生田晴都さん

■プロフィール
2012年 大阪府立大学 理学部 分子科学科 卒業
2014年 大阪府立大学大学院 理学系研究科 分子科学専攻 博士前期課程 修了

私は2014年3月に理学系研究科分子科学専攻の博士前期課程を修了し、現在は電気系のエンジニアとして働いています。

恥ずかしながら高校生の頃は将来について深く考えていた訳ではなく、化学の勉強はパズルを解く感覚で楽しいという思いだけで理学部分子科学科に入学しました。大学も高校と同じような教育であると勝手に考えていましたが、全く異なっていたことが印象に残っています。

授業を通して最も面白みを感じたのが、化学反応を電子の流れや反応速度等の様々な視点から診て、暗記ではなく、なぜ反応が起こるか理由を追究することです。先生方は全て答えを教えるわけでなく、レポート等、学生に考えさせることを主体としていて、筋道を立てて考えることを意識して取り組む必要があり、論理的思考が自然と習得できたのではと考えています。

生田晴都さん研究室に配属されてからは、宇宙空間において重要な役割を担う低温イオン―分子反応の速度定数測定の研究に取り組みました。当時、特に力を入れたのが、装置製作段階で課題となっていた電気回路設計です。先生と二人三脚で取り組む中で、電気を利用して反応物であるイオンを操り、物理量を測定する化学実験の面白さに惹かれました。しかしながら装置は完成ではなく常に改善を行う必要が有り、日々試行錯誤の連続だったことが記憶に残っています。

この研究活動を通して、装置全体から化学反応を考える必要があるプラントエンジニアリングという職に就きたいと思うようになりました。化学系か電気系どちらにするか悩みましたが、電気で設備に貢献する方が自分に向いているのではと考え、電気系での就職に挑戦しようと決意しました。

今は、電気系のエンジニアとして生産設備の制御設計を中心に仕事をしていますが、生産設備は必ず論理的に動くため、大学の頃に培った“筋道立てて考える”論理的思考が大いに役立っています。筋道を立てて考えることはどこへ行っても通用する能力だと思います。分子科学科の学生生活の中で是非身に付けて、自分の可能性を信じて挑戦してみてはいかがでしょうか。

【寄稿:2019年5月20日】※所属は寄稿当時。