の感想/MICHITAKERs 崎山

府大池の水を汲む、ビクトリー仮面V-stationの学生から初めて企画の内容を聞いた時、「あんなに汚そうな府大池の水が飲めるようになるのか?」と正直疑っていました。府大池は浮き草が多く生え水が茶色に濁っているイメージが強かったからです。

そんな疑問を持ちながら避難訓練当日に行われたデモンストレーションの取材に行きました。そこで実際にろ過装置から出てきた水は透明で不純物のない状態になっており、とても府大池から汲んできた水だとは思えない程きれいなことに驚きました。汲んだ府大池の水

今回の企画は池の水をろ過して料理に用いるといった面白いものでしたが、この企画を通してBDFを学内で生産していること、府大が非常時の電源供給拠点となっていることを知りました。また、非常時の備えとして行われている日々の防災活動に目を向ける良い機会だったと感じています。

 

【取材:崎山 琴音 (MICHITAKERs/現代システム科学域 知識情報システム学類 3年)】
【取材日:2019年11月6日】
※所属・学年は取材当時