大阪府立大学では、「ことづくり」の発想によって次世代の産業界を牽引する人材育成を目的としたリーディングプログラム「システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム(以下、SiMS)」を2013年度に開設。今回は、このプログラムに参加している府大生の一人、長谷川紀子さんに大学生活や研究内容、SiMSについてインタビューしました。

長谷川紀子さん▼プロフィール
長谷川 紀子(はせがわ きこ)さん
理学系研究科 生物科学専攻 博士前期課程2年
出身高校:清風南海高等学校(大阪府)

―大阪府立大学に入学した理由を教えてください

実家から通える範囲で理学を学べる学校、という条件で関西を中心に大学を探していました。その時に、大阪府立大学は、学部ではなく「学域」という制度で専門分野だけでなく、幅広く様々な学びを経験できる事を知りました。

生物だけでなく多様な学びに触れたかった私にとって魅力的だったので入学を決意しました。

―現在、研究している内容はどのようなものですか

研究の様子肥満や糖尿病の原因となっている「糖」を吸収する時のメカニズムを研究しています。特にヒトの細胞にあるタンパク質「Rac1(ラックワン)」に着目しています。このRac1というタンパク質はがんにも関与するタンパク質として知られていますが、私は別の視点でRac1の、細胞内に「糖」を取り込む役割について研究を進めています。

将来的には肥満や糖尿病のメカニズムの中の1つが明らかになることが研究の目標です。

―学生生活で印象に残っていることはどんなことですか

大学生になって初めて部活をした事が印象に残っています。入学手続きの時に、最初に勧誘を受けた奇術部にそのまま入部。3年間トランプマジックをしていました。中高時代に部活に入部したことがなかったので、部活動そのものも、先輩・後輩関係もとても新鮮な経験でした。

―「システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム(以下、SiMS)」はどのようなものですか

長谷川紀子さん様々な分野の方々と共同して産学をけん引できる人材を育成するプログラムです。
プログラム名の通り、「物質科学」なので今まで受けたことがないような工学系や物理系の授業があり、ついていくのが大変でした。(笑)

日本の産業をけん引するためのプログラムなので、授業の中には、ビジネスに関するものもありました。その授業で、府大生と大阪市立大学の学生で5人のチームを組み、大学主催のビジネスアイデアコンテストに参加する機会がありました。このコンテストでは、「世の中にあったらいいな」と思うアイデアを考え、プレゼンテーションで発表をします。

ありがたい事に、このコンテストで私たちはグランプリ校友会賞を受賞。賞の副賞として大阪信用金庫が主催する「創業ビジコン“夢やさかい”ビジネスプランコンテスト」への出場権をいただき、チームの中から私を含めて2人で参加した結果、努力賞まで受賞することができました。

―SiMSを履修して、以前と何か意識が変わったことはありますか

長谷川紀子さん「創業ビジコン“夢やさかい”」には、さかい新事業創造センター(S-Cube)の職員の方にプレゼンテーションの内容を何度かチェックしてもらった上での参加だったのですが、それでも、他の参加者、特に社会人の方のプレゼンは私たちのものと比べて今すぐにでも事業として成り立つものばかりで自分の至らなさを痛感しました。

―今後の目標を教えてください

今年の4月から博士後期課程へ進みます。将来、どのようになりたいか明確なビジョンはありませんが、今は博士後期課程の学生として責任を果たすことを目標にしています。きちんと今の自分の立場に見合った成果を出していきたいです。

―高校生へのメッセージ

長谷川さん、写真

学力や偏差値で大学を選ばずに、「自分が何をしたいのか」で大学を選んだほうがいいと思います。高校時点で何をやりたいかはっきりとしていなくても、テレビドラマ等で格好いいな、と思えるような職業があればそれを目指してみるのもいいかも知れません。

私自身も高校生の時の生物の先生が行う授業があまりにも楽しくて、生物にのめり込み、今こうして生物の道に進んでいます。

あまり思い悩まなくても、大丈夫! 実際に大学生になって1年、2年、3年と進んでいくうちに自分が選んだ道に自信がついてきます。

【取材日:2020年3月13日】
【取材:瓜生 比呂美(広報課)】※所属は取材当時