原尚之先生2019年12月26日(木)I-siteなんばにある「まちライブラリー@大阪府立大学」でアカデミックカフェが開催されました。カタリストは大阪府立大学大学院 工学研究科 電気情報システム工学分野の原 尚之(はらなおゆき)准教授。テーマは「思うがままにものを動かす制御のしくみとは? ―フィードバック制御とその考え方―」です。

今回のアカデミックカフェは、小学生以上を対象とした冬休み特別企画。計測と制御について小型コンピュータを使って簡単な実験を実施し、身の回りに溶け込んでいる「制御」について、みんなで一緒に考えました。

私たちの身の回りの家電製品やおもちゃ、自動車などには「制御」というシステムが取り入れられています。例えば、自動車の自動ブレーキでは、障害物の感知、コンピュータによる検知情報の処理、ブレーキによる適切な制動力の発生といった計測(センシング)と制御が巧みに取り入れられています。またエアコンでは、現在の温度の計測、設定温度の比較を経て、適切な室温を保ちます。このようにモノ・コトを思うままに動かしたい時、制御が重要な役割を果たしています。また何かを制御する時、一番基本的な構成を「フィードバック制御」と言います。

マイクロビットを付けたおもちゃ身近な例から制御について学んだ後は、おまちかねの実験。使用する道具は小型コンピュータ「BBCマイクロビット(以下、マイクロビット)」とパソコン。マイクロビットは、約5センチ×4センチほどの基板上に、25個のLEDと2個のプッシュボタンが付いています。また加速度・温度・明るさ・磁気を感知する各センサーを内蔵。無線通信機能にも対応しています。このマイクロビットを2個使って、プラレール上のおもちゃの電車を制御する内容です。

まずマイクロビットをパソコンに接続し、専用画面からプログラミング。プログラムを終えたら受信用マイクロビットを電車に取り付け、送信用マイクロビットのボタン操作で電車の走行、停止を制御します。ラジコンで遊ぶようなイメージを思い浮かべてください。

このミッションを終えると、次はちょっと難度が高い「衝突防止システム付き電車」の実験。プラレール上に設置した障害物(壁)に向かって走らせた電車が衝突する前に、自動的に止まるというプログラムでした。

府大生が子供たちをサポートプラレールを用いて実験実験は原先生の教え子でもある府大生たちがサポート。初歩的なプログラムでマイクロビットに慣れてもらうところから始まり、電車制御へと進みました。自分たちがプログラムしたシステムで電車が走り、停止する様子に喜ぶ子どもたち!そして保護者の皆さんは、そのシステムに感心しきりでした。

「マイクロビットを使うとアイデア次第でいろんなチャレンジができます。とても面白いと思いますので、ぜひ取り組んでみてください」と総括した原先生。暮らしにおけるモノ・コトには制御というシステムが備わっており、それが日常生活を便利にするシステムだと理解できた今回のアカデミックカフェ。子どもたちにとって、今回の体験が新しい世界に一歩踏み出すきっかけとなれば嬉しく思います。

集合写真

 

<先生ご推薦の本>
おすすめの本『制御工学の考え方』(講談社/木村英紀 著)
https://gendai.ismedia.jp/list/books/bluebacks/978406257396

『自動制御とは何か』(コロナ社/示村 悦二郎 著)
https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339031409

『トコトンやさしい制御の本』(日刊工業新聞社/門田和雄 著)
https://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00002260

【取材日:2019年12月26日】 ※所属は取材当時。