学生FDスタッフの活動を通して得られた力とはどのようなものでしょうか。OBの溝口 祐樹さんに、現役スタッフがお話を伺いました。

学生FDスタッフとは?
FD(Faculty Development)は、大学での授業内容・方法の改善、向上をめざす取組で、学生FDはそこに学生の視点を取り入れる試みです。具体的には教職員の方と協働しながら、レポート企画や学生課程配属相談会などを行っています。

――――学生FDスタッフの活動に参加されたきっかけを教えてください。

溝口さん

大学1年生の時から所属していた学生自治会の活動は大学3年生前期で引退を迎えました。そのタイミングで、大学の職員さんから学生FDスタッフをやってみないかというお誘いをいただきました。引退後は具体的に何をするのか決めていなかったので、「とりあえず一度参加してみます」という二つ返事で、活動がスタートしました。
私は公式な活動をしている団体に誘われやすいタイプのようで、チャンスがあれば、フットワーク軽くさまざまな活動に参加していました。そのような活動を通して、学生生活で関わる府大の学生以外にも、教職員の方など多様な立場の人たちとつながりを持つことができました。そのつながりの中で、自分の専攻分野以外にも、大学教育についてなど、さまざまな話を聞く機会を得て、多くのことを学びました。

――――学生FDスタッフでは、具体的にはどのような活動をされましたか。

課程相談会の企画、学生FDサミットへの参加、学生FDスタッフのTwitter(@OPUgakuseiFD)の運営です。課程相談会では、上級生に協力していただき、1年生を対象に、課程配属に向けて説明をしたり、相談を受けたりしました。府大では、学生アドバイザーや職員の方が学生生活や履修、課程配属に関する相談を受け付けていましたが、この企画では、より気軽に質問や相談ができるように上級生に参加していただきました。
学生FDサミットというイベントにも参加しました。学生FDサミットは、全国の大学でFD活動を行っている学生が集い、「教育改善とは何か」などを議論したり、活動内容を発表するイベントです。
また、学生FDスタッフの知名度アップや新規スタッフの募集を目的に、Twitterを運営したり、活動の様子や企画、学生生活に関する情報などの広報活動も行いました。

活動の様子

――――学生FDスタッフの役割とはどのようなものだと考えていらっしゃいますか。

「大学教職員と協働して教育改善をすること」だと考えていました。協働するということは、学生だけでなく、教職員の双方にとって有益であることが重要です。例えば、「好きな教養科目を好きなだけ受講させてほしい」などの学生側の要望を一方的に伝えるだけではなく、「何が不満なのか」「なぜ不満なのか」「どう改善したいのか」に加えて、「大学はどのような背景に基づいてその制度を採っているのか」を考えます。それらを踏まえたうえで、どのような改善ができるのかを教職員と一緒に考えていくことが大切だと思っていました。

――――学生生活で最も印象に残っていることを教えてください。

全学新歓実行委員会、大学生協理事会監事などのさまざまな活動を行いましたが、その中で一番印象に残っているものとすれば、やはり研究活動です。学域・研究科で合わせて3年間を費やした、大変充実した時間でした。修士論文のテーマは、エマルジョンという排水の分離処理方法です。エマルジョンは水と油が混ざったもので、身近なものではマヨネーズや化粧品の乳液などが該当します。さまざまな産業分野で水と油が混ざった排水が発生し、処理する必要があります。この効率的な分離方法として、電気を使った手法を研究していました。
論文を執筆するにあたり、類似テーマでは電気を使った手法以外にはどのような手法があるのかを調べました。また、そもそも分離しにくい理由は何かという逆の視点で、エマルジョンの安定化に関する論文や専門書など、自分の専攻である化学工学という分野に限らず、食品や化粧品など幅広い分野について調べました。この調査を通して、知識の幅が広がりましたし、さまざまな情報を統合して新しいアプローチに挑戦するという経験となりました。研究では、自身で設定した課題の解決方法を考え、実際に試行錯誤しながら検討を進めました。課題や問題点を見つけて解決していくプロセスは、学生FDスタッフの活動とも共通することもあり、役に立ったのではないかと思います。

卒業式の様子

――――学業と学生自治会などの5つもの課外活動はどのように両立されていたのでしょうか。

私は、往復4時間の通学時間を活用していました。疲れてうとうとすることもありましたが、基本的には、課題、課外活動のことを考える時間、専門書や論文を読む時間にあてていました。忙しさの中で無意識にタイムマネジメント能力も鍛えられていたのかもしれません。

――――学生FDスタッフの活動を通してどのようなものを得られましたか。

ミーティングの様子

やりたい企画をある程度自由に、そして大学の協力を得て実現できるのは貴重な経験だったと思います。たとえば、私が実施した課程相談会は、私自身が1年生のときに感じた情報不足を改善するための企画でした。社会に出ると、問題発見能力や課題解決力が求められます。これらの力は、実際に経験を積んで初めて伸びるものだと思います。学生FDスタッフの活動は、自分で課題を発見し、周囲と協力しながら解決を目指すことができた非常に貴重な経験でした。
前例がないことをする際は、企画書の作成や説明、許可、承認など、さまざまな準備が必要な場合もあります。活動を通して、そのような経験もできたので、社会人力が非常にアップし、実際に社会で働く中で活きていると思います。今学生のみなさんにも、何か不満があれば、くすぶっていないで、解決に向けてまずは何か行動して欲しいです。

 

【取材日:2021年10月24日】
【取材:学生FDスタッフ 木岡智優 現代システム科学域 環境システム学類 2年】

学生FDスタッフは一緒に活動するスタッフを募集しています。
ご興味のある方は下記までご連絡ください。
メールアドレス:OPUgakuseiFD@ml.osakafu-u.ac.jp
担当:教育推進課(A3棟2階) 南部・中野
ホームページ:https://www.fd-center.osakafu-u.ac.jp/gakusei-fd/