次世代のシステムテクノロジーと経済・経営などの社会科学、ヘルスケアなど多分野の専門知識を融合させ、未来のサービスを創造する「知識情報システム学類」に所属している坂口夢羽斗さん。
学域(学部)3年生にして、今年度での早期卒業をめざしている坂口さんに、府大をめざした理由や大学生活、今後の目標などを聞かせてもらいました。

▼プロフィール
坂口 夢羽斗(さかぐち むうと)さん
群馬県立高崎高等学校出身
2018年4月 現代システム科学域 知識情報システム学類 入学

―知識情報システム学類は特殊な学類だと思うのですが、大阪府立大学を知ったきっかけや受験しようと思った理由を教えてください。

サッカーをする坂口さん

国立大学トップをめざしている人が多いクラスという環境もあり、高校3年生の夏休みまでは東京大学理科二類をめざしていました。
もともと理系で生物が得意だったので、生物系の学部だったらめざせそうだなと思っていたからです。

ですが、得意だけどそれを仕事にしたいかと聞かれるとそうではないし、将来自分が生物系分野で活躍している姿をあまり想像できず。
自分は何をしたいのか、改めて考えることにしました。

小学生の頃から発達障害(高機能自閉症)の方に接する機会が多かったのですが、もっと住みやすい社会、もっと個性をいかすことができる暮らしがあるのでは?と思うことがあり、そういう仕事ができたらいいなと。

ただ、今の時代その想いだけじゃどうにもならないので、情報やITを使えば時代に沿った問題解決ができるのでは?と、情報プラス様々な領域(文理融合)で学べる大学を探すことにしました。

そこで見つけたのが大阪府立大学の現代システム科学域です。
シフトチェンジしたのは高校3年生の11月末ぐらいだったのですが、府大にきて本当に良かった、間違っていなかったと思います。

―学ぶ先の目的があって、大阪府立大学に辿りついたのですね。
実際に入学してみて、印象はどうでしたか?

大学というフィールドが新しくて、面白い授業ばかりだなと思いましたし、教養科目など様々な知見を広げておくのは有意義だなと感じました。
生活と結びついた授業をしてくれることが特に面白いですね。

―学外でも色々なことに取り組まれているとお聞きしました。

デイサービスをする坂口さん

一年生の春から週に2回~4回、放課後デイサービスの指導員をしており、実際の現場で経験を得ています。
また、府大の先輩やOBをはじめ、中学生から40代ぐらいの方までが所属している学外のクラブチームでサッカーもしています。

特にクラブチームに所属したことは自分が変わる大きなきっかけとなりましたね。
熱い人たちが多く、希望を持って人生の話をしてくれるので、色々なことを学ばせてもらっています。

これは入学してから思ったことですが、どの大学を選んでも、結局自分のやる気次第。
やろうと思えば何でも学べるし、勉強以外のことも大切。
大阪という土地や、府大を利用していけたらいいなと思っています。

―“自分が変わる大きなきっかけ”の中でも、特にご自身でこれが一番変わったなと思うことは何ですか?

時間の使い方ですね。時間はとても大事だなと。
学外のクラブチームを通じて出会い、僕がすごく尊敬している人生の師匠ともいえる方がいて、その方の「1日生きるように、人生そうなる」という言葉にはっとしました。
1日の過ごし方を振り返ったときに、自分は何時間寝ているのだろうか。
何時間無駄な時間を過ごしているのだろうか。
このままじゃいけないな、と思って行動が変わっていきました。

日によって変わりますが、朝4時に起きて、脳を働かせるために読書や運動をスタート。
7時からサッカーの朝練に参加し、9時から勉強や研究。
夕方は読書や自主学習など自由に過ごして、23時ごろ就寝の生活を送っています。

―時間の使い方といえば、3年生で早期卒業をめざしているとお聞きしました。

本来なら3年生の後期から研究室配属になるのですが、自分は真嶋教授の授業に参加させてもらっていたのがきっかけで、3年生のはじめから研究室に所属させてもらっています。
配属するときに、真嶋教授から早期卒業できると言ってもらったのです。
研究室配属が決まり、本来は4年生で受ける英語演習を上の学年と一緒に受けられるようになったなど状況が整ったことも大きいですね。

研究室では発達障害の子どもたちがどういう風にすればもう少し勉強がしやすくなるかを考えるため、ロボホンというロボットのプログラミングを小学生にしてもらい、他の教科に活かすという実験をしていました。

―声をかけてもらえる教授との距離感、関係性も素敵ですね。

真嶋教授は選択授業で出会ったのですが、気さくでどんどん話しかけてくださる先生なのです。

授業の最後に感想を書いた紙を提出しにいくのですが、その時に一人ひとりと話してくれるような先生で。
自分はこういう理由で府大に入りましたと伝えたら、「研究室に来てみる?」と声をかけてくれました。

―早期卒業したあとは、どのように過ごしたいと考えていますか?

サッカーの繋がりで全国に知り合いがいるので各地をまわったり、コロナ禍ではありますが海外の教育環境を見に行ったりして、起業家の資質を身に付けたいと考えています。

自分の理想や方法は考え中ですが、IT×福祉の道に進もうとシフトチェンジしたタイミングで、これをやるなら自分で起業してやらないとだめだよなと思いました。

2021年は新しい年。
もっと時間を有効に使える部分もあると思いますし、もっとストイックにやらないと1年を無駄にするだけだと思うので、3月までに自分のベースを完全につくることができたらいいなと思っています。

そのためには色々な方と対話して、吸収できることを吸収したいです。

―坂口さんの成長意欲と自分へのコミットは素晴らしいですね。

もともと成長意欲は高い方だったと思うのですが、自分軸を持つことができたのは、やっぱり学外のクラブチームでの出会いが大きいですね。
1年生の頃の自分はちょっと高慢だったのですが(笑)そんな自分の話を真摯に聞いてくれて、心を開けてくれた人に出会えたことは大切なきっかけになりました。

群馬県から出てきた身で、家族からお金など支援をしてもらっているので、やるしかない。
人間は流される生き物だと思うけど、自分はもっと上をめざしたいと思うし、考えがぶれることのないように、いい人たちと繋がっていたいです。

―忙しそうですが、すごく楽しそうですね。

自分のしていることが楽しいし、喜びを感じます。
最近人生の目的を考えていたのですが、何をするにしても愛と感謝を持ち続けることを大切にしたい。
やりたいことは変わるかもしれないけど、愛が目的であることは自分の核として変わらない部分だと思いますし、人生を走ることはやめられないと思います。

インタビュー中の坂口さん

―これまでの生活を振り返ってみて、高校生や同じ大学生のみなさんに伝えたいことはありますか?

大切なのは、順番。
自分も学問を学ぶ身ではありますが、スキルを身に付けるのが先ではないと思うようになりました。
まず人格をつくろうと努力したから色々なことを考えられるようになりましたし、精神や思想があるから頑張れる。

だからまずは自分をつくること。
そのためには、いい言葉といい人に出会うことが大切だなと思います。

また、支えてくれる家族の存在は偉大!
僕の場合は特におじいちゃんがすごくサポートしてくれました。
今年の2月に亡くなったのですが、最後まで自分のことを考えてくれていたので、おじいちゃんのことを考えたら頑張らざるを得ないですね。

坂口さんと祖父

【取材日:2020年12月23日】
【場所:大阪府立大学中百舌鳥キャンパス】
【取材:株式会社エヌ・アイ・プランニング 合田紗規(大阪府立大学人間社会学部OG)】
※所属等は取材当時