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◆松下 遼 (Ryo Matsushita)
大阪府立大学大学院 工学研究科
物質・化学系専攻 博士前期課程1年(マテリアル工学分野) ※2014年取材当時

 

――この研究で松下さんが実際に関わった実験や作業の内容を教えてください。

今回開発された「難燃性マグネシウム合金製MIG溶接ワイヤー」の研究段階のものを用いて実際に溶接を行い、様々な試験方法で、その溶接部の強度検証を行いました。

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――完成までの間、苦労された事を教えてください。

溶接部の強度検証は、引張試験や疲労試験によって行います。ですので、評価対象である溶接部の性質は溶接した段階では不明であり、実際に試験を行って初めて明らかになるという点に難しさがあり、そこで苦労しました。

自分達が「正常な溶接ができており、溶接部の強度も期待できる」と想定していた条件であるにもかかわらず、実際に試験を行ってみると思うような結果が得られない。その時に、「どのような要因で、こういった結果になったのか?」という事を考察した上で、実証し、改善に向けてさらなる試行錯誤を繰り返しました。

溶接を行う条件の組み合わせは数多くあります。その中で、これまでに評価してきた数がわからないほどのパターンを積み重ね、ここまで来たのだと実感しています。 matsushita2

――この経験も含め、今後、どういった道に進んで行きたいと思っていますか?

材料・素材に関する研究の可能性は、私も強く感じています。修了後は、実際に材料を使用してものづくりを行う産業界で、材料開発に携わりたいと考えています。

現在は新幹線車両に向けた研究を進めておりますが、今後は新幹線のみならず、自動車の車体や航空機の機体等、様々な分野で応用が利くような材料の研究開発にも関わっていけたら嬉しいなと思います。

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――金属工学分野を目指す受験生にメッセージをお願いします。

この分野は、特徴として非常に幅が広いことが挙げられます。同様に、研究成果としてそれらが応用される分野も極めて幅が広く、社会のあらゆる部分に浸透しています。ですので、大学でこの分野に関して深く学ぶことで、自分の将来を見据えた時に活かせることが多くあると思います。金属工学分野に興味のある方は、そういった視野も持っていただいて、進学に向けてぜひ頑張ってください。

 

研究や開発に関わってきたみなさんから、エピソードや開発段階で苦労した事などをお伺いしました!

◆工学研究科瀧川 順庸 准教授
-組み合わせや仮説は無限。難しいけど奥深い分野。-
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◆木ノ本伸線株式会社 木ノ本 裕 社長
-大阪の企業の、たくさんの「きっかけづくり」を-
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◆マグネ合金溶接ワイヤー開発レポ/マテリアル工学分野
「世の中の車輌をもっと軽く!」

 

【取材:皆藤 昌利(広報課)】
【取材日:2014年12月12日】