私は、博士課程卒業までの９年間を理学部（現在の理学類）ならびに大学院理学系研究科で学びました。卒業後は私立高校で化学教員をした後、現在は大学で研究員として有機化学の研究に携わっています。

私は、学部の授業で学んだ無機化学・有機化学・物理化学などの基礎的な化学の中で最も興味をもった有機化学分野の研究室で専門的な研究に取り組みました。世の中の物質にはどんな特徴があり、どのように作られるのか、もっと優れた合成法はないのかを研究を通じて探りました。

高校では、教科書にある既に知られたことについて学びますが、大学、特に理学ではまだ誰にも発見されていない化学反応をターゲットに、日々試行錯誤します。もちろん思い通りにいかないことも沢山ありますが、知られていないからこそ夢中になって取り組む研究の中で、何か小さな発見が生まれた時のワクワク感を是非皆さんにも味わってほしいと感じます。

卒業後に就いた高校教諭の仕事はもちろん楽しかったのですが、研究生活で触れた最先端の化学・新たな発見に出会った時の心弾むあの感覚が忘れられず、研究職に戻ってきてしまったのかもしれません。

【寄稿：2018年7月10日】※所属は寄稿当時。