沼 勝惟(ぬま しょうい) さん
生命環境科学域 緑地環境科学類 地域生態学研究グループ
2018年度入学/大阪府立三国丘高等学校 出身

2022年4月開学予定の大阪公立大学(仮称:設置認可申請中)に、農学部および農学研究科が新設されます。農学部には応用生物科学科、生命機能化学科、緑地環境科学科の3学科が設置され、分子から生命・環境までを農学的視点から広範囲に学ぶことができます。

現在、府大で設置されている生命環境科学域の応用生命科学類(植物バイオサイエンス課程・生命機能化学課程)、緑地環境科学類の2学類が農学部に移設されます。そこで各専攻の先生方にご推薦いただいた在学生の方々に、寄稿文を依頼させていただきました。

今回は生命環境科学域 緑地環境科学類 地域生態学研究グループ 4回生 沼 勝惟さんからの寄稿文をご紹介します。

―大学で熱中していること

大学一年生の夏に狩猟免許を取得してから現在までずっと“わな猟”をしています。きっかけは高校生のとき、ある大学教授のご講演を拝聴したことです。ご講演の内容はニホンジカが増えすぎたために生態系のバランスが崩れ、多数の絶滅危惧種が発生しているというものでした。教授はご講演の最後を「絶滅危惧種が今たくさんいるんだけれども、一番の絶滅危惧種はニホンジカを狩るハンターです。」という言葉で締め括りました。この言葉にものすごく感化されて、狩猟をしたいと思うようになりました。

写真①―狩猟免許合格通知

狩猟というと多くの方が猟銃を用いた狩猟を思い浮かべるのですが、僕が行っているのはわな猟です。現在の狩猟免許所有者の約半数がわな猟免許所有者であることを考えると、実は割とメジャーな狩猟方法なんです。

僕のわな場は家から自転車で15分程度のところにあります。写真②は“箱わな”と呼ばれる種類のわなで、米ぬかなどの餌を撒いて野生動物を檻の中におびき寄せます。動物が檻の中のワイヤーに足を引っかければ檻の入口の扉が落ちて動物が閉じ込められる仕組みです。

写真②―箱わな

捕らえた動物は箱わなの中に閉じ込められます。写真③は箱わなでイノシシを捕獲した際のものです。

写真③―箱わなで捕獲されたイノシシ

箱わなに動物がかかったら、槍で出血死させたり、電気止め刺しで感電死させたりします。上手く急所を突かなければ、動物は悲鳴のような鳴き声をあげます。動物の命を奪う瞬間は様々に思うところがあります。この瞬間に立ち会うたびに何度も命の重さや食べるということについて考えさせられます。

写真④―捕獲したイノシシを川で洗っているところ

この後は捕らえた動物のお肉を無駄にしないように、すぐに川などで冷却し、体を綺麗にして解体し、肉を部位ごとに切り分けます。因みに、このような野生鳥獣のお肉、いわゆるジビエは食肉処理業の営業許可を受けた施設で処理されたものしか販売できないため、僕の場合は全て自家消費用です。
以上が僕の“わな猟”の一連の流れです。狩猟について少しでもご理解いただけたなら幸いです。

僕はこの経験を生かし、卒業論文として狩猟をテーマにした研究にも取り組んでいます。僕の狩猟のように、自分の興味関心に沿ったことを公私問わずに経験できるのも大学の良さです。

もちろん、僕も一人の大学生なので、狩猟ばかりではなく大学で講義を受けたり、部活やサークルに参加したり、友人と飲み会や旅行に行ったりもします。中百舌鳥キャンパスは歩くのがしんどくなるくらい広く、様々な設備が備わったキャンパスの一方で、政令指定都市の堺市に立地するため、都市部へのアクセスも非常に良好です。こういった中百舌鳥キャンパスの特徴も僕の大学生活を毎日飽きない楽しいものにしてくれていると感じています!

―緑地環境科学類を目指した理由

なんとなく環境問題に興味があり農学系の学部を志望していました。そして家から通えることもあり、緑地環境科学類を志望しました。この選択は結果的に正解でした。なぜなら緑地環境科学類で学ぶ学問はとにかく幅が広いからです。なので、入学してからも様々な講義や課外活動を通して自分の興味分野がどのようなことにあるのかをじっくり考えることができました。緑地環境科学科(大阪公立大学での新設名)で学べることは幅が広いので、将来のことについてはよく分からないけど、生物にはなんとなく興味があるという方にはものすごくオススメです!

―先生方の印象

学問に対して興味関心があればどんな学生でも優しく質問に答えてくれますし、丁寧に指導してくれる先生ばかりです。緑地環境科学科の先生方は、どの研究室でも学生の面倒見が良い方が多い印象です。余談ですが、学科内の一学年の学生人数は50名程度と少ないので学科内は大学というよりも学校のようなアットホーム感があると思います。

―中高生に向けてのエール

僕は大学生活で様々な知識や価値観に出会いました。学問のこと以外を含め入学当初とはかなり違った人になり、人間的に成長できたと考えています。この記事を最後までお読みいただいたあなたにも、この大学で過ごす時間に様々な発見や出会いがあることを信じています。また、どの大学に進学することになっても、それがご自身で納得できる選択になることを願っています。

【寄稿日:2021年6月24日】※所属は寄稿当時

大阪公立大学 農学部