鰐渕 元貴さん (村の喫茶店 もくもく)
2011年 奈良県立平城高校 卒業
2015年 生命環境科学部 植物バイオサイエンス学科 卒業
2019年 生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 植物バイオサイエンス分野 博士前期 修了

私が大阪府立大学を卒業してから歩んできた道のりや、現在の活動についてレポート形式でご紹介させていただきたいと思います。

鰐渕 元貴さんの写真

ー大学院在学中に青年海外協力隊へ

ウガンダでの鰐渕 元貴さん

在学中は、主に水稲の栽培技術を専門とする研究室で、稲作に関係する知識や技術を学びました。そして同研究室で大学院に進学後、二年間休学をさせていただいて、兼ねてから目標としていた青年海外協力隊に参加し、アフリカのウガンダ共和国で稲作振興のプロジェクトに携わりました。青年海外協力隊に応募した経緯や、現地での活動の様子については、以前の記事で詳しく取り上げていただきましたので、今回はウガンダでの経験を経て、どのような考えを持つように至り、現在まで繋がってきたのか、というところを中心にご紹介させていただきたいと思います。

ーウガンダでの経験から得た気づき

ウガンダでの鰐渕 元貴さん2

ウガンダから日本に帰国して、その後の進路を考えるうえで大きな気づきとなったのは、日本の社会にいる子どもや若者がいかに少ないか、ということです。私が暮らしていたウガンダの村では、道を少し歩くだけで本当にたくさんの子どもや若者に出会ったので、それとは正反対の日本の「少子高齢化」が、すごくリアルな問題として感じられるようになりました。そのような気づきを得る中で、この高齢化が進む日本の社会に何か貢献をしながら、同時に農に携わる者としての経験も積んでいけるような仕事をしたいと考えるようになった末に、高齢化率日本一の自治体である、群馬県南牧村の地域おこし協力隊の募集に巡り合い、大学院卒業後の2019年より、南牧村での活動をスタートさせることになりました。

ー群馬県南牧村での活動

南牧村では、一緒に移住してきた妻と二人で「村の喫茶店 もくもく」というお店を営業していて、ウガンダ産のコーヒーや、畑で採れた自家製の野菜を使った食事のメニューを提供しています。現在は、村の特産品である炭を用いて、ウガンダ産コーヒー豆の自家焙煎にも取り組んでいて、ウガンダと南牧村の魅力を掛け合わせた味を、村内外の多くの方にお届けできるように日々研究を重ねています。また、お店の近くにお借りしている元耕作放棄地の畑では、農薬や化学肥料を用いない有機栽培で野菜を育てていて、植物の種類こそ違うものの、学生時代に自分のテーマとして研究していた「水稲の有機栽培技術」の知見が活きているのかなと感じています。

私の地域おこし協力隊としての任期は、2022年の3月で一旦終了しますが、その後も夫婦で独立してお店を運営していく予定なので、水田での稲作にも挑戦していくなど、農に携わる人間としての成長を追い求めながら、地域の方たちの交流が生まれる場所としてのお店作りに、今後も全力で取り組んでいきたいと考えています。

ー読者の皆様へメッセージ

このように、ウガンダから南牧村へと流れてきた私の今までの人生ですが、その道のりを振り返ってみると、出発点は大阪府立大学での学生時代にあったと思います。農学の基礎的な知識を学んだことはもちろん、所属していた海外農業研究会の活動で、実際に多くの国を訪れたことや、ウガンダから帰国後、後援会の目標設定型奨励事業「チャレンジくん」の制度を利用して、大阪とウガンダを繋ぐシンポジウムを企画したことなどが、ひとつひとつ今につながる礎となっています。まだまだ私の道は半ばですが、これからも大学時代から積み重ねてきた経験を糧に、さらなる挑戦を続けていきたいと思っているので、これから大学生になる皆さんも、ぜひ大学で自分だけの挑戦を始めてみてください。

シンポジウムの様子

関連情報

【寄稿:2021年10月3日】※所属は寄稿当時。

 

大阪公立大学 農学部