山中 良祐さん (農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)西日本農業研究センター)
2011年3月 奈良県立奈良高等学校 卒業
2015年3月 大阪府立大学 生命環境科学部 生物情報科学科 卒業
2017年3月 大阪府立大学 生命環境科学研究科 博士前期課程 修了

ー現在のプロジェクトや役割、仕事内容を教えてください

私は2017年3月に大阪府立大学生命環境科学研究科応用生命科学専攻博士前期課程を修了し、現在は(国研)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)西日本農業研究センターで、施設園芸における野菜の栽培試験に取り組んでいます。施設園芸とは農業用ハウス内で作物を生産する方法です。ハウス内で栽培するので雨や風などの影響を受けにくく、露地栽培(ハウスを使わない、外で作物を生産する方法)よりも安定して作物を生産できます。さらに、ハウス内の栽培環境(温度、湿度、CO2濃度、日射量など)を制御することで、収量や品質を高めることもできます。現在は、イチゴやミニトマト、アスパラガスを対象に、収量や品質の向上を目指して環境制御技術の研究・開発に取り組んでいます。

ー現在の道に進んだ理由、きっかけを教えてください

当初、遺伝子を取り扱う研究をしたいと思い大阪府立大学生命環境科学部に進学しましたが、大学の講義で知った完全人工光型植物工場での作物生産により強い興味を持ちました。自分も植物工場で作物生産してみたいと思ったのが現在の道に進んだきっかけでした。

ー大学ではどのような研究をされていたのですか?

完全人工光型植物工場でイチゴの果実肥大の環境応答の解析をしていました。イチゴの果実肥大が栽培環境によりどのように影響を受けるか調べ、果実が肥大しやすい栽培環境を構築するための研究です。完全人工光型植物工場は栽培環境を高度に制御できる反面、イニシャルコストやランニングコストが高いため、効率的に果実生産できる技術が非常に重要であり、このような研究をしていました。

 

 

ー大学で学んだことで、仕事に役立っていることはなんでしょう?

イチゴの栽培管理技術が非常に役立っています。大学時代は完全人工光型植物工場、現在は農業用ハウスと栽培条件は少し異なりますが、イチゴの苗作りから定植、収穫といった栽培試験に必要な一連の管理技術を学んでいたことで、現在の仕事にスムーズに取り組み始めることができました。収量を高める栽培環境を構築するために果実肥大に着目して研究するという考え方も、現在の仕事に生かすことができています。また、ゼミや学会発表などでプレゼンテーションを用いて発表する経験を積めたこともよかったと思います。

 

ー現在、進路を考えている受験生にメッセージをお願いします

大学では多様な研究に携わっている先生方をはじめ、様々な人と交流する機会があるため、想像していなかったようなことに出会い、学べることが大きな魅力だと思います。大学受験先を含めて本当に多くの選択肢があると思うので、その時々に全力で向き合い、チャレンジしてみてください。その中で、大阪公立大学や農業に少しでも関心を持っていただければ大変うれしく思います。

 

【寄稿:2021年10月3日】※所属は寄稿当時。

大阪公立大学 農学部