サッカーをキーワードにスポーツデータを研究する人間社会システム科学研究科の筒井雅之さんにインタビューしました!
「スポーツアナリティクス甲子園」やドイツで開催された「ハッカソン」への単身での出場のお話を中心に大学生活について伺いました。

 

筒井 雅之さん

〈プロフィール〉

筒井 雅之さん
2018年 現代システム科学域 知識情報システム学類 卒業
人間社会システム科学研究科 現代システム科学専攻 博士前期課程2年
出身高校:兵庫県立夢野台高等学校

―スポーツのデータ分析に興味を持ったきっかけ

学長顕彰を受賞した様子

学長顕彰を受賞

僕がまだ高校生の時、授業の一環で株式会社アシックスの社員の方が行うシューズの開発に関する講演を聴く機会がありました。
僕は小学生の頃からサッカーをしていましたが、スポーツを科学の対象として考えたことがなかったので、当初は衝撃を受けました。小さい時はサッカー選手になりたかったのですが、スポーツ科学の話に触れて、「ずっと好きなスポーツに関する仕事が学問を通じてできるかもしれない」という思いを胸に「スポーツ科学」系を学べそうなところ、サッカー部のある国公立大学というキーワードで関西の大学を探していました。
学問ももちろん重要なのですが、僕にとってはサッカーができることも重要な要素だったのです。
そして、大阪府立大学の知識情報システム学類に入学しました。

―ドイツの「ハッカソン」に単身で出場することに

大会での記念撮影

大会での記念撮影

現代システム科学域4年の時、ドイツで開催されたハッカソンへ出場する以前にゼミの担当教員である渡邊 真治 教授に勧められ「スポーツアナリティクス甲子園」に同じゼミの豊島さんと2人で出場しました。大会は学生対抗スポーツビジネス分析官コンテストと題し、「集客施策がJリーグの観客動員数に与える影響を分析せよ!」というテーマでした。強豪が多数出場する中、SAP賞という賞を受賞しました。
※SAPは主に企業向けソフトウェア、アプリケーション開発販売しているグローバル企業で、筒井さんが出場した「スポーツアナリティクス甲子園」の特別協賛企業です。

この受賞をきっかけにドイツで有名なサッカークラブ、FCバイエルン・ミュンヘン主催の「FC Bayern Hackdays」(ハッカソン)にエントリーし、出場が決まりました。

―初海外、しかも1人だったので不安でいっぱいでした

「ハッカソン」にはチームで出場するのですが、僕のように単身で参加した人は現地でチームメイトを見つけないといけません。このチーム作りが僕にとって最初の難関でした。

とはいえ、世界40カ国200名ほどが参加している「ハッカソン」なので、僕以外にも日本人がいるかも…と期待して初日のウェルカムパーティに参加すると、日本人がいなくてまた不安になったことを覚えています。

「ハッカソン」開催中は主催のFCバイエルン・ミュンヘンが用意してくださった4人部屋の寮で4日間過ごしていました。僕のルームメイトはアゼルバイジャン、イギリス、ロシアの人たち。彼らに僕は英語があまり話せないよ、と伝えると、4人ともとても親切にしてくださり、次の日に開催された開会式でも周囲の人々に僕の紹介をしてくれました。

筒井 雅之さんとルームメイト

開会式はFCバイエルン・ミュンヘンのホームスタジアムで開催されました。その景色に圧倒され「すごいところに来てしまったな…」と感じたことを覚えています。

「ハッカソン」はスポンサー企業ごとにグループとテーマが分かれていて、僕が所属しているSAPグループのテーマは「SAPチャレンジ:Fan Activation4.0」。IT技術を駆使して世界中にファンを増やすことでした。

同日には、グループの中でまだチームが決まっていない人が一人ずつ自己紹介を兼ねてプレゼンテーションをするチームビルディングの時間が設けられていました。僕もある程度プレゼンテーションを用意していましたがあまり自信がありませんでした。

チームビルディングの前の昼食で、同じテーブルに座っていた人たちが自分と近しい考えを持っていて話が盛り上がり、「このままこのチームでハッカソンに参加しよう!」ということになり、内心とてもホッとしました。僕にとってはこのチーム作りが最難関だったので。

チームビルディングの様子

チームになったメンバーの中にはアメリカのヤフーで働いている方や、イタリアの大学院に博士号取得のために留学している方など年代も国籍もバラバラでしたが、何かしらの分野におけるスペシャリスト、という共通事項がありました。

そんなチームメンバーの皆さんとその後2日間ともに過ごしていく中で英語ももちろんですが、「自分の情報学に関するスキルをもっと磨いていかないといけないな」と感じました。

残念ながら「ハッカソン」では入賞することができなかったのですが、4日間の中でチャレンジする機会が何度もあり、自信や反省も含め、得るものがとても多い期間でした。

―できないことが、どんどんできるように

研究をする筒井 雅之さん

学域生の時、就職活動が思うようにいかなくて、何かのきっかけになればと思い「スポーツアナリティクス甲子園」に出場しました。
大会に出場するまでの私はチャレンジに二の足を踏み、人前に立って話すなんてもってのほか、というタイプだったのですが、大会出場をきっかけにドイツのハッカソンへ単身で出場したり、スポーツに関する研究を続けてきた結果、スポーツを科学的に学びたいと思うきっかけとなった株式会社アシックスのスポーツ工学研究所に研究職として就職することが決まりました。

―在学中はサッカー部の仲間にも助けてもらいました

サッカー部の時の筒井 雅之さん

府大に入学すると同時にサッカー部に入部しました。兵庫の実家から堺に通学しているので、朝練の時は始発に乗って大学まで通っていました。

サッカー部内では色んな学域・学類の仲間がいるので、数学が得意な人に数学を、物理が得意な人に物理を教えてもらうなど、サッカーに限らず様々な面で助け合う風土があり、とても助かりました。

―最後に、卒業前に受験生・高校生の皆さんへ

僕は大阪府立大学に入学してよかったです!
府大は自分のやる気次第で何でもできる環境でした。

今はまだ将来が考えられない、追いかけたい夢がない人にこそ現代システム科学域はおすすめです。学域単位での入学の場合、様々な学びに触れた上でやりたいことを決めることができるので、ぜひチャレンジしてみてください。

【取材日:2020年3月19日】※所属は取材当時