大阪府立大学 理系女子大学院生チーム IRIS(アイリス)は理系を目指す女子高校生に話をしたり、地域に出向いて「IRISサイエンス・キャンパス」(科学の体験イベント)等を実施し、小・中・高校生に科学の楽しさやおもしろさを広めるための活動をしています。

今回は、IRISメンバーの工学研究科 物質・化学系専攻 応用化学分野 吉田春香さんに、2019年度北海道大学サイエンスコミュニケーション教育研究部門(以下、CoSTEP)を受講したきっかけやその内容について寄稿いただきました。

※CoSTEPは北海道大学の高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンターに設置されている科学技術コミュニケーション教育研究部門です。詳細はリンク先をご参照ください。
https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/html/introduction.html

吉田さん、写真

IRISサイエンス・キャンパスの様子

〈プロフィール〉
氏名:吉田 春香さん
所属:工学研究科 物質・化学系専攻 応用化学分野 有機合成化学研究グループ 博士前期課程2年

――CoSTEPを受講しようと思ったきっかけ

私は大阪府立大学理系女子大学院生チームIRIS (アイリス) に所属しています。IRISは子供たちに対する理科実験教室(サイエンス・キャンパス)の実施や、女子中高生に対する進路相談コーナーを開催しています。

私はそのような活動を通して、科学と人々を繋ぐ活動に興味を持ちました。他にどんな活動や「場」があるのだろうと考えていた時、IRISの先輩や事務局の方から、北海道大学のCoSTEPというプログラムを紹介していただきました。

CoSTEPでは、様々な立場の方の科学技術コミュニケーションに関する講義を受けることができます。社会における科学技術コミュニケーションの位置付けを知り、IRISの活動にも活かせるのではないかと考え、受講を決めました。

――サイエンスライティングを受講して

CoSTEPは科学技術コミュニケーターを養成するための講座です。そもそも科学技術コミュニケーションとは何なのか、科学技術コミュニケーターの役割とは何かということを1年間のプログラムを通して考えていきます。普段は自宅から遠隔で授業を受けていますが、10月には北海道大学でライティング演習を受講しました。これは、CoSTEP選科生「サイエンスライティング」選択者が、企画やライティング、インタビュー、著作権の基礎等について学ぶものです。3日間の集中演習の中で、講義を受けながら、自らが取り組んでいる科学技術コミュニケーションを題材にした課題文を作成しました。

私は課題文のテーマを「女子中高生向けたリケジョの紹介」にしました。IRISの活動で行っている「めざせ!理系女子 先輩と話そう」という進路相談の企画を、イベントに来られない学生にも体感してほしいと考えたためです。文章にして配布または公開できれば、広い範囲に発信できます。

自分の文章を先生方や他の受講生にピアレビューしてもらい、それを受けて書いては直しという作業をひたすら繰り返しました。一番初めに書いた文章はほとんど跡形もなくなるほどで、本当に苦労しました。この演習を通して「自分が本当に伝えたいことをはっきりさせること」と「それを受け取り反応してもらうために、どう書き、どう魅せるのがいいかを考えること」の大切さを実感しました。

集中演習には年齢や背景の全く異なる人たちが集まっていました。ですが、より良いものを作るという同じ目的のため、遠慮なく意見しあい、お互いに学びあうことができました。私にとってはそれが新鮮で、同時にとても楽しかったです。

吉田さん、写真

言葉あつめ ※

※自分や他人が使っている言葉を見つめ直すことを目的として、毎日付箋に「今日出会った言葉(フレーズ)」「今日使ってみたい言葉(フレーズ)」を書いて貼り出して共有する

――研究とのかかわり

ライティング演習の課題文作成に際して自分の研究姿勢について改めて考えました。

私はなぜ理系の道を志したのか、どんな人に憧れ、なりたいと思うのか、何をやりがいに感じているのか。自分自身と改めて向き合ったことで、研究の面白さを再認識することができ、より前向きな気持ちで研究に取り組めるようになりました。

また、集中演習の中でお互いに意見しあってより良いものを作りあげていった経験から、これまでより他の人とディスカッションすることに積極的になれました。

吉田さん、写真

グループディスカッションの様子

――IRISとのかかわり

CoSTEPを受講してから、IRISでの活動もより深く考えて行うようになりました。相手は何を求めているのか、相手にどうなって欲しいのか、今までより踏み込んで企画を考えています。その場限りで終わらない、興味が広がり続けるような機会を作れるよう、IRISメンバーと協力しながら活動に取り組んでいます。研究しながらイキイキと活動する姿が、子供たちに魅力的に映っていれば嬉しいです。

――これから

修了後は企業の研究者として働く予定です。研究も、社会と科学を繋げるような新しい活動も、やってみたいことがたくさんあります。さらなる学びを求めて外へ飛び出した経験が私の普段の活動に還元されたように、今までの学びを糧にしながら、これからも恐れずチャレンジを続けていきたいと思います。

吉田さん、写真

選科B集中演習参加のみなさん

<リンク>

ライティング演習課題文 「拝啓 進路を考えるあなたへ ~リケジョの研究生活案内~」pdf

CoSTEPについて https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/

IRISの活動について http://genki.osakafu-u.ac.jp/event_category/iris2019/