第65回 全日本学生剣道選手権大会でベスト16に入り、秋にソウルの龍仁大学で開催された日韓学生剣道親善交流会の日本代表選手に選ばれた、生命環境科学域自然科学類2年の小幡佳大さんに、剣道や学業のことについて、伺いました。
■プロフィール
大阪府立大学 生命環境科学域 自然科学類 2年 小幡佳大
2016年 大阪府立大学 同学類に入学。
2017年 第65回全日本学生剣道選手権大会 ベスト16
―大阪府立大学に入学したきかけを教えてください
出身高校のモットーが『文武両道』を掲げており、勉強も部活も頑張りながら、国公立を目指すという校風でした。和歌山の実家から通える範囲の国公立を探していて、センター試験の点数などをふまえ大阪府立大学を選び、推薦入学しました。
大阪府立大学には剣道で全国的にも有名な濱口先生(8段)がいらっしゃって、高校の部活でも剣道をやっていたので、それも入学の決め手のひとつとなりました。
―大学での学びは、高校の頃とは違いますか
大学での物理や数学分野は、高校で学んだ範囲から比べると、かなり細かく深く学んでゆくので、全く知らないとなども多くあります。今はついて行くのに精一杯です。しかし、同じ学科の仲間たちと一緒に勉強して、理解を深められるので、とてもいい環境で学べています。
現在、理科以外の授業で、身体のメカニズムを学んでいて、剣道部や将来の夢でもあるスポーツ指導に活かせればと思っています。
―剣道を始めた時期や、きっかけはいつ頃ですか
父が剣道をやっていたのが一番の理由です。私は覚えていないのですが、3歳くらいの頃から家で竹刀を持って遊んでようで、小学校低学年の頃に見学に行き、父にやりたいと頼みました。中学から剣道部に入り、現在までずっと続けています。
―剣道部では、どのような活動されていますか
夏休みは午前中だけ週6回、授業が始まると週4回くらい稽古をしています。授業と時間が重なった場合は授業優先にしているので、私立大学の剣道部に比べると練習時間は少ないと思うのですが、短い時間で集中して、どのように質を高めるかという事に重きを置いています。
高校生の頃に国体に出場し、そこでメンタルトレーニングを色々教わった事が今も生きています。
稽古はしんどくて辛くもありますが、相手と一対一で剣を交える中で、頭でシミュレーションしたことが思うように運び、相手の動きを読むことができたり、一本が取れた時は嬉しいです。稽古の成果が出たなと実感できます。
―剣道を通じて印象に残っている事はありますか
高校時代の恩師に、『我を張れ』という言葉を頂きました。
高校最後の夏の総体に出場し、団体戦は負けてしまい、インターハイに行けませんでした。それでも、翌日には個人戦が残っており、気持ちの切り替えが出来てなかった時に、この言葉を頂きました。この言葉が励みとなって個人戦に集中して挑むことが出来、優勝しました。
言葉の通り我を通して、自分の考えや信念を貫いて戦いました。
大学では、濱口先生に『気遣いと、心配り』という言葉を教わりました。剣道が強くなることも大切だが、そこには教えてくださる方や、稽古に付き合ってくださるOBの方が居ます。気遣いと心配りを忘れないように。と、教わりました。剣道は、礼儀と作法も大切な競技なので、この言葉を常に忘れないよう心掛けています。
―文武両道を貫きながらの大学生活で、印象深かったことはありますか
まず、部活動で合宿や海外交流へ行った事です。府立大学の剣道部では、春と夏に合宿を行い、冬は朝から寒稽古を行っています。
カナダのトロント大学に海外交流に行く機会があって、府大の学生や関西の剣道連盟の方々と一緒に行き、剣道の交流をしてきました。実際に稽古で剣を交えてみると、今まで経験したことのないような攻め方や、パワーを感じました。海外の選手は体格的も大きく、それを活かした剣道でした。
日本人選手と戦っている感覚で、この間合いなら大丈夫だろうと思っていても、そのイメージを超えて来るバネと、力強さがあります。とてもいい経験が出来ました。海外交流はずっと続いていて、トロント大学の学生が日本に来てくれる事もあり、府大の道場で一緒に練習したこともあります。
勉強の面で印象に残っているのは、1年生の後期で、GPAの成績優秀者を取ることが出来て、すごく嬉しかったです。
―進学を考える高校生へメッセージをお願いします。
私は推薦入学だったので、具体的な受験のアドバイスにはならないかも知れませんが、大学は入学することよりも、入ってからの方が大事だと思います。理系だから、文系だから、という大まかな理由で大学を選ぶと、実際に学んでみて、興味や関心、授業内容で苦労すると思います。自分の学びたいことは、何なのか?
自分自身をちゃんと理解して、好きになれそうな事は何なのかを高校時代にしっかり考える事が重要だと思います。
【取材日:2017年8月23日】 ※所属学年は取材当時