台南大学に留学している野原章司さん(工学研究科博士前期課程 電気情報系専攻 知能情報工学分野 M1)から研究留学レポートが届きました!
海外での研究・留学経験を考えている府大生のみなさん、また大学生の日常を知りたい受験生のみなさん、どうぞご参考ください。
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工学研究科 電気情報系専攻 知能情報工学分野の野原章司です。
2015年11月から台湾にある国立台南大学(下記:註)に留学中です!(写真左が野原さんです)
ー留学のきっかけー
きっかけは5月の李先生の府大訪問でした。
もともとは僕の研究室の先輩が発表をし、また李先生と先生の学生の発表を聞き、学内を軽く案内する手伝いをするという話でした。
もともと僕は少し中国語が話せたので、学内を案内する際に「中国が話せますよ」と李先生御一行に言うと、非常に喜んでもらえました。また、僕の研究分野がやや李先生の研究と似通っているということで非常に興味を持ってもらえました。
ここで李先生に「留学しにおいでよ」と強く薦められたのですが、このときはまだ現実化するとは思っていませんでした。しかし、後日李先生から研究室の佐賀先生の元へ留学に関するメールが届き、期待半分、不安半分で留学を決意しました。
メールにて、李先生の研究、教育システムの構築を手伝ってほしいとの記載があり、それに向けて留学まで必死に中国語を勉強しました。現地では、5月よりもずいぶん上手になったとほめていただき勉強の甲斐があったと思います。
ー台湾で取り組んでいる研究ー
台南大学に来て初めての仕事は李先生の研究の一つ、「KWS Learning」という教育システムの日本語翻訳でした。これは、各国で英語の勉強ができるようにと作られたものであり、すでに中国語はもちろん、英語、スペイン語、イタリア語、フランス語の言語でリスニング練習ができるようになっていました。
これに日本語を加えたものを、10日後(2015/11/20)のTAAIという国際学会で発表したいと言われ、「急いで翻訳しなければ!」と研究室のみんなに中国語の意味を教えてもらいながら試行錯誤したのを覚えています。
翻訳以外にも、平日は李先生の授業に参加し、聴講しております。李先生の専門は「ファジイ理論系統」で、僕とは全く専門が違うのでとても新鮮に感じます。しかし、説明とスライド、板書が中国語なのでたまにわからなくなることがあり、一緒に授業を聞いている学生に授業後に質問をして助けてもらっています。
研究として今は1月を目標に、こちらの研究室のM2の学生一人と共同でファジイ理論を用いた自然言語処理システムの構築を進めています。ぜひ学会に出そうと李先生が言っているのでかなり力を入れて勉強しています。
ー国際学会など、貴重な経験もー
また、先日のTAAIでは国際学会スタッフとしても活動しました。李先生が学会の主催者のため、僕を含め研究室のみんなと非常に忙しい日々を過ごしました。
僕の仕事はレジストレーション(登録・手続等)で、参加者の受付を行います。もちろん国際学会なので多数の方が英語を使うのですが、台湾で行われているため非常に多くの台湾の方が来られます。
そしてなかには日本の方も来られるので、僕としては中・英・日の3か国語を活用して対応できる場としてとても良い経験になりました。お名前で「日本の方だ」と分かるので、日本語で話しかけると多くの方がホッとした顔つきになります。
この学会では、メインイベントとして東京からやってきた音声対話型ロボットの紹介がありました(これは台南のマスコミにとりあげられニュースにもなっていました)。そのロボットは、音声認識で人やロボット同士で対話できるというものなのですが、日本語にしか対応していないため、ロボットの言っていることや、みんなの言葉をロボットに通訳するのも僕の大きな仕事のひとつ。いずれもとても良い経験になりました。
ー台湾での生活についてー
さて、僕の台湾での生活ですが、そもそも台湾がどのようなところなのかよくわからずに来たというのが本音の僕にとって、台湾に来てまず初めに気づいたことは「車輌の右側通行」でした。
日本で車の免許を持っている方ならわかると思うのですが、乗った車が右に寄るというのは単純に怖いと感じます。慣れるのには少々時間がかかりました。
そして、(少なくとも台南では)車の数よりも単車の方が多く、頻繁に事故が起こるようです。気を付けて歩かなければなりません。
また僕がここに来た11月ごろ、日本では気温が20℃を下回り、コートを着てもいい季節になっていたのですが、なんと台南では半袖じゃなければ過ごせないほどの気温でした。11月中旬までは夏で、下旬から12月にかけて一気に寒くなるようです。
食べ物はどれもおいしく、安いです。台湾にはお弁当の文化があり、これはどうやら日本からやってきた文化のようです。僕も何度か一人でお弁当を買いにいったことがあるのですが、たまに全く聞き取れない言葉を話す人がいます。(写真左:台湾のお弁当 右:弁当屋さんの屋台)
台湾では(特に台南では)、多くの人が台湾語を話すことが出来るみたいです。もちろん多くの人が中国語を話すのですが、今もお年寄りの多くは台湾語を使い、中には中国語が話せない人もいるようです。
僕もせっかくの機会なので覚えようと思ったのですが、どうも中国語のピンインと全く異なる発音記号のようで、発音は会話から拾って覚える方法が良いみたいです。台南の若い人たちは年配の方との対話で覚えます。
この1か月で台湾の人は日本に対しかなり友好的で優しい人が多い印象を持ちました。中国語、特に漢字(繁体字)を覚えるのは難しいですが、しっかり勉強して身に着けようと思います。
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野原さん、貴重な留学レポートありがとうございます!
野原さんのレポート、研究がますます忙しくなっている中ではありますが、また続編をお届けしてくださる予定です。みなさまお楽しみに!
【取材:皆藤 昌利(広報課)】
【取材日:2015年12月25日】 ※所属・学年は取材当時
註)台南大学
同大学は1899年日本が台湾師範学校として設立したもので、1945年までは日本人の卒業生も多くいました。大阪府立大学とは2010年に国際交流協定を締結し、3人の府大生が長期に交換留学するとともに、台南大学生3名も交換留学で来日しています。生活費も安く、英語で生活ができ、中国語も学べます。
李教授は府大に何度も見えていて、府大生の留学をとてもよく面倒見て下さり、特に情報系の学生にはお奨めの交換留学先です。(辻学長より)
(参考リンク:これまでの交換留学実績)
http://www.nutn.edu.tw/japanese/about_history.html
http://www.cs.osakafu-u.ac.jp/mis/ex_activities/abroad_naito.htm
http://www.cs.osakafu-u.ac.jp/mis/ex_activities/abroad_nakagawa.xml