11/29、国際租税法の授業に、堺税務署の石橋副署長がお越しになり、ゲスト講師としてお話をいただきました。テーマは、「税の役割と税制の現状について」租税に関する基礎的な知識から実際に税務署が行う業務まで、90分という限られた時間の中でしたが、税について多くのことを学ぶことができました。

今回の潜入レポートは、密度の濃い授業の中で特に興味関心を惹かれた部分を抜粋してお届けします。

 

堺税務署の石橋副署長

〈消費税の軽減税率制度〉

消費税率の引き上げに伴う低所得者対策として、平成31年10月に、消費税率の軽減税率制度を実施することとされています。

軽減税率制度の対象品目は、1.飲食料品と2.定期購読契約がされた週2回以上発行される新聞。

飲食料品ついてはその中でも区分があり、酒類や外食、ケータリング・出張料理については軽減税率が適用されません。

しかし、その中でも、有料老人ホームでの飲食料品の提供・学校給食などには適用され、低所得者対策としての役割をきちんと果たすように設定されています。

〈国境を越えて行う電子書籍等への消費税の課税〉

平成27年10月1日に施行された改正法案では、国内外の事業者間で競争条件を揃える観点から、国外事業者が国境を越えて行う電子書籍・音楽・広告の配信等の電子商取引に、消費税を課税することとされました。

改正前は、サービスの提供者の所在地に着目していましたが、改正後には、サービスの提供を受ける者の所在地に着目して消費税を課税するようになったことで、国内事業者と国外事業者との不平等な課税が解消されました。

〈国際的な取引への対応〉

国際的な取引への対応として、租税条約等に基づく情報交換について詳しく学ぶことができました。日本は、68条約等、110カ国・地域と情報交換規定を締結しており、国際的な取引へも対応が取られています。

「海を越えた国税調査」という題のドラマ風に作られた15分ほどの動画を視聴しました。情報交換条約が結ばれている国に対して、怪しいお金の動きがあれば情報交換が行われ調査が始まる場合があるなど、違法な脱税は許されないということが強く伝わったと共に、協定の役割や効果をわかりやすく知ることができました。

〈納税者サービスの向上〉

普段の授業では聞くことのない納税者サービスの向上についてのお話も聞くことができました。

現在、税務行政はスマート化を目指してデジタル化の推進に取り組んでおり、ICT・AIの進展や、マイナンバー制度が導入されたことにより、納税者の利便性が向上するような税務行政を目指しています。

すでに、確定申告書等作成コーナーでは、必要な項目を入力すれば、自動計算により確定申告書等を作成できるようになっており、利用者の利便性が向上しています。

 

◆学生の感想

いつもの授業とは異なる側面から税の役割や税制の現状、国際租税について理解ができました。
普段の授業で学んだ知識があるからこそ、ゲスト講師のお話を深く理解ができたことはもちろん、ゲスト講師のお話から普段の授業の知識がより深いものとなりました。

 

【取材日:2017年11月29日】【取材:現代システム科学域マネジメント学類 右大輝】