國重 由花さん(日油株式会社) 2018年3月 大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 博士前期課程 修了 |
現在の企業名・職務内容
私は2018年4月に日油株式会社に入社してから、健康食品(サプリメント)の研究開発を行っています。
あまり会社名に馴染みはないかもしれませんが、実際に皆さんが薬局などで見るサプリメントの製品設計を販売会社の代わりに行ったり、サプリメントに配合される有効成分の粉末を加工してサプリメントの製造会社に提供したりしています。
直接関わるお客様は消費者ではないので、会社の名前こそ表には出てこないですが、消費者が自分の関係した商品を手に取っている姿を見ると、自分の仕事が多くの人に届いていることを実感し、やりがいのある仕事だと感じています。
生命機能化学課程(研究室で)取り組んだこと
私は元々将来の夢が明確にあったわけではありませんでした。高校生の頃に進学を考える中で、身近な食品に関する内容を学ぶことが出来そうな生命機能化学課程に興味を持ち、大阪府立大学に入学しました。
そして大学で学ぶ中で、酵素の多様性に面白さを感じ、3年生からは生物資源循環工学研究グループに所属して糖質分解酵素の分子構造解析をテーマに研究を行っていました。
研究活動は授業とは異なり、誰も知り得ない内容を自分の手で明らかにする作業になるので、困難が多い分、達成感はそれ以上のものでした。在学期間の中で新しい分子構造を明らかにできたときは、理系に進学して辛いこともあったものの、研究室に入ってよかったと心から思いました。
学生時代の経験で、現在の仕事に生かされていること
現在の仕事に当時の研究分野は全く関係していませんが、課題に対するアプローチの考え方は学生も今も変わらず必要なものですし、発表の仕方、自分の考えの伝え方など研究室での多くの経験が活かされていると感じています。
また、対象は違うものの、メーカーの研究開発は新しい価値を社会に提供する事が仕事になるので、新しいものを自分で生み出す楽しさは研究室時代と変わらないように感じます。
高校生へのメッセージ
最後に、高校生のみなさんの中には将来やりたいことが分からず悩んでいる方もいると思います。
私もその一人でしたが、大阪府立大学での学生生活のなかで、同期や研究室の先輩方、後輩、そして先生方や留学生など、さまざまな人と出会い、学び、交流したことで、ご縁あって今の会社と出会い、やりがいを持って仕事をすることができています。
皆さんも今はたくさん悩むと思いますが、大学での出会いを通じて新たに見えてくるものもあると思います。今の自分の選択には本気で悩んで、選んだ大学での学生生活では多くの出会いを大切に過ごしてください。
そして、大学名は変わってしまいますが、ご縁あってこの大学を選んでくれたのならば、卒業生としては嬉しい限りです。
【寄稿:2021年3月】※所属は寄稿当時。