大阪府立大学は世界遺産であるベトナム・ハロン湾において、環境改善プロジェクトを展開しています。
◇国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業フェーズⅠ(2009年10月~2012年9月、地球環境センターとの共同事業)
◇国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業フェーズⅡ(2013年11月~2016年9月、堺市との共同事業)
◇SATREPSバイオ燃料普及プロジェクト(2011年11月~2016年10月)
これらの事業では、ハロン湾の環境を改善することを目的に、住民の環境意識の向上・海上輸送を基盤とする廃棄物循環システムの構築等に取り組んでいます。このたび、廃棄物循環システムの中核的役割を担うバイオ燃料使用のゴミ運搬船が完成し、2015年11月から運行実験を開始しました。
この環境プロジェクトには、環境人材育成教育プログラムの「国際環境活動特別演習」を履修している本学大学院生も参加し、現地関係機関、現地大学生、現地住民等と協力して、小中学校における環境教育、ハロン湾でのマングローブ植林等を進めています。参加した学生たちは、現地での活動を通じて、「普段の海外旅行とは異なる有意義な時間を過ごした」、「現地の方々とより深く関わることができた」等、貴重な体験を肌で感じたようです。
大阪府立大学は今後も、各関係機関・現地住民と協力しながら、ベトナム・ハロン湾の環境改善に取り組んでいきます。
○プロジェクトリーダーを務める現代システム科学域 大塚教授コメント
私がハロンを初めて訪れたのは2006年で、そのとき草の根技術協力事業フェーズⅠの下準備を始めました。そらから毎年5-6回ハロンに行って、様々な活動を実施しており、多くの関係者や住民と親しくなりました。今では第2の故郷です(第1は大阪)。府大のこれらの環境活動は、ベトナム政府からも、現地の人たちからも高い評価と信頼を得ています。私は、このようなプロジェクトに携わることができたことに感謝するとともに、この機会を府大学生の環境教育に大いに生かしたいと考えています。
【ベトナム・ハロン湾におけるJICA草の根プロジェクトとは】
ハロン湾は、多数の奇岩が林立する世界有数の景勝地で1994年にUNESCOより世界自然遺産に認定されましたが、ベトナムでも最大規模の炭鉱が広がる地域であり、そこから石炭塵がハロン湾に流出していること、世界遺産指定後、大型の観光船やリゾートホテルが急増し、下水処理施設整備が追い付いていないこと、観光の目玉の一つである水上村の住人の廃棄物や排水に対する意識を向上させる必要があることなどが問題となっていました。本学は第一期と二期にわたり、住民の環境意識を向上させるとともに、海上輸送を基盤とする廃棄物循環システムを構築し、ハロン湾の環境を改善するプロジェクトを展開しています。
第一期の2009年10月~2012年9月の約3年間、公益財団法人地球環境センター(GEC)と協働し、主として水上生活者を対象に、
・生ごみのコンポスト化等によるごみ減量化
・アクリルたわしの普及や洗剤の適正使用などの生活廃水対策
・日本での研修を通じた環境活動リーダーの育成
・水上小学校での環境教育
・住民参加型のマングローブ植林
等を実施してきました。
また第二期の2013年11月~2016年の約3年間は、堺市と協働し、
・バイオディーゼル燃料(BDF)を使用したゴミ運搬船の建造
・運搬船を用いた廃棄物海上輸送システムの確立
・水上小学生で確率した環境教育プログラムの陸上小中学校への展開
・第一期から引き続き住民参加型のマングローブ植林
等を進めています。
【SATREPSバイオ燃料普及プロジェクト】
「SATREPS」はScience and Technology Research Partnership for Sustainable Development の頭文字を取ったもの。事業期間は2011年11月~2016年10月の約5年間で、ベトナムおよび周辺国における高効率BDF 利用システム(植林・生産・普及)構築による環境改善を目的に実施しています。
■参考リンク
http://michitake.osakafu-u.ac.jp/2014/09/11/halong_edu/
http://www.kankyo-jinzai.21c.osakafu-u.ac.jp/%e6%bc%94%e7%bf%92%e6%b4%bb%e5%8b%95%e5%a0%b1%e5%91%8a/