長島 幸広さん(Texas A&M University  Department of Horticultural Sciences 博士研究員)
2020年3月 大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 博士後期課程 修了

私は、大阪府立大学生命環境科学研究科で応用生命科学の博士号を取得後、渡米し、現在はテキサスA&M大学の園芸学部で、博士研究員として働いています。テキサスA&M大学はテキサス州立の総合大学で、航空宇宙、石油工学や農業分野など幅広い分野を網羅し、2020年の学生数はおよそ7万人です。日本では聞き馴染みのない大学かもしれませんが、2018年にジョージ・H・W・ブッシュ前大統領が亡くなった際に、キャンパス内に埋葬されたことが日本でも報道されていました。また、私の専門分野に関連したところでは、穀物増産による食糧不足改善への寄与を理由に、ノーベル平和賞を受賞した故ノーマン・ボーローグ博士が特別教授として所属されていました。

―現在の道に進んだ理由、きっかけを教えてください
私は、子供の頃、田舎に住んでいたこともあり、動物や植物を捕まえては図鑑で調べていました。その頃から生物に興味を持っていました。高校生の頃に、遺伝子組換え技術などの分子生物学を知り、魅力を感じました。世界的な食糧不足の懸念などのニュースをきっかけに、植物研究に興味を持ち、大阪府立大学生命環境科学部に進学しました。

―現在のプロジェクトや役割、仕事内容を教えてください
植物は動くことができず、常に周囲からのストレスに晒されています。農業では、塩害や高温が植物の生長に悪影響を与え、収穫量を減らします。私は、このような環境ストレスにさらされた植物が、どのような反応をするのか研究しています。具体的には、植物のなかで環境ストレスによりダメージを受けたタンパク質が、細胞から取り除かれるメカニズムを調べています。また、植物を分子生物学的に研究するための技術開発にも取り組んでいます。タンパク質の時間情報を取得するために、蛍光タイマーと呼ばれる分子生物学ツールを植物で利用するためのプロジェクトを進めています。さらに、より農学的な研究テーマとして、アメリカの様々な場所で収穫されたメロンを味覚試験、代謝産物、遺伝子発現の点から解析し、消費者が好むメロンの特徴を研究するプロジェクトにも参加しています。

―大学で学んだことで、仕事に役立っていることはなんでしょう?
私は、大阪府立大学の学部生の頃に、農学から分子生物学の基礎を、大阪府立大学で学びました。テキサスでは、農業が主要産業の一つであり、私が所属する大学では基礎研究から農作物の生産まで幅広い領域を網羅しています。そのため、様々な分野の研究者とコミュニケーションを取る必要があり、当時学んだ知識が役に立っています。また、修士・博士課程では、植物の小胞体ストレス応答のシグナル伝達経路をテーマに研究を行いました。現在の研究テーマの一つは、この研究から着想を得ています。将来、植物細胞が、ダメージを受けたタンパク質を、認識、選別、分解するメカニズムを解き明かしたいです。

―現在、進路を考えている受験生にメッセージをお願いします
大学の学部を決めるときに、どの職業に就きたいのか、よく考えてください。私の場合、高校の進路指導のときにあまり強調されなかったと記憶していますが、とても大事なことです。大阪府立大学には様々な学部があるので、それぞれの学部で何が学べるのかよく調べてください。もう一つ、受験だけでなく全般的なことですが、どのようなことにでもチャンスがあれば挑戦してみてください。私は、海外で研究することが夢でしたが、二十代半ばまで海外に行ったこともなく、英語も話せませんでした。しかし、挑戦したことで、海外で研究者として働くことができました。諦めて夢を逃さないよう、どのようなことにでもとりあえず挑戦してみてください。

【寄稿:2021年7月5日】※所属は寄稿当時。